2023年4月8日(土)から4月25日(火)まで、明治座で明治座創業百五十周年記念『壽祝桜四月大歌舞伎』が上演されます。アイデアニュースでは中村莟玉さんにインタビューしました。莟玉さんは昼の部の『大杯觴酒戦強者』で小姓・木村采女を、『お祭り』では町娘・お玉を演じます。莟玉さんに、ミュージカルが好きな皆様に向けて、歌舞伎の魅力をご紹介いただきました。「上」では、歌舞伎とミュージカルについて、2歳から歌舞伎をご覧になっていたということ、歌舞伎の世界に入ったきっかけなどについて伺った内容を紹介します。「下」では、『壽祝桜四月大歌舞伎』の見どころや莟玉さんが演じる役のこと、歌舞伎を観に行くと今もお客さん目線でワクワクするというお話や、普段ミュージカルをご覧になっている方へのメッセージを紹介します。
――「歌舞伎美人」のインタビューで、宝塚やミュージカルがお好きだと読みましたが、舞台全般がお好きなんですか?
舞台全般が基本的に好きで、自分のスケジュールが合えば行くタイプですね。
――ミュージカルや舞台が好きな読者の方々に、歌舞伎の魅力をぜひお届けしたいと思っています。歌舞伎には詳しくない方もいらっしゃると思いますが、同じ総合芸術の舞台として届くようなお話を伺えればと。
帝劇、日生(劇場)、日比谷界隈に強い、いわゆる“ミュオタ”の方たちですよね。
――そんなイメージです。まず、莟玉さんが感じている歌舞伎の魅力や伝えたいことをお聞かせください。
歌舞伎は昔のミュージカルですよね。そもそも「歌舞伎」は、「歌」と「舞」ですから、どう考えてもミュージカルですよね。ということで、ジャパニーズ・エンターテインメントにおけるミュージカルの根冠、起源は歌舞伎なので、やはりそれを観ずしてミュージカル好きを名乗るのは…だいぶこじつけましたが(笑)。
でも、やはりそうだと思うんですよね。西洋から本場のミュージカルが入ってきて、それを日本でもできるようになって。タイミングや時代でいろいろな制約があったでしょうが、今は現実的に上演が叶う時代になっている。
ですが、じゃあなんで日本人が海外から入ってきたその文化を許容できる素質があったかというと、「日本にもそもそもそういうものがあったから」というところが、僕はあると思うんです。だから「歌舞伎を好きな人が、ミュージカルを好き」ということがあり得ると思うんです。
――逆に、ということですよね。
そうです。もともとその下地があったから。だって、どこの国にもミュージカルがウケるわけではないと、僕は思っているんですよ。たとえばブロードウェイのものを、どこか全然違う国に、たとえそれが途上国ではなかったとしても、発展国であったとしても、いやちょっと合わないなという文化もあると思うんですね。
ですが日本人はそれを受け容れられる、受け容れるどころかそれを欲しいという気持ちがあるのは、やはりこういう歌舞伎や古典芸能にそもそも触れていた文化が長い期間あったから、それによって培われている。これは文化というより感覚の問題だと思うので。なので、なるほどなと、こういうものが日本人は好きだから、今を生きている私たちも、海外から入ってきたものに対しても、理解できるし、親しみをもてる素質があるんだと、歌舞伎を観ていただけるとわかるんじゃないかなと思います。
言語がわからないとか、昔の言葉が難しくて理解できないんじゃないかとか、いわゆる「私なんかが行く場所じゃないんじゃないかしら」と思われるかもしれませんが、帝劇だって最初に入る時は、「ちょっと…」ってなったでしょ?とは思いますよね。それを越えられた人が(歌舞伎の壁を)越えられないわけはないと、僕は思いますし、言葉がわからない、とかじゃない楽しみ方をする着眼点は、絶対にミュージカルを好きな人は持っていると思います。ミュージカルだって、ただ歌が上手い、踊りが上手いだけでは盛り上がらないエンタメ(エンターテインメント)だと思うんですよ。そこだけじゃなくて、演者がどういう感じかとか、劇団四季さんは違いますが、最近は東宝さんも、役者を観に行くスタイルになりつつありますよね。
――そうですね。
そのスタイルの大元も、やはり歌舞伎ですよ。「この役者がこれをやるんだから観に行こう」と。これは江戸時代からそうです。そういう楽しみ方をしていいものなので、「理解できないと楽しめませんでした」というものではないです。
――ある意味、歌舞伎は「推すこと」を最優先にして観に行っていいものなんですね。
そうです。歌舞伎自体が、そうやって始まっているので。だから、歌舞伎ファンの人たちからすると、最近の“オタ活”、“推し活”みたいなものは「何を今さら言っているの? それはそうでしょ?」という感じだと思います。歌舞伎は私が好きなミュージカルと比べて地味だろうとか、観終わって不完全燃焼になるんじゃないかと思ってらっしゃる方もいるかもしれませんが、舞台をそもそも観ない方たちに比べると、ミュージカルをお好きな人たちには、そういうことじゃない楽しみ方をする素質がご自分のなかにおありだと思います。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、2歳から歌舞伎をご覧になっていたということ、歌舞伎の世界に入ったきっかけなどインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。6日掲載予定のインタビュー「下」では、『壽祝桜四月大歌舞伎』の見どころや莟玉さんが演じる役のこと、歌舞伎を観に行くと今もお客さん目線でワクワクするというお話や、普段ミュージカルをご覧になっている方へのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■歌舞伎の「沼」は、それなりに深い。ミュージカルをご覧になる方は楽しめるはず
■歌舞伎を観始めたのは2歳。ワンダーランドというか、歌舞伎が最上級に刺さった
■実母が歌舞伎にハマったのは、仁左衛門のおじさまと玉三郎のおじさまの『桜姫』
■劇場のロビーで「与三郎」の真似をしていたら、声を掛けられて歌舞伎の世界へ
<壽祝桜四月大歌舞伎>
【東京公演】2023年4月8日(土)初日~25日(火)千穐楽 明治座
公式サイト
https://www.meijiza.co.jp/info/2023/2023_04/
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私はミュージカルをあまり観たことがない歌舞伎ファンですが、ミュージカルも観てみたいなと思わせられる面白い内容でした。
この記事をきっかけに一人でも多くの方が歌舞伎に興味を持ってくださるといいですね!莟玉さんが仰るように歌舞伎座のワクワク感は本当に強烈です!!