2023年4月27日(木)にミュージカル『アルジャーノンに花束を』が開幕しました。5月7日(日)まで日本青年館ホールで、5月13日(土)から14日(日)までCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで上演されます。原作は、作家ダニエル・キイスが1959年に発表した同名小説で、世界で映画化、日本ではテレビドラマ化されています。ミュージカルとしては、2006年日本初演、2014年、2017年、2020年に再演されています。これまでは荻田浩一さんが演出をされていましたが、今回は上島幸夫さんが新たに演出を担当します。
アイデアニュースでは、2006年初演、2014年再演以来の出演となる、チャーリイ・ゴードン役の浦井健治さんにインタビューしました。また、2023年3月15日に発売された、ニューアルバム『VARIOUS』についても伺いました。2023年5月21日(日)に東京・LINE CUBE SHIBUYAにて、6月3日(土)に大阪・サンケイホールブリーゼにて、ライブツアー『浦井健治 Live Tour 2023~VARIOUS~』が開催されます。インタビューは上、下に分けてお届けします。「上」では、再演が決まっての想い、初演から月日が経った今、この作品から受け取るメッセージが変化したというお話、浦井さんご自身が今という時代の中で感じ、考えていらっしゃることについてお話ししてくださった内容などをお届けします。「下」では、この作品の見どころ、ニューアルバム『VARIOUS』のことについて伺った内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。
――『アルジャーノンに花束を』の再演が決まって、いかがですか?
今回もう1度やらせていただくことになって、とても光栄だなと思います。
――前回は、もう最後の出演というイメージでしたか?
最後というよりも、荻田さんが稽古場の最終日に、「これが僕らの完成形だね」とおっしゃっていたんです。初演と再演を一緒に作ってくる中で、荻田さんは「今、自分たちが一番見たいものを見られる。劇場に行ってからは、お客様のものになっていく」とお話しされていました。安寿ミラさんを筆頭に、カンパニーでその状態を作ってこれたことは、ライフワークとして素敵だなと思いました。
和気藹々とみんなで作ってくることができました。初演、再演、その後の矢田(悠祐)ちゃんバージョンをリスペクトしながら、今回上島雪夫さんの演出で、キャストも僕にとっては全員初めての方に変わりますし、2023年バージョンをこのメンバーでゼロから作ることができるというワクワクを感じています。
――前回、矢田さんバージョンの時に応援していらっしゃいましたよね。
矢田ちゃんは、「矢田ちゃんの作品」を作りあげてましたし、以前にやらせていただいたということで、少しでもプラスになるのであれば、応援するという形で力になれたらなと思っていました。関係ないんですけどね(笑)。でも、今回「やりますね」と伝えたら、「必ず観に行きます。応援しています」と言ってくれました。自分で言えたのはよかったです。
――直接お伝えできたことは、特別ですね。
今回は、いい意味で「ゼロからみんなで、今回のバージョンを作ろう!」と真摯にやっていこうと思います。
――演出が荻田さんから上島さんに変わることも今回のサプライズで、他の人の手が入っても作品がちゃんと続いていくのはすごいことですよね。
上島さんのことは、プレイヤー時代から知っていますが、今や、2.5次元を引っ張られていて、上島さんの立ち位置も変化している中で、今回『アルジャーノンに花束を』の演出をされることには、プレッシャーがあったそうです。
僕がやっていた当時の映像を観る機会をいただいたのですが、いろいろ考えてくださって、「わかった。俺の好きなように、自由に演出してみる」と。僕はこの作品を経験し、景色も全部覚えているからこそ、稽古場で上島さんともざっくばらんに話せています。いい意味でお互いに翼を広げ、初演再演をリスペクトしながら、今回のものをその場で作っていく環境は整ったと思います。
――ある意味では2014年に完成形ができている作品に、これから改めて向き合うとなると、『アルジャーノンに花束を』という作品のメッセージやチャーリイ・ゴードン役について、今どんなことを考えていますか?
僕の初演は、2006年でした。年月が経っての今回なので、受け取るメッセージは、自分の中で結構違っています。大切にしたい言葉もありますし、「ここはこんなにおぞましかったのか」と感じることも多くて、それはコロナ禍での自分たちの置かれている環境の変化も含めて、作品がかなり苦しく迫ってくるからだと思います。「ひりひりした感覚」が多かったんです。僕にとっては、そこが大きな変化だったと思います。
――再演当時は、そこまでではなかったですか?
今回、「演劇的な作品だ」と感じました。差別だったり、人間のエゴだったり、人体実験という言葉だったり、みんなが問題視していることが、胸に刺さる作品だなと思っています。だから演劇的だなと思ったんです。この数年で感覚が大きく変わったのかもしれません。
――本来は「もしも」という世界ですものね。
もしもというか、想像もしていなかった世界が現実で起こってしまったわけですよね。リモートだったり、人と会うことも制限されて、卒業式や入学式もないし、一番可哀想なのは、3年間学校に行かないという学生がいたとか。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、この作品から受け取るメッセージが変化したというお話、浦井さんご自身が今という時代の中で感じ、考えていらっしゃることについてお話ししてくださった内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。インタビュー「下」では、この作品の見どころ、ニューアルバム『VARIOUS』のことについて伺った内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「温かみや希望を見出そう」という作品のメッセージが、ここ数年を経て変化
■今の状況の中で「元気に希望を見出して、一歩一歩進んでいくこと」がエンタメの力
■「言う時には言う、言わない時には言わない」と。伝える場をいただけた時には発信
■「言う」じゃなく「行動する」人たちの格好良さを見てきた。そこにすがすがしさを
<ミュージカル『アルジャーノンに花束を』>
【東京公演】2023年4月27日(木)~5月7日(日) 日本青年館ホール
【大阪公演】2023年5月13日(土)~5月14日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
公式サイト
https://www.algernon-musical.com
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微笑みながら語る浦井さんの姿が、数々の写真とともに浮かびました。