2023年9月29日(金)から10月9日(月・祝)まで東京芸術劇場プレイハウスで、10月13日(金)から15日(日)まで兵庫県芸術文化センター阪急 中ホールで、10月19日(木)から22日(日)まで穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールで上演されるミュージカル『天翔ける風に』に、三条英役として主演する珠城りょうさんのインタビュー後編です。「下」では、『マヌエラ』も手がけられていた玉麻尚一さんの楽曲への印象、宝塚歌劇団を退団後、しばらくはミュージカルに出るつもりがなかった理由、映像のドラマにも挑戦する中で感じている映像と舞台の違い、芝居の面白さを感じているというお話などを紹介します。
(※このインタビューは6月末に行いました)
――楽曲の印象は、いかがですか?
映像資料を全部は観られていないのですが、『マヌエラ』でも作曲の玉麻さんとご一緒していました。全部オリジナル曲でしたが、どれも素晴らしかったので、今回も、もう期待しかないです! 玉麻さんに任せていれば大丈夫と。
――以前、他の作品で玉麻さんが楽曲を作っていく過程を拝見したことがあるのですが、稽古場で役者を見て調整されたり、細かく関わっていかれますよね。
そうなんですよ。柔軟に役者に合わせてくださるというか。いろいろとセッションしながらやっていったり、相談しながら一緒に作っていけると、『マヌエラ』の時にもすごく感じました。『マヌエラ』には歌はありませんでしたが、ダンスもテンポ感も、場面の雰囲気に合わせた楽曲も、どれも本当に素晴らしかったです。
玉麻さんが作られると、どの曲も力強いんですよ! 派手なだけではなく力強さがあるので、その楽曲に負けないだけの熱量を自分が出していかなければいけないなというプレッシャーはあります。そこは、玉麻さんの音楽と戦っていかなければいけないと思っています。
――退団後の初めてのミュージカルで、当初はミュージカルに出るつもりはなかったと最初に仰っていましたが、今改めてミュージカルという作品の表現方法について、どんなことを感じていますか?
今回の『天翔ける風に』は、あくまでも芝居がベースになっているというか。ミュージカルにも、いろいろなタイプのものがあると思います。海外ミュージカルの場合は、海外の楽曲に日本語訳をはめる「訳詞」という部分が、たぶん何よりも難しいと思っていて、それによって、ちょっとギャップを感じてしまうことが、少なからずあると思うんですよね。
でも、今回の『天翔ける風に』は、日本オリジナルのミュージカルなので、安心してやっていけるかなと思いますし、たとえミュージカルであっても、ただ声を聴かせるということではなく、あくまでも芝居がベースになっていると信じたいというか。それが自分のなかでは根底にあります。宝塚でもその思いで取り組んでいましたが、自分がミュージカルというものに関わる時は、そこを大事にしてやっていきたいなとは思いますね。
――ちなみに「しばらくはミュージカルはないかな」と思っていたのはなぜですか?
「ミュージカル俳優」と呼ばれる方々がいらっしゃるじゃないですか。ミュージカルは、そこに特化した方々がやるものだと思っているんです。宝塚は総合芸術ですし、そのなかで、私自身は歌を売りにしてきた俳優ではないので、単純に、ミュージカル界で自分が通用するとは、はなから思っていなくて。
だから「ミュージカルに挑戦するつもりはない」というか、自分がそこに相応しい人間だと思っていなくて、選択肢から除外してきたんです。
――自己分析の結果ということですね。
そうなんです。歌が上手い人は、世の中にごまんといます。その方々と並んだ時に、自分が劣ることは一目瞭然ですから。もちろん、ボイストレーニングはずっと続けて、自分にやれることはやっていこうと思っていますが、ミュージカル界に自分が入り込んでいくのは、ちょっと違うと考えています。あとは、やはり私自身は芝居が好きなので、ストレートプレイや、映像など含め、いろんな芝居をもっと勉強したいんです。
――今回みたいに、ご自身の考えとうまく合致する作品だと、ミュージカルでもやってみようかなという気持ちになったりするんですか?
そうですね…今回は、本当に謝さんからの熱い思いと、野田さんの戯曲がやれるんだ…!という、そこへの憧れとです。大変でも挑戦する価値しかないと思うので、自分を奮い立たせてやってみようと思った次第です。
――そうすると、今後ミュージカルに珠城さんがご出演されるのを観れる機会はレアということですね…?
…と思ってください(笑)。
――心して観に行かなければですね!
もちろんお話があれば、出演させていただくかもしれないですが。今までの仕事もそうですが、事務所のマネージャーたちと一緒に考えて選択していっているので、ミュージカルにまた絶対出ますとは、声を大にしては言えない自分がいます。今、本当にいろいろな環境でお仕事をさせていただいて、いろいろなものに興味が出てきていることもあるので、先のことはわからないです(笑)。1年先、2年先の自分が何をやっているかはわからないですから、とにかく今は全力で、この作品に取り組みたいという気持ちでいます。
――今いろいろなご経験を重ねる中、ご自身がやりたいことがどんどん出てきていらっしゃるかと思いますが、新しい発見や興味が広がったことはありますか?
映像のドラマに挑戦させていただいたことで、エンタメはもちろん、いろいろな物事に対する見方が変わりました。もちろん、舞台もすごく楽しくて、大好きですが、映像では本当にリアルな感情を味わえるのがすごく面白くて。舞台にはない感覚だったんですよね。でも、映像を経て『マヌエラ』という作品をやった時には、「ストレートプレイってこんなに面白いんだ…」と思いました。『マヌエラ』は千葉哲也さんが演出されて、台本もかなり千葉さんが手を加えられたということもあって、結構演劇的に着地したんですよね。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、映像のドラマにも挑戦する中で感じている映像と舞台の違い、芝居の面白さを感じているというお話などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■『マヌエラ』は、「うわー、やりたかった作品をやれちゃった」みたいな感じだった
■映像では、現場に行ってパッとできる必要が。そこに舞台との違いをすごく感じる
■退団して2年目。監督や演出の方によって全然方法が違うことなど、全てが新鮮
■『天翔ける風に』は、たくさんの方々に愛されてきた日本のオリジナルミュージカル
<ミュージカル『天翔ける風に』>
【東京公演】2023年9月29日(金) ~10月9日(月・祝) 東京芸術劇場 プレイハウス
【兵庫公演】2023年10月13日(金)~10月15日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【豊橋公演】2023年10月19日(木)~10月22日(日) 穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール
公式サイト
https://www.amakake2023.jp
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記事、写真ともにとても素敵でした。インタビューの文面から珠城さんのお仕事に対する熱く、真っ直ぐな思いが伝わりました。天翔ける風にも素晴らしかったです。心に残るインタビュー記事、ありがとうございました。