「今演じる、必然性が」、『スライス・オブ・サタデーナイト』一色洋平・元吉庸泰(上) | アイデアニュース

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「今演じる、必然性が」、『スライス・オブ・サタデーナイト』一色洋平・元吉庸泰(上)

筆者: 達花和月 更新日: 2023年11月6日

30曲を超えるロックナンバーとともに、世界中を席巻していた60年代のロンドンカルチャーを世代を超えて堪能できるミュージカル『スライス・オブ・サタデーナイト』が、2023年11月3日(金・祝)に東京・有楽町よみうりホールで開幕しました。本作は、2023年11月19日(日)まで東京で、11月21日(火)〜 23日(木・祝)まで大阪・松下IMP ホール、11月28日(火)〜 29日(水)まで仙台・電力ホールで上演されます。ティーンエイジャーの青春と葛藤を、土曜日の夜〈CLUB A Go-Go〉で巻き起こる一夜の出来事を通して描き、日本では1992年・1993年以来30年振りの上演となります。出演は、河下楽さん、神里優希さん、一色洋平さん、石川新太さん、⿊沢ともよさん・ダンドイ舞莉花さん(Wキャスト)、熊谷彩春さん、高田夏帆さん、田野優花さんなどの皆さんです。さらに、タップダンスの第一人者HideboHさんと、92、93年の上演にも出演していた川平慈英さんが出演されます。アイデアニュースでは、エディ役で出演の一色洋平さんと、演出の元吉庸泰さんにインタビューしました。

「上」では『スライス・オブ・サタデーナイト』への演出と出演が決まったときのこと、川平慈英さんと訳詞の小田島創志さんのこと、台本について伺った内容などを紹介します。「下」では、役者にとっての作品を上演する意味を知ること、海外作品に携わる際に行っていること、登場人物である「17歳の彼らにアドバイスするとしたら?」というお話などについて伺った内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。

一色洋平さん(左)と元吉庸泰さん=撮影・NORI
一色洋平さん(左)と元吉庸泰さん=撮影・NORI

――『スライス・オブ・サタデーナイト』、いよいよ初日が迫ってきましたね。

一色:楽しみだなー! 超楽しい。早くやりたい。

元吉:こんなに楽しいミュージカルは、なかなかないと思うんですよ。普通はもうちょっと、テーマとかストーリーとかいろいろあるんですが、もうなにも考えずにポカーンと観ることができる(笑)。

――一色さんは、ご出演が決まったときはいかがでしたか?

一色:僕はもうとにかく「演出が元吉さんだ!」ということでした。「元吉庸泰」という字を見たときにハッ! っとしたのが、一番最初の印象でした。

元吉:マジか!(笑)。

一色:そうなんです。公式動画のコメントでも言っているんですけど、僕がお芝居を始めた大学生の頃から、シアターサンモールや、座・高円寺で、元吉さん主宰の「劇団エムキチビート」さんの作品をたくさん観てきたので「どこかでご一緒できないかな」と思っていたところで、今回ようやく…。ご一緒できるタイミングって、突然フッと来るんですよね。

――元吉さんは『スライス・オブ・サタデーナイト』の演出が決まったときはいかがでしたか?

元吉:実は昨年末、この作品に企画として携わっていた制作の鈴木奈緒子さんが亡くなられたんです。その後、プロデューサーの江口さんから「彼女の作品だから華々しくやりたい」というお話をいただいて「やらせていただけるなら、とても光栄です」というところからスタートしました。そして、いただいた台本を読んでみて「どうすればいいんだ…!」となりまして。

一色:そうなんですよ。難しいんですよ。

元吉:最初はつかみどころが全くなくて。1960年代のストーリーなんですが、僕らは年代的にも離れているので、やっぱりナンバーがわからなくて。でも1960年代のことを調べていくうちに「直面してる社会問題はいまの日本と同じじゃないか!」というところがどんどん見つかって、そのあたりからすごくバックグラウンドが見えはじめました。僕はバックグラウンドから話を作ることが多いので、自分がこれを演出する必然性があるんだというところを、そのタイミングでちょっと見いだせた感じでした。

台本には物語がほとんどないので、物語を作ることができる俳優を集めなきゃいけなくて、実は、キャスティングはすごく困難でした。早くからオーディションをやって、たくさんのキャスト候補を見ながら「どうしよう、エディとか本当難しいよな」と思っていたら、江口さんが「一色さんが空いてるらしいんだよね」と。秒で「声かけてください!」って。もう奇跡的に一色さんのスケジュールが空いてて(笑)。

一色:とんでもないです(笑)。本当にようやくご一緒できて、嬉しかったです。

元吉:それで、同じタイミングでJayさん(川平慈英さん)も決まって。Jayさんも奇跡的に空いてたんですよ。

一色:そうなんですね! 慈英さんは奇跡ですよね…。

――川平慈英さんは、日本初演でリックを演じられていますから、早い段階で決定していたわけではなかったのですか?

元吉:いや、本当に最後にこのピースがはまったんです。

一色:うわースゴっ! 慈英さんはたまにリックのナンバーを歌っちゃうんです。「そこスタート違います、そこは(河下)楽くんです!」って言うと、(川平さんのまねで)「俺も歌う!」って(笑)。

元吉:しかも昔の歌詞で歌うから「本人(河下さん)が混乱してるからやめてあげて」って(笑)。でも本当に最後にエリックが決まって。いまだにあの瞬間は覚えています。同じ電話でこの二人が決まった瞬間に、「よっしゃーッ! こーれはイケるぞー!」と思いました。

一色:嬉しいです。慈英さんは、唯一この作品の日本初演の空気を知っている方なので。

元吉:生き字引ですから、もう。

一色:でも今回のメンバーに完全に合わせてくださって「自由にやったらええやん」って包み込んでくださるので、僕らはもう素晴らしい状態で好きにやらせてもらっています。

――『スライス・オブ・サタデーナイト』という作品はご存知でしたか?

元吉:僕は昔「アトリエ・ダンカン」(初演時の製作)に関わったときに、アーカイブで作品名だけは知っていました。

一色:僕は知らなかったです。

元吉:そうですよね。

――上演台本を拝見しました。元吉さんも「つかみどころがない」とおっしゃていましたが、心情描写のト書きがほぼありませんでしたね。

元吉:「ショー」なんですよ、ある意味で。

――演出家はもちろんですが、演者が埋めなければならない隙間が膨大なのではと感じました。

元吉:膨大です。だから本当に物語を作ることができる俳優さんが揃わないと、なにもないまま終わっちゃうんです。本当になにもないので…。それで、今回の訳詞は小田島三世代の…。

一色:ついに創ちゃん!

元吉:ついに出てきた小田島創志くんです。ミュージカルの翻訳は初で、その歌詞を書くのも初めてなんですが、ただもう誰よりも、イギリスという物語のバックグラウンドの時代背景だったり、サブカルチャーを知っていて、「そのファルス(farce:笑劇)のなにがシニカルか?」というところも全部わかっているんですね。

一色:小田島三世すごい!(笑)。

元吉:喋っていると、いつも「小田島三世ヤベェ」ってなる(笑)。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、台本について伺った内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。インタビュー「下」では、役者にとっての作品を上演する意味を知ること、海外作品に携わる際に行っていること、登場人物である「17歳の彼らにアドバイスするとしたら?」というお話などについて伺った内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■一色:オファーをいただいてから原文を取り寄せて、まず使われている英語を調べた

■一色:庸泰さんはオフ芝居も見てくれて、演者の居心地の悪さを交通整理してくれる

■元吉:小田島くんとこの時代の子たちの思いを話し、「とにかく怒っているんだ」と

■元吉:不満のぶつけどころが僕らはSNSで、彼らはクラブだったんじゃないのかなと

<ミュージカル『スライス・オブ・サタデーナイト』>
【東京公演】2023年11月3日(金・祝)〜 11月19日(日) 有楽町よみうりホール
【大阪公演】2023年11月21日(火)〜 11月23日(木・祝) 松下IMP ホール
【仙台公演】2023年11月28日(火)〜 29日(水) 電力ホール
公式サイト
https://slice.of.saturdaynight.jp

作】ザ・ヘザーブラザーズ
【翻訳・訳詞】小田島創志
【演出】元吉庸泰
【音楽監督】大嶋吾郎
【振付】原田 薫
【出演】河下 楽/神里優希 一色洋平 石川新太/黒沢ともよ・ダンドイ舞莉花(Wキャスト) 熊谷彩春 高田夏帆 田野優花/HideboH/川平慈英 ほか

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一色洋平さん(左)と元吉庸泰さん=撮影・NORI
一色洋平さん(左)と元吉庸泰さん=撮影・NORI

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<筆者プロフィール>達花和月(たちばな・かずき) 遠方の友人を誘って観たお芝居との出会いをきっかけとして演劇沼の住人に。ミュージカルからストレートプレイ、狂言ほか、さまざまな作品を観劇するうち、不思議なご縁でライターに。自らの仕事を語る舞台関係者の“熱”に、ワクワクドキドキを感じる日々。 ⇒達花和月さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. みゆ より:

    記事大変興味深く読ませて頂きました。
    当時の時代背景と今の日本が似ていると言うのも興味深いし、今やる意味、17歳の彼らの抱える怒りや悩みをぶつける場所がクラブだったと考えるとただ楽しいだけではなくて、物語の深みがますような気がします。
    また色んな事を知って観劇出来るのが楽しみになりました。

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