2023年12月8日(金)から12月27日(水)まで、東京芸術劇場プレイハウスで、2024年1月3日(水)から1月9日(火)まで梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演されるフレンチロックミュージカル『赤と黒』で、マチルド・ド・ラ・モールを演じる田村芽実さんのインタビュー後編です。
「下」では、演出のジェイミー・アーミテージさんも共演の三浦さんも同世代だということ、同世代だからこそ思うこと、演じるとはご自身にとってどのような表現ツールなのかということ、演じながら大切にしていること、芝居への探究心のことなどについてお話ししてくださった内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。
ーー歌稽古が始まって、ジェイミーさんもアレクザンドラさんもいらっしゃって、コミュニケーションをとっている中で、さらにおもしろいなと思ったことはありますか?
ジェイミーさんが歳が近いと知って、日本人の演出家の方でもそんなに若い方とご一緒したことがないので。
ーー商業ミュージカルとなると、なかなかいらっしゃらないですもんね。
それに本当にびっくりして。私がよく交流をもっていて、まだ30代前半で仲良しな根本宗子さんよりも若い。演出家の方とセッションはしますが、やはり舞台を全体的に見ているのは演出家の方ですから、GOやNOを出すのは演出家で、最終的なジャッジは演出家に委ねるというのが私の考え方なんです。年齢で人を判断するわけではありませんが、私は自分の役のジャッジすらもきちんとできているか不安なのに、私と同じくらいの人生経験で、全体の像を見てジャッジを下せる潔さを持っているのは、すごいなと思いました。ある程度の年齢を重ねていけば、感覚がついてくるから、いつか現場でも自分より年下の人が増えてきたら、できることもあるのかなと思うんですが。そこで、ある種のショックを受けました。
ーーしかも、国を超えてきているんですもんね。
言語の壁もあるわけじゃないですか。というところで、本当にこれは作品を通して出会えた人ですが、私自身への刺激になりました。同世代の方で、役者としてではなく、演出家という違う枠で活躍している方に出会う機会があまりないので。そこに結構刺激を受けてます。
ーー三浦さんも同年代ですが、演じ手としての魅力はどう感じていますか?
同い年なんです。結構何回も共演していて、「また同じだね」みたいな感じですが(笑)。彼の素敵だな、すごいなと思うところは、やはり真ん中に立つ人はこういう人なんだなと感じます。隣で見ていて、彼が出そうとして出しているわけではない、オーラや光があるなと。見せ方などを見ていても思いますし、全力だなと思います。稽古中にきついね、だるいねなど、しんどいときもあるんですが、若いですし、そう言いながらも常に稽古中も100%でやるんですよね。いろいろな人がいる中で、彼は、毎現場、常に仕事に対して自分の中での100%を出しているのを隣で見ていて思うんです。いい意味で、かっこつけないところがかっこいいと思います。全力なんですよね。
ーー『GREASE』も『ヘアスプレー』も、めちゃくちゃ良かったです。おふたりとも、若さも含めてエネルギーがすごく強くていいなと思って拝見しました。
私はどちらかというと、湿度があるエネルギーしか出せないんですが、彼はその場にいるとパッとスポットライトを当てたくなるような人間だと思うので。こういう人が真ん中に立つんだなと思いますね。だから、正直悔しい気持ちもあるんです。同じ年で、これだけ主役をはれて、彼の持っている才能もあると思うし、同い年というところに悔しさを感じますが、それは健康的な感情であって、本人にも言っています。自分の中では、ジェイミーもしかり、いい意味で勝手にライバル視しています。本当にいい意味で、そう思っている人ですね。彼も頑張っているから、私も頑張らなくちゃと。向こうは全然私のことなんて、なんとも思っていないと思いますが(笑)。いろんな人と、いろんな相手役をしていると思いますが、私は共演するときは、結構いつもメラメラ燃えています。
ーー「健康的な感情」というのが素敵ですね。
だから、正々堂々、真っ向から「あんたには負けたくない」と言っています(笑)。
ーーそのぶつかり合いが楽しみです。田村さんにとって演じること、お芝居との出会いや、演じていくことは、どういう表現ツールでしょうか。文字を書く、ものづくりをするなど、たくさんの表現方法があると思いますが、その中で誰かになって演じるというのは、どういうものなのかなと。
本当に心を解放することだなと思っていて、稽古場でどれだけ恥をかけるかだと思っています。心を裸にすることで、自分を裸にして解放するからこそ、役がきちんと入ってきてくれると私は思うんです。あと、もうひとつは嘘をつかないこと。どうしても役として、演劇でその場で日本の、たとえば『赤と黒』だったら東京芸術劇場プレイハウスでやっているのに、違う国のお話で田舎育ちなのに令嬢をやるなんて嘘なのに、自分の普段の行いだったり、感情と表現をあまり乖離させないことは大切にして、気をつけています。というのは、たとえば、表現に誠実であろうと思うんですが、生きていたらいろいろと失敗してしまうこともあるし、誰かを傷つけるつもりがなくても、傷つけてしまうことは誰でもあると思うんです。それが人間だから。そこに対して、表現をやる上で嘘をつかない。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、演じながら大切にしていること、芝居への探究心のことなどについてお話ししてくださった内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■傷ついたり負の感情も。そこに綺麗な布をかけないことを大切に、そのままの自分で演じる
■「泥くさく、ダサく、かっこ悪く」を突き通せるか。それを恥ずかしがらず表現できるかと
■映画の中の15秒間のシーンを、3日間かけて繰り返し観続けたり。そうやって芝居を探求する
■歌ったり芝居をすることが大好き。表現をすることに嘘をつかず、あぐらをかかずに一生懸命に
<フレンチロックミュージカル『赤と黒』>
【東京公演】2023年12月8日(金)〜12月27日(水) 東京芸術劇場プレイハウス
【大阪公演】2024年1月3日(水)〜1月9日(火) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式サイト
https://www.umegei.com/rouge-noir2023/
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三浦さんに対する、「健康的な感情」の部分読んでいて面白かったです!これからもっともっと主役で田村さんを拝見出来たらと思うので、応援しています。