2024年2月7日(水)から2月12日(月・祝)まで、東京・銀座 博品館劇場で上演されるミュージカル『Play a Life』の白猫チームで夫役を演じる佐藤隆紀さんのインタビュー後編です。「下」の無料部分では、『タイタニック』のチャールズ・クラーク役でミュージカルに初出演されてから、『エリザベート』のフランツ・ヨーゼフ役、『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン役など、さまざまな作品に出演される中での役作りや芝居について振り返るお話、今は「リアリズム」がご自身のテーマであるということについてのお話を紹介します。有料部分では、さまざまなミュージカル作品に出演される中での思い、2023年の振り返り・2024年の抱負について伺った内容を紹介します。
ーー佐藤さんは『タイタニック』で初めてミュージカルに出演され、その後も『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンをはじめ様々な役を演じられていますが、いつも役作りはどんなふうにされていますか?
「役作り」ということも、だんだんと考えるようになってきましたね。最初は、「何を考えたらいいのか」もわからなかったですし。『タイタニック』は、「ただ出て、とにかくやって」みたいな感じだったんです。『エリザベート』に初めて出たときには、一生懸命取り組んで歌っているんだけど、周りの人から見ると「全然なってない」とか。SNSでエゴサーチとかしたときに、「全然動きがなってない」と書かれたこともありました。
ーーエゴサーチは、ドキドキしたりしませんか?
全然しません!「そう見えてるんだ!なるほど!あ、じゃあ直そう」って、次の日には直すんです。
ーーすぐ直せるのがすごいですよね。
本筋のところとか、もちろん直しちゃいけないところは直さないですけど、「自分で、それは直せるし、直した方が絶対良くなる」って思えるところは、すぐに直すんですよ。だって、「その方が、お客さんが感動するんだもん!」って思うんです。最初の『エリザベート』のときには、 「あそこが変だね」って書かれていて、「確かに」って自分も思えて納得できたら、その都度変えていったんです。そしたら、すごく評判がよくなっていって。その後は、一豪さんにいただいたさっきの言葉のとおり、「そのままある、そのまま立つ」ということが大事なのかと気づいた段階があり、そこからまたいろいろな作品に出させていただきました。
その中で、例えばレミゼだと、伊礼彼方くんに、「なんでお前は前向いてばっか芝居してんだよ」って言われたことがあって。芝居の中では伊礼さんに向かって喋っているのに、どうしても客席のほうに、身体や顔を振ってしまっていたんですよね。そうすると、「お前、リアルはこうだろう? 客席には、ここ(身体の側面)で見せればいいんだよ」って。
ーー「客席に顔を見せなくても伝わる」ということですね。
「客席は、ここ(身体の側面)で感じるんだから」って。「確かに!」と思って、そうやると、ベクトルが相手の方にすごく向くんですよ。でもあまりにもそうやっていたら、演出家に「シュガー! ちょっと、もうちょっと前を向いてくれ!」って言われました(笑)。
けど、これはどっちもすごく大事なんです。要は、芝居をやっているときに「ベクトルが切れちゃいけない」っていうことなんですよ。セリフを言いながら、ただ顔をお客さんの方にむけてしまうと、完全にベクトルが切れてしまうじゃないですか。 絶対に、ここ(相手役へのベクトル)を切らないように、客席の方を見ながらという状態ができていたらいいんですけど。でも、動いているうちにまた切れちゃう!みたいな。そういうベクトルの感じ方とかについては、レミゼの時、伊礼くんに本当にたくさん、いろいろなアドバイスをもらったんです。
ーーバルジャンとジャベールは、向き合うシーンが多いですよね。
そうなんですよ! それからは、いろいろな作品を観に行く時に、そういうところが気になるようになって。あと、「手を動かすな」というアドバイスをいただいたこともありました。
ーー「手を動かすな」ですか?
例えば、今インタビューでこうやって普通に喋っているときには、手ってあまり動かしませんよね。
ーーはい。
でも、これがミュージカルになると、「ああ、なるほど!」ってわかるように、手を動かすわけですよ。
ーーああ! 確かに、感情を乗せながらというか、そうですね!
そうなんです。だから「手をたくさん動かすのは、リアルじゃないだろう?」って言われたんですよ。そう言われると、今度は手を動かさないようにするじゃないですか。そしたら今度は、「全く動かない人」になっちゃったんですよね。
ーー確かに。難しいですね。
「全く、手の動作をしない人」になっちゃうと、今度は大劇場で見たときに、何も表現できてない人になるわけですよ。そういう目線で、上手い人を観察したんですよね。例えば僕が好きな人だと、小野田龍之介くんとかハマコさん(未来優希さん)を見ていると、手をうまくちゃんと使っているんだけど、違和感がないんですよ。これが最近、「リアリズムだな」と思うんですよね。
ーー「リアリズム」ですか。
「動かそう」「表現しよう」として動かしていると、それは「しよう!」になってしまっているんです。でも、本当に心が動いて出た手だったら、違和感がないんです。感情が乗っている手だから。今、自分の中では、そこがすごく課題になっています。これまでにいろいろと試して、「全く動かさない」ということもやってみましたし。
そうやって試してみたので、「クセとして、手が動いちゃう。これは違うな」というのは、自分でわかるようになったんですよ。その役の人のクセとしての手の動きだったらいいんですけど。
ーーその人のキャラクターや心情を表すための手の動きであれば、OKということですか?
そうです。そうじゃないものは全部排除して、「その役としてのリアル」みたいなものを表現できたらいいなと思ってます。『Play a Life』は特に、すごくセリフが長い作品なので、本当にその役としてのリアルさというか、そういう状態のまま、立てるようにしたいなと思います。挑戦のミュージカルですね。たぶん、こんなにセリフがたくさんある作品は初めてです。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、さまざまなミュージカル作品に出演される中での思い、2023年の振り返り・2024年の抱負について伺った内容などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「自分の力を磨いていく」というところを、みんなで突き詰めたら歌の質も向上しそう
■「自分がかっこいい、正しい」ではなく、「お客様は、どう感じたら感動するのか」と
■LE VELVETSとして15周年目を迎えた2023年。経験に育てられて強くなり、懐も深く
■2024年は「ソロとしての挑戦がある年」に。『Play a Life』も初のソロコンサートも
<ミュージカル『Play a Life』>
【東京公演】2024年2月7日(水)~2月12日(月・祝) 銀座・博品館劇場
公式サイト
https://tiptap.jp/next/#playalife
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演技の難しさが素人の私にも分かりやすく話されていて、ますますPlay a Lifeが楽しみになりました。何気なく見ている自然な動きを出すのにも、苦労されているんですね。
あと、今回の写真がどれも本当にステキで見入っています。