2024年9月13日(金)に、俳優・柿澤勇人さんの初の写真集『untitled』(株式会社宝島社、撮影:黒沼諭さん)が発売されました。柿澤さんのインタビュー後編では、『ハムレット』についてのお話や、撮影された写真をご覧になりながらお話ししてくださった思いなどを紹介します。
ーー『オデッサ』は、忘れられないという方が多いと思うので、その記録がここでも見れるのは嬉しいですね。次は、『ハムレット』のお話をと思うのですが、ここからの写真は全部ハムレットですか?
基本そうですね。あ、これいいな。ブレがいいですよね。
ーーいいですよね。『ハムレット』については、いかがですか?
とにかく地獄の地獄といいますか…。他の作品とは、比べ物にならないですね。『オデッサ』、『スクールオブロック』も大変でしたけど、それとは別物というか…。
ーーそれは、「ハムレット」という役が持つプレッシャーですか?
そうですね。
ーーご自身の中では「ハムレット」という役を生きてみたという経験は、今どんなふうに残っていますか?
いや…全部覚えてはいるのですが、なんか、語るにはまだちょっと早いのかなというところがあります。
ーーなるほど。
あの経験が役に立ったとか、自信になったとか、芝居のことがわかったという感じには、今もなっていないですし、成長したかどうかもわからないです。(吉田)鋼太郎さんは、「ハムレットをやったら、あとは全部楽だよ」っておっしゃっていましたが、全く楽だなんて思っていない自分がまだいますから。今はまだわからないのですが将来の何かには繋がるのかなと思っています。
ーー他の作品とはまた、比べにならないぐらい大変だったのは、なぜだったんでしょうね?
それはやっぱりもう、ハムレットが持っている力じゃないですか? 戯曲と役の両方ですね。
ーー今、そのハムレットが持っている力というところで、特に役という観点から言語化できることはありますか?
あの役には、全てが入っていますから。感情も、分量も。上演時間3時間半のうちの3時間ずっと、板の上にさらされていて…「さらされる」という言い方が多分いいと思うんですけど。舞台上の役の人たち全員からも見られて、客席からも全員から見られていて、「お前の話だよ」っていうのがあるんですよね。
そんな中で、ハムレットとして、人を殺めることもするし、目の前で母が死ぬ。恋人も死んでいき、彼女たちを抱き抱える。そして、周りでは戦争が起きている。自分の好きな役者たちが来ると、めちゃくちゃ嬉しいし、それは一番信じていることでもある。それはシェイクスピアの芝居愛なんだと思いますけど。
役者をやっていて、喜怒哀楽というものがもしあるとしたら、その振り幅全部が『ハムレット』の中に集約されているんです。時代も国も違いますが、全て伝わってくるし、自分自身の人生と重なったりする部分も多々あります。「全部」が入っている。
あとは、身体も鍛えていく必要がありましたね。あと1、2年遅かったら、身体も今みたいに動かないかもしれないし、セリフもあそこまで喋れないかもしれなかったので、36歳でこの役に出会えたからこそというのも感じます。40歳になったらきっと、この間のようなパフォーマンスはできませんから。
役者に対して思っていたこと、芝居に対して思っていたことなど、自分が思っていたいろいろなことを、僕はずっと溜めていたんです。でも、それを爆発させる場がなかったし、沸々とそういうものを持ちながらどこか消化不良な部分が十何年あったので、そこを今回、全部出せたというか乗せられたかなと。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、『ハムレット』についてのお話や、撮影された写真をご覧になりながらお話ししてくださった思いなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■『ハムレット』の時代も今も、「人間の根本は、変わらないんだな」と
■シャンプーシーンの写真は、ノリ(笑)。素の自分を撮られるのは、恥ずかしかった
■「終演後、こんなにいい表情しているんだ」とか、心の声がそのまま顔に出ている
■「このときこうだったんだな」って、思い出アルバムみたいに見ていただけたら
<柿澤勇人写真集『untitled』>
【発売日】2024年9月13日(金) 定価:3080円(税込)
撮影:黒沼諭 判型:B5判 ページ数:128ページ
公式サイト
https://store.tkj.jp/shopdetail/000000018394/
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単なる一問一答ではなく、会話を重ねた深みのある内容のインタビューでしたね。読み応えある記事を届けていただきありがとうございます。