2024年10月11日(金)にすみだトリフォニーホール 大ホールで、10月14日(月・祝)に京都コンサートホール 大ホールで、初のフルオーケストラ公演『billboard classics KAI SHOUMA Orchestra Concert 2024』を開催される甲斐翔真さんのインタビュー後編です。
「下」では、ご自身のキャラクターのこと、「奇跡を目指す」ということ、再演作品に出演する際に意識されていることについて伺った内容と、お客様へのメッセージを紹介します。
――甲斐さんのお話を聞くと、元気になりますね。人間力が上がる気がします。
でも、何て言うんですかね。最近流行っているMBTI診断ってあるじゃないですか。僕はINTPなんですが、Iが頭文字だと、内向的なんですよ。逆にEが外交的なんです。僕は内向的なので、そんなにはつらつとしているタイプではないし、何だろう……(マネージャーさんに)プラス人間ではないですよね?
マネージャー:基本穏やかな海で、すん……としています。
――穏やかな海なんですね。
荒れる時はそんなにないんですけど、本番中もそれが燃えているわけではなくて、自分を表現するならば、すごく広大な湖の下に、いろんなドラマがある感じ。例えば、沈んだ街とか。でも、その湖は穏やか、みたいな感じです。自分の中でいろんなドラマが巻き起こっているけれども、自分の感情は乱れていないんです。わかりにくいですよね。何て言ったらいいだろう。舞台中でも、僕自身はいたって冷静なんですよ。どんなに感動的なシーンであれ、怒るシーンであれ、嫉妬するシーンであれ、いつでも「カット」と言われたら素に戻れるんです。でもそれは集中していないというわけではなく……難しいな。僕はよく宇宙人と言われるんですけど。
――宇宙人!?
「何を考えているのか分からない」と言われたり、「地球人ではないよね」という感じのことを、よく言われたりしますね。相手が言わんとしているところは分かるんですけど。
――でも、ご自身の中の感情はものすごく動いていたりするわけですね。
多分、いろいろ考えてしまうんです。だから、見た目に労力を使う暇がないんですよ。
――表現するような余力はないというか。
そうなんです。基本、そんなにしゃべらないです。脳が勝手に動いていろいろと処理しているんです。演技や公演で人の前に立つ時は、多分考えているものを表に出すことだと思っているんです。それをなくすことは簡単ですよ、という話です。
――なるほど、波の立たない湖であることは簡単なんですね。
はい。自分を分析して言語化するって難しいですね。クリスチャンに関しても、皆さんが「等身大だね」、「若い溢れるエネルギーがすごい」、「サティーンに恋する姿がリアルに恋しているみたい」、「甲斐翔真くんとクリスチャンの境目がない」みたいに言ってくださるんですが、僕はクリスチャンみたいな性格ではありませんから。あれはちゃんと演技していますということを、声を大にして言っておきたいです。確かに年齢は歳相応だとは思うんですが。
本当にちゃんと物語に必要な要素、クリスチャンがこうでないときっとこの物語にはならないであろうという、そこを考えてはめたら、あのクリスチャンになっただけで、等身大で演じているわけでもありません。ある意味、パズルの最後の穴に違うピースをはめたら完成しないですからね。
――クリスチャンは、考える前に動くタイプですよね。
そうなんですよ。体が先に行くタイプなので。(僕は)心が動くタイプなので、甲斐翔真とは全然違います。本当に全然違うので、あれは役として作っています。
――アイデアニュースには2年ぶりにご登場いただきますが、『クラウディア』『エリザベート』、『RENT』、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』、『イザボー』、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』再演など、素晴らしい作品にご出演されていますが、この2年間でさらに得た技術や出会いなど印象的なことはありますか?
さらに得たこと……、不思議なことに、マインドがずっと変わらないんですね。最初から楽しむということです。もちろん技術的な細かいことはありますが、根底にあるのはこの作品をいかにすごいものにするかということで、「この作品は今まで何回か観てきたけれど、今日は何かすごかった」というような体験をしてほしいんです。
――届ける側として、日々、そのトライを続けていらっしゃるんですね。
そうなんです。『October Sky -遠い空の向こうに-』という作品に出た時に、演出家の板垣さんが、「奇跡は結局偶然だけれど、奇跡を起こすために僕らはやっているから、奇跡を起こす準備をしないといけない。毎日毎日、起こそうとしても起きない奇跡を、起こそうとする気がなければ起きないものだから」とおっしゃって、それがすごく記憶に残っていて。
そこから「今日の公演で奇跡を起こそう」といつも思うんです。すごくたくさんの歯車が一気にがちっと噛み合う瞬間があって、それはひとつの歯車が完璧でもだめじゃないですか。全部がはまらないといけない。それはこちらだけじゃなくて、客席側もそうですし、今日の空気みたいなところもそうですし、それを日々目指してやっている中で、出会った時の楽しさみたいなところは、ここ数年意識してやっていることではあります。
――そこを目指してやっているということでしょうか?
奇跡を目指しています。作品のキャパシティが100だとしたら、それが200にも300にも、5億にもなり得るわけですよ。奇跡さえ起きれば。それくらい胸に迫るものにできるじゃないですか。変な話、舞台は生ものですが、映画を観ても、2回目、3回目、10回観て、やっと胸にくるものがあることもある。それは結局、観ている自分の状態なんですよね。舞台ならば、演者の状態もあります。それって結局、目指しても無理なものなんですよね。でも、目指さないと叶わないものなんです。だから、そこのトライという意味では、意識しています。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、「奇跡を目指す」ということ、再演作品に出演する際に意識されていることについて伺った内容やお客様へのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■再演の舞台は、本当は進化していなくても、進化したように見えてしまうのでは
■完パケをずっと届け続けるというのが、舞台の役目。「変えなきゃ」は違うのかなと
■「今を生きる」というのが大事なので、初演でも再演でも、やることは変わらない
■オーケストラを聴きに行くという習慣がない方々も、新しい扉を開きに来てほしい
<『billboard classics KAI SHOUMA Orchestra Concert 2024』>
【東京公演】2024年10月11日(金) すみだトリフォニーホール 大ホール
【京都公演】2024年10月14日(月・祝) 京都コンサートホール 大ホール
公式サイト
https://www.billboard-cc.com/kaishouma2024
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ムーランルージュザミュージカルを観てすっかりとりこになり、等身大のクリスチャンだと思い込んでいたのですが、ご本人は全く自分とは違うとおっしゃっていて、しっかり役を演じていることが分かりハッとさせられました。
役者の奥深さを感じ、更に甲斐翔真くんという人物を知りたいと思いました。興味深いインタビュー記事を書いて下さり、ありがとうございました。