元Jリーガー、東南アジアと日本の架け橋に 木場昌雄さんインタビュー(上) | アイデアニュース

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元Jリーガー、東南アジアと日本の架け橋に 木場昌雄さんインタビュー(上)

筆者: 堀内優美 更新日: 2016年4月15日

元ガンバ大阪キャプテンでタイでのプレー経験を持つサッカー選手、木場昌雄さんが代表をつとめる一般社団法人『Japan Dream Football Association(以下、JDFA)』は、東南アジアサッカーの発展と、東南アジア出身のJリーガーを輩出することを目的に、2011年9月に設立され、今年5年目を迎えます。「サッカーを通じて東南アジアと日本の架け橋に」との思いで地道な活動を続けてきた木場さんに、JDFAの活動、現役時代のこと、今後の活動についてお話を伺いました。上・下2回に分けてお届けします。(「下」は4月16日に掲載します)

JDFA代表・木場昌雄さん=撮影・堀内優美

JDFA代表・木場昌雄さん=撮影・堀内優美

■日本とアジアのサッカー界に恩返しを

――引退後、一般社団法人『Japan Dream Football Association(JDFA)』を設立されたきっかけは?

現役を終え、セカンドキャリアということでコーチやサッカー教室を立ち上げる話もあったんですが、Jリーグとサッカーリーグの経験をオリジナルの形として生かせる何かがあるのではないかと考えました。タイでプレーしている時、タイのサッカー選手の能力の高さというものを感じていたこと、海外からJリーグをみたときに、アジアの中のJリーグの存在の大きさを感じていたこと、それを生かせる形として、東南アジアの選手にもJリーグでプレーするチャンスを与えてあげたい、自分を育ててくれた日本とアジアのサッカー界に恩返ししたい、という思いが出てきました。そして僕が発信するからこそ説得力が出せると思い、2011年9月にJDFAを立ち上げました。現在は、タイを中心にアジアでの活動を行っています。

――タイの選手の能力の高さを感じたのはどういった点だったんでしょうか?

一緒にプレーしててそう感じたというのが一番大きいですね。Jリーグのプレーヤーと能力もそんなに変わらなかったし、彼らもJリーグでプレーできると感じました。

――JDFAの活動についてお話ください。

具体的にはタイを中心に東南アジアの中で、現地の子供たちを対象にサッカー教室を開いています。1日だけのサッカー教室で、まずJリーグを知ってもらい、みんなもJリーグでプレーできるんだよと、夢を持ってもらえるような、社会貢献的な活動として定期的にサッカークリニックを行っています。もう一つは、各国にサッカーリーグがあるので、選手のスカウティングをしています。トップチームや、育成年代も含め、僕自身いいなと思う選手をピックアップし、Jリーグのクラブにこういう選手がいるのでまず練習参加だけでもどうですか、と、アナウンスをしていく。この二つが大きな活動となります。

――アジアとJリーグの橋渡しみたいな形ですね。

そうです。サッカークリニックに関してはタイ、カンボジアの二ヶ国、スカウティングに関しては、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ミャンマー、ラウス、と、ASEANの国の選手はほぼ見てきています。

定期的にサッカークリニックを開催=写真提供・JDFA

定期的にサッカークリニックを開催=写真提供・JDFA

■Jリーグからであれば世界にいけるチャンスがある

――なぜJリーグに、と考えたのですか?

もちろん僕がJリーグで長くプレーさせてもらったこともありますが、自分のプレーヤー時代にもJリーグの素晴らしさを実感していたからです。海外からみた日本のJリーグって、アジアの環境的な中でも一番素晴らしいなと。スタジアムやファン、サポーター、そのあたりも本当に素晴らしい。だからこそアジアの選手にもチャンスを与えてあげたいと思ったんです。とはいえ、Jリーグが到達点ではありません。Jリーグからであれば世界にいけるチャンスがあります。いま日本で育った選手がたくさんヨーロッパでプレーしていますが、例えばアジアの選手がJリーグでプレーしていても、アジアの中でもJリーグは世界各国からスカウトの目が向けられているので、そこでプレーしてたら世界へいけるチャンスがある。Jリーグのアジアでの立ち位置は世界へ行く窓口なので、それがJリーグでプレーしてほしい大きな理由です。

――海外から呼んで、さらには世界へ羽ばたくチャンスを?

はい、与えてあげたいです。そういった選手が日本でプレーして日本代表のレベルが上がってきたように、例えばタイの選手が日本でプレーすればレベルアップし、タイの代表の強化にもつながります。マレーシアやベトナムの選手がプレーしても、各国のレベルが上がっていく。アジア全体のレベルが上がり、アジアのサッカー全体の発展にもつながると思うんです。

――こういった活動はでプレーしていた頃から考えていたんですか?

いや、選手の能力の高さは感じていましたが、自分の活動については全く考えていませんでした。選手時代は選手として100パーセント自分と向き合っていましたので。年齢的にも34~36歳の三年間をタイでプレーしていたので、現役としてはおそらく最後だと思っていたし、後悔なく選手として終えるためには100パーセント選手としてやりきるのが大事だと思っていました。100パーセントやりきったからこそ、いま100パーセントで迎えることができているように思います。

■タイの人たちはすごく明るいし、自分を受け入れてくれた

――なぜ、東南アジアだったんでしょうか?

タイでプレーしたいと思ったきっかけは、ガンバ時代、オフシーズンの1月に毎年自主トレでタイに行ってたんです。暖かいところに行って、オフ期間中トレーニングして新しいシーズンに備える形で。最初に行ったとき、タイのサッカーリーグってどんな感じか知りたくて、ぶらっと一人で見に行ったことがあったんです。当時は今みたいに盛り上がってないときでしたが、漠然とこんなところでサッカーしてみたいなと思いました。その後、ガンバからアビスパ(アビスパ福岡)へ、アビスパから富山(ヴァリエンテ富山)へ、富山から滋賀(Mioびわこ滋賀)へ、とチームを移るタイミングの時には常に僕の中でタイというのがあったので、滋賀をやめたとき、最後はタイでプレーしようと思ったのです。

――タイの温暖な環境が合っていたということですか?

タイの人たちはすごく明るいし、親日っていうのもあり、自分のことを受け入れてくれたので、日本人が行ってもそんなに困る環境ではないと感じていました。実際は、旅行で行くのと住んでみるのは全然違っていて、その辺はギャップもありましたが……(笑)。

現役時代の木場選手=写真提供・JDFA

現役時代の木場選手=写真提供・JDFA

■グラウンドで一緒に戦った仲間の繋がりって大きい

――このような活動をはじめるにあたって、現役時代の仲間たちの反応はいかがでしたか?

「どんだけタイ好きやねん」と(笑)。だけど、何にもないところから築き上げる大変さをみんなも感じてくれてて、とても応援してくれています。それは今も変わりません。

――いろんな選手が関わっていますが、選手時代は仲間でありライバルだった人たちが、現在は育成という別の形で協力してくれているわけですよね?

例えばサッカー教室にゲストで来てもらったりしているんですが、僕の活動にみんな賛同してくれて、逆にこの活動を通じてアジアに行くチャンスを与えてもらっているという風に感じてもらえたりしてるみたいです。僕は、みんなにわざわざ来てもらうことに感謝してるし、現役時代にグラウンドで一緒に戦った仲間だからこそ応援してくれていると思う。現役時代の繋がりって大きいと感じます。

――そういう繋がりって、深い絆ですよね。

あまり会ってなくても声をかけたら一つ返事で来てくれるし、僕らサッカー選手だった人たちが持つ強みでもあるので、そういう人脈は生かし、大切にしたいって思います。

――現役時代の経験が役に立っていること、逆に大変だと感じることはありますか?

現役時代は、基本的に試合に勝つこと、勝つためには何をしないといけないかということを100パーセント掘り下げて考えていました。今の活動では東南アジアの選手がJリーグでプレーするために具体的に何をしないといけないかを掘り下げて考えてやっているので、考え方は何も変わっていないです。ただ、専門的なことを学ばないといけないというところでは、選手の頃とは違いますね。東南アジアの選手をJリーグでプレーさせるためには何をしないといけないかを考え、学ばないといけない。だけど、自分からすればやることが変わっても同じ感覚なので、苦労だと感じていません。昔も今も自分のやりたいことをやっているので、すごく幸せだと思っています。

■東南アジアの選手をJリーグでプレーさせる目標がまだ達成できてない

――引退後、サッカーに関わる仕事につけるとは限らないですもんね。

特に僕自身、これまで誰もやったことがないことをさせてもらってるので、この4年、いろんな人に知ってもらえるようになって、そういう意味での面白みを感じています。ただ、東南アジアの選手をJリーグでプレーさせないといけないという目標がまだ達成できてないので、これから結果として変えていかねばならないと思っています。

<関連サイト>
一般社団法人JDFAのオフィシャルサイト

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継続していくことがモットーであり心がけ 木場昌雄さんインタビュー(下) (4月16日掲載予定)

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<筆者プロフィール>堀内優美(ほりうち・ゆみ) フリーライター。兵庫県出身。行政の広報・番組制作に携わった後、フリーアナウンサーに。女性ならではの繊細な感性で描くコラム、医療・教育・エンタテインメント分野の執筆・取材を得意とし、新聞・雑誌・WEBにて連載中。司会者、ナレーター、講師としても活動している。 ⇒堀内優美さんの記事一覧はこちら

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