エフィー役、モヤ・アンジェラのパワフルな歌声が圧巻 ミュージカル「ドリームガールズ」 | アイデアニュース

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エフィー役、モヤ・アンジェラのパワフルな歌声が圧巻 ミュージカル「ドリームガールズ」

筆者: 中本 千晶 更新日: 2016年6月11日

6月8日、東急シアターオーブにて開幕した「JIM BEAM presents ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』」を観た。「コーラスライン」の振付・演出で知られるマイケル・ベネットの遺作でもあり、2006年には映画化もされている。私も素晴らしい作品との噂を聞き、一度観てみたいと思ったが、当然すぐには叶わないので、とりあえず映画を見てみた。映画も十分面白かったのだが、やはり生の舞台を観てみたいと思っていた。その願いが、幸運にも日本で叶うこととなった。

「JIM BEAM presents ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』」日本公演より=©Kumiko Suzuki

「JIM BEAM presents ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』」日本公演より=©Kumiko Suzuki

時は1962年。物語はニューヨークのハーレム、アポロシアターの舞台裏から始まる。歌手になることを夢見る三人娘がシカゴからやってきて、コンテストに参加しようとしていた。美人でしっかり者のディーナ、最年少で可愛いローレル、そして抜群の歌唱力を誇り自信満々なエフィーだ。

3人はそこでカーティスという男に出会う。彼はしがないカーディーラーだったが、実はプロデューサーとしての天才的センスと野心を秘めていた。マネージャーを買って出たカーティスの見事な手腕のおかげで、彼女たちはスターダムを登りつめていき、やがてエフィーはカーティスを愛するようになる。

だが、さらに上を目指すためにカーティスが考えついた策は「エフィーに代わって美人のディーナをセンターにする」という非情なものだった。荒れるエフィーは次第に手に負えなくなり、ついにはクビを言い渡されてしまう。

失意のままに故郷シカゴに戻るエフィー。いっぽう頂点に登り詰め、押しも押されぬスターの座を手に入れたディーナも自分を偽り続ける日々に疑問を感じ始める。10年後、それぞれの「本当の夢」を追い求める旅が再び始まる・・・。

◆ディーナの美貌、ローレルの愛嬌、そしてエフィーの歌声!

何といっても「ドリームガールズ」3人それぞれの魅力が楽しい。知的でエレガントなディーナ(ジャズミン・リチャードソン)。彼女が「選ばれし者」としての自覚に目覚め、みるみる洗練されていく様には文句なく目が釘付けになる。

「JIM BEAM presents ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』」日本公演より=©Kumiko Suzuki

「JIM BEAM presents ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』」日本公演より=©Kumiko Suzuki

ローレル(ブリトニー・ジョンソン)の天真爛漫な明るさは、この作品の中でいつも心を和ませてくれる。まるで一服の清涼剤のようだ。

だが、何といっても圧巻はエフィー(モヤ・アンジェラ)の歌声だ。映画のように細かい描写ができない分、歌でぐっと物語を進め、つべこべ言わずとも説得力を持たせる。そんな力がエフィーの歌にはある。

「JIM BEAM presents ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』」日本公演より=©Kumiko Suzuki

「JIM BEAM presents ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』」日本公演より=©Kumiko Suzuki

エフィー一番の聴かせどころは1幕ラストの「And I Am Telling You I’m Not Going」だ。夢の世界からただ一人放り出されたエフィーの悲痛な歌声が胸を打つ。エフィーの抜けた新生「ザ・ドリームズ」たちの華やかさとの残酷なコントラストは、舞台ならではの表現だと思った。

1幕では堅苦しさがなかなか取れなかった初日の客席が、1幕ラストから2幕にかけてみるみる温まっていくのが手にとるようにわかった。私が好きだったのは2幕の最後、ディーナとの再会の場面で歌われる「Listen」だ。歌詞の一言一言がとても心に響く。この曲を歌い終わった時は拍手と歓声が鳴り止まず、なかなか次のセリフに入れないぐらいだった。

<JIM BEAM presents ブロードウェイ・ミュージカル「ドリームガールズ」>
【東京公演】2016年6月8日(水)~6月26日(日)  東急シアターオーブ (渋谷ヒカリエ11F)
お問い合わせ Bunkamura 03-3477-3244 、ローソンチケット 0570-000-407
公式ホームページ ⇒http://www.dreamgirls2016.com

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アポロシアター・オリジナルキャストのモヤがエフィー役、「ドリームガールズ」8日開幕
https://ideanews.jp/archives/21748

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<筆者プロフィール>中本千晶(なかもと・ちあき)/フリージャーナリスト。兵庫県生まれ、山口県育ち。東京大学法学部卒業後、株式会社リクルートに勤務ののち独立。舞台芸術、とりわけ宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で分析し続けている。宝塚歌劇関係の著作に『宝塚歌劇に誘(いざな)う7つの扉』『宝塚歌劇は「愛」をどう描いてきたか』(いずれも東京堂出版)など。「日経MJ」「朝日新聞デジタル」でも、舞台関連の記事を執筆中。NHK文化センター講師、早稲田大学非常勤講師。⇒中本千晶さんの記事一覧は、こちら

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