2023年4月23日(日)に東京・江戸川区総合文化センター 大ホールでプレビュー公演が開催され、4月28日(金)から5月3日(水・祝)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで、5月6日(土)から5月7日(日)まで熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館) 大ホールで、5月20日(土)と5月21日(日)に、大阪・枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホールで、5月24日(水)から5月31日(水)まで東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)で上演される舞台『BACKBEAT』に、ジョン・レノン役で出演する加藤和樹さんと、ピート・ベスト役で出演する上口耕平さんのインタビュー後編です。「下」では、ピートが去った時のジョンとしての気持ち、リヴァプールで実際に彼らの足跡を追った時の想い、初演時に印象に残ったシーン、この作品に出演したことで聴いた時の印象が変わった曲のことなどについて伺った内容と、お客様へのメッセージを紹介します。
ーー「ビートルズのお母さん的存在」とおっしゃっていたピートが、最後は離れていってしまうわけですが、その時のジョンはどんな気持ちなんでしょう?
加藤:本当は、心苦しいんです。お芝居でいうと、ピートがメンバーから外されるということを上で聞いているというシーンもあります。もちろん、実際に彼の気持ちがどうだったかはわからないのですが、やっぱりずっと苦しい時代を共に歩んできた仲間なので、苦渋の選択ではあったと思うんですよね。残された三人が思っている「ビートルズとして何をなしていきたいのか」というところとの方向性の違いや、積もりに積もった、ちっちゃい亀裂みたいなものが本当に大きなヒビになってしまったという。そういうところでの決断だったような気がしています。「いつまでも、バカはやってられない」という感じです。
上口:うん。
加藤:ピートが去るのは、「バンドとしてじゃあ、何を大事にしていくのか、何を求めていくのか」という道がちょうど分かれ始める頃だと思うんですよね。でもそれはやっぱり、ハンブルク時代を共に経験したからこその選択であって。それがなかったら、スチュ(スチュアート・サトクリフ)の一件はありましたが、いつまでも同じメンバーでやっていたかもしれないとも思います。やっぱり、その選択には、ハンブルク時代のことが関係していた気がしていますね。
ーー実在の方々ですし、そこを踏まえて色々と考えながらでしょうか。
加藤:当時のことを知る人はほとんどいないとは思いますが、実際に僕らはイギリスのリヴァプールに行って、彼らの空気を感じてきているんです。そこの思いみたいなものは、しっかりと伝えたいです。「彼らが実際にそこに存在していた」という軌跡を辿れたことは、大きかったですね。
上口:はい。大きかったです。
加藤:架空の人物ではないので、やはり彼らの足跡が実際にそこにあるわけですよ。スチュのお墓参りにも行きました。そこで自分たちがやろうとしていることの重大さを感じました。でも役者としてそこに挑戦したいというワクワク感もありました。この作品、そしてジョンたちビートルズに出会えてよかったという思いもありますし、今回再演できるというのは、本当に光栄なことです。
上口:ジョンはもちろん、ビートルズのメンバーのことは世界中が知っているので、「実在の方を演じる」というレベルを超えていると思うんです。だから、カズくんやみんなを見ていると、それぞれが今の自分の全てをかけて挑むその姿に、前回もすごく心打たれていました。僕が演じるピート・ベストについては、他の方々に比べると知っている方は少ないとは思いますが、だからこそ、彼の濃さを僕自身が命をかけて作って、届けたいという想いがあります。ビートルズのメンバーが、ライブをしていた本当にちっちゃい場所がイギリスにあって。実はそこがピートの家で、そこにも行きました。
ーーそうなんですね!
上口:もうね、本当にめちゃくちゃ小さくて、倉庫みたいな地下の場所なんです。「ここ?」みたいな。
加藤:そんなに人数も入れないくらいだよね。
上口:入れないよね。30人でももう無理だろうな、くらいの。でも、当時の若い女の子たちがそこに押し寄せていたんです。当時の写真や、ジョンが書いた壁とかも残っていて。そういうものを見ながら、たぶん、これがピート・ベストにとってすごく幸せな瞬間だったんだろうなと思いました。だからこそ、すごく誇り高い人物でもあり、「俺が、こいつらを!」という感じだったんだろうなとわかりました。実在の方を演じるにあたって、その人にまつわる土地まで行って掘り起こしていくという作業は、この時が僕も初めてでしたが、とても大切なことだと感じて。今回、当時の気持ちをもう一度振り返りながら、今知れることをまたどんどん追求していきたいと思っています。
ーーそのような想いも踏まえつつ、前回出演時に、印象に残ったシーンはどのあたりでしたか?
上口:どこも印象的ではあるのですが、ジョンとポールの二人のシーンが僕は好きでした。ジョン・レノンとポール・マッカートニーという二人の天才の存在からビートルズはスタートしていますし、彼らの存在が全てでもあるというか。ジョンも、唯一ポールの言うことだけは聞いたりするという、当時のそういう様子を切り取ったひとコマがあるんです。ビートルズを描いた作品は他にもいろいろありますが、こういうシーンは、やっぱりこの『BACKBEAT』という作品ならではかなと思っています。具体的には、ジョンとポールが曲を作るシーン。そこがすごく印象的でした。
ーー加藤さんは、いかがですか?
加藤:ジョンって本音を言わないというところがあって。ポールに言葉をぶつけるシーンはあっても、本当に腹からは言えてない感じがあるというか。たぶんどこかで、照れ屋な部分もあるのでしょうし、「お前ら、言葉にしなくてもわかるよな?」という信頼もあったんだろうと思うんです。映画で『BACKBEAT』を観た時にも思ったのですが、スチュが亡くなってみんながお悔やみをしている中、憎まれ口をジョンがたたくというシーンがあるんです。ジョンは、そこから段々と崩壊していく…。自分にとって課題のシーンでもあるし、すごく印象的なシーンでもありますね。
<取材協力>
スタイリスト:ゴウダアツコ
ヘアメイク:国府田雅子[b.sun]、田坂貴恵、伊藤こず恵
※アイデアニュース有料会員限定部分には、初演時に印象に残ったシーン、この作品に出演したことで聴いた時の印象が変わった曲のことなどについて伺った内容やお客様へのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■上口:この作品に出会ってからは、胸にチクッとくる「Twist And Shout」
■加藤:ビートルズの音楽は、「ハンブルク時代」に支えられているという想いに
■上口:「全力ライブ空間」というものを、体感しに来ていただけたら幸せ
■加藤:ファンの皆さんからも再演を望む声が。初演を超える感動を作り上げたい
<舞台『BACKBEAT』>
【プレビュー公演】2023年4月23日(日) 江戸川区総合文化センター 大ホール
【兵庫公演】2023年4月28日(金)~5月3日(水・祝) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【熊本公演】2023年5月6日(土)~5月7日(日) 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館) 大ホール
【大阪公演】2023年5月20日(土)~5月21日(日) 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
【東京公演】2023年5月24日(水)~5月31日(水) 東京建物 Brillia Halll(豊島区立芸術文化劇場)
公式サイト
https://www.backbeat-stage.com/
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上下にわたって加藤さん上口さんの作品に対する熱い想いがたくさん詰まったインタビューを掲載いただきありがとうございました。
これからの観劇に向け、初演時の思い出と照らし合わせながら楽しく読ませていただきました。
印象深かったピートが去るシーンもこのインタビューを踏まえるとまた違って見えそうです。
4年の時を経て芝居や演奏のグルーヴ感がますます深まった本作を、私たち観客が1オーディエンスとして一緒に創り上げながら観劇できることが今からとても楽しみです…!