2024年11月16日(土)から12月1日(日)までシアタートラムで、12月14日(土)と12月15日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで、『ロボット』が上演されます。ロボットの反乱後、ただ一人のこされる人間であるロボット研究者アルキストを演じる水田航生さんのインタビュー後編です。「下」では、ノゾエ征爾さんとのお話の中で新たな発見やヒントとなった視点のこと、稽古場でのコミュニケーション、作品のこと、作品に向き合いながら考えていらっしゃることなどについてお話ししてくださった内容を紹介します。
ーー演出のノゾエ征爾さんと、作品のことや役についてお話になったことで、特に「新たな発見だったな」というようなことはありましたか?
先ほどもお話しした、「若者こそ、一番現実的だよね」という視点です。ノゾエさんご自身、若者たちに教える機会が普段ある中で「より最近、そう思うんだよね」というお話をちらっとされていたんです。それを聞いていて、確かにそうだなと思っていて。
台本だけを読んでいると、やはり達観している人物なので、「啓示を受けて、神の言葉を借りて言ってるんです」というふうに読めなくもないですし、スマートで頭がよく、単刀直入に発言しているようにも見えるんですが、その奥には若者的な心が、すごくぐちゃぐちゃしているのかもしれないですよね。「このままじゃ大変なことになる。でも発言できない」と。でも側から見たら、「なんかクールだね」という印象なんだろうなと思います。
ーー確かに、台本を読むだけだと「何も考えてない人」にも見えてしまうなと思いました。
そうなんです。アルキストって、意外とそういうふうに見えるなと。昨日そう思ったので、今日の稽古では全然違うふうに演じてみようかなと話していたんです。もしかすると、全然変わらないかもしれませんが、自分の心持ちとして、1回別のアプローチもチャレンジしてみたいなと思っています。割と人間味があって人情味がある人物像ですね。
ーーそうですよね。
昨日の稽古が終わった後で、「レンガを積むことが好き」という方の中に、割とそういう要素があるのかなとノゾエさんとお話ししていたんです。人間の、何か不毛なことが一番大事だということに気づいている人って、人間をすごく見ていて、人間への愛があって、人間に優しいと思うんです。そういうことをノゾエさんがおっしゃったりするんですけど、そういったことが結構ヒントになったりしています。
ーー共演者のみなさんとは、お話しされましたか?
お芝居以外のコミュニケーションは、そこまでできていないです。今はまだ、台本を覚えるなど、自分で考える時間がすごく多い時期なので。でも、芝居のことを真摯に考えながら、まっすぐに芝居を作り上げている先輩方を見ながら「こうあるべきだな」と改めて気づかされています。自分の身を削って、「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤されていて。考え抜かれた上でこの戯曲やご自身の役に向き合っていらっしゃる。言葉はまだあまり交わしていませんが、そういう姿勢を感じながら、みなさんを尊敬しています。
ーー今回、渡辺いっけいさん、朝夏まなとさんとコメントを出してらっしゃいますよね。舞台上でも、一緒に先頭に立つ役かと思いますが、お二人と何か、芝居について話されたことなどはありますか?
朝夏さんとは席が隣なこともあり、初対面であることを感じないぐらい、すごくフランクに芝居の悩みなども話しています。「ちょっと迷っているんですけど、こんなふうにやってみてもいいですか?」と話したりしますね。いっけいさんからは、対峙する共演者から受け取るものを求めていらっしゃる姿勢が、すごいなと感じています。
ーー稽古の中で作品のイメージは変わりましたか?最初のコメントでは「不思議なイメージ」というお話もされていましたよね。
最初に読んだ時の感想に近いかもしれないですね。この作品には、明確な答えや「こういうメッセージを届けよう」というものはないと思うんです。自然とは、人間とは、あるいは働き方とは、最終的には愛とはとか。いろいろな要素についての疑問を投げかけて、「さあ、どう思います?」と提示するというか。滑稽に思えたり、逆に不安に思ったり恐怖を感じたりと、喜怒哀楽の4種類だけでも、ご覧になった方それぞれの感想があると思うんです。
観た後に人と話したくなるんじゃないでしょうか。「これってもしかすると、AIに人間が仕事を取られるみたいなことを意味しているのかな」とか。実際にそうなったらどうなるのか、フィクションではありますが、この『ロボット』という作品ではそこまで描かれています。そこから、こういうこともあり得るんだなと思いながら調べると、意外と人間みたいなロボットももう存在していると知るきっかけになるかもしれませんし。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、作品のこと、作品に向き合いながら考えていらっしゃることなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■常識って「常」と書くけれど、「常」じゃない。僕が生まれてからの33年間でも変わった
■「すごく近いけど、何か違和感がある」みたいな感じの世界が描かれる『ロボット』
■意識的に変えてはいないが、ストレートプレイへの向き合い方はミュージカルとは異なる
■「労働」を意味する言葉から派生した「ロボット」と、「愛」。作中のウエイトはいかに
<『ロボット』>
【東京公演】2024年11月16日(土)~2024年12月1日(日) シアタートラム
【兵庫公演】2024年12月14日(土)〜2024年12月15日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
公式サイト
https://setagaya-pt.jp/stage/15694/
『ロボット』 関連記事:
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岩村さんが引き出してくださる水田さんの魅力を感じながら、作品へ取り組む様子やロボットのことなど、とても興味深く拝読しました。先日ロボットを観劇した際も、記事のことを思い出しながら観劇できてより楽しむことができました。素敵な写真もありがとうございました!