2015年9月12日(土)、グランフロント大阪で「バリコレ」が開かれました。NHKのEテレ(教育テレビジョン)の人気番組「バリバラ」が企画したバリアフリーファッションショーです。テレビカメラとたくさんの観客の前でステージに登場したモデルは、車椅子や義足のユーザー、知的障害のある人たち。全国から集まったデザインチームが、障害のあるなしに関わらず、誰もが「私も着てみたい!」「あの車椅子に乗ってみたい」と思う素晴らしいファッションを発表しました。そのトリをつとめたのが、アイデアニュースで以前紹介した川端教子さんのプロデュースする花嫁衣装とウエディング専用の車椅子「イスコ: Isco」でした。Iscoに乗って、このステージで本物の結婚式をあげた新郎新婦の幸せそうな姿を、ぜひご覧ください。
本物の結婚式をとりおこなうため、牧師様もステージに上がります。これまでバリアフリーファッションショーを楽しんでいた観客が、そのまま結婚式の「参列者」になり、花嫁の登場を待ちました。
ご両親と一緒にステージに現れた本日の主役、花嫁のみづきさん。白いウエディングドレスと長いベールが、輝く笑顔を引き立たせています。まるで立っているように見えますが、すでに結婚式専用車椅子Iscoに座っている状態です。ドレスが映えるように、Iscoは座面の高さを43センチから70cmまで自由に上げることが出来るのです。
お父様の腕をとるみづきさん。操作レバーまで白色で、肘掛けも白いフリルでドレスアップしているIscoは、それ自体がウエディングドレスの一部なのです。
ステージで中央で待つ花婿、ジェフさんのところへ進むときも、Iscoは滑らかな動きでみづきさんを運んでいきます。お父様とゆっくりバージンロードを歩いているような姿です。
牧師様のお話を聞くときも、誓いの言葉をいうときも、手を取り合ったふたりの顔はいつもより近くにあります。式の間、見つめあったり微笑みあったりする姿が、本当に素敵でした。
Do you promise to love her and comfort her, to honor her, to keep her in sickness and health, in prosperity and in adversity, so long as you both shall live? 病めるときも、健やかなる時も、富めるときも、貧しき時も、この女性を妻として愛し、慰め、敬い、慈しむ事を誓いますか?
もちろんジェフさんの答えは「誓います」。みづきさんも同じように答えて、たくさんの人に祝福されながら、ふたりは正式に夫婦となりました。
誓いのキスもこんなに自然で、そしてロマンティック。
明るくて、活発で、何にでも挑戦してきたというみづきさんが、たったひとつチャレンジしなかったという恋愛。「誰かと付き合うなんて出来ないんじゃないか」と思って過ごした10代だったそうです。でも、20歳でアメリカに留学、そこで出会った台湾からの留学生ジェフさんと運命の出会いを果たします。今日のこの日を迎えるまで、辛いこと、困難なことを幾つも乗り越えてきたふたり。「だからこそ結婚式は、みづきさんが思い描いていた通りのものにしてあげたかった」というプロデューサーの川端教子さん。美しいドレスに身を包んだ花嫁みずきさんが、ジェフさんの隣を同じ目線で移動するのを、教子さんが開発した結婚式専用電動車椅子Iscoは式の間中、ずっと支えていました。可憐でいて頼もしい車椅子なのです。
「バリコレ」の仕掛け人で、ショーの司会を務めたはるな愛さんと、ゲストの押切もえさんが、花嫁のベールを持って、移動を手伝います。
結婚式と言えば、花嫁のもうひとつの夢は素敵なお色直しの衣装。ウエディングドレスとはひと味違った、個性を生かしたファッションを楽しみたいという希望も、教子さんたちにかかればお手の物なのです。普通ならお色直しのために退場する花嫁ですが、着替えに時間がかかる車椅子ユーザーの方も、希望通りのドレスにあっという間にお召し変えが可能。サプライズ演出として、皆さんの前で変身するという趣向です。今回、みづきさんが着用したドレスは、和のテイストのドレス。ピンクから紫の艶やかな色合いが、みづきさんの新しい美しさを引き出しています。車椅子を使っている人だけではなく、楽に快適に着られるユニバーサルドレスとして、どなたでもご利用いただけますと教子さんが解説していました。体に負担なく、短時間でお色直しが進む様子を、動画でご覧ください。
本物のモデルさんのように、堂々とステージを進むふたり。お色直しの衣装を引き立てるため、着替えるときに下がっていたIscoの座面は再び高く上がり、みづきさんはロングドレスを鮮やかに着こなしていました。
この後、みづきさんへのサプライズプレゼントが披露されました。台湾にいるジェフさんのご両親からのビデオメッセージ。ビデオを見るために、ステージ上でくるっと後ろを振り返ったみづきさんのなめらかで自然な動きも、小回りの利くIscoの本領発揮というところです。ふたりを祝福し、ふたりを誇りに思うという内容に、会場からも大きな拍手がおこりました。
「聞いていなかったので、すごく嬉しい!」というみづきさん。「実はお母さん、反対してました。でも、みづきに会って、すごく強い人って分かって、生活もちゃんと出来るってことを見てもらってからは、認めてくれました。家族の一員としてお祝いするメッセージをもらって、泣きました」とジェフさん。いつのまにか、友人か親戚のような気持ちでステージを見守っていた人たちが、頷いたり、笑ったり、泣いたりした温かな結婚式も、いよいよフィナーレです。
みづきさんの学生時代のお友だちから、歌と演奏のプレゼント。曲は、中島みゆきさんの「糸」。
『どこにいたの 生きてきたの 遠い空の下 ふたつの物語』
『縦の糸はあなた 横の糸はわたし』
『逢うべき人に出逢えることを 人は仕合わせと呼びます』
たくさんの笑顔と拍手に祝福されて、みづきさんとジェフさんの結婚式は滞りなく行われ、バリコレも終了しました。当日の模様は、10月に放送される「バリバラ」をぜひご覧ください。
NHK・Eテレの「バリバラ」のホームページは、こちら → http://www.nhk.or.jp/baribara/index.html
川端教子さんのプロデュースする結婚式は、国籍・性別・年齢・障害の有無に関係なく、誰もが思い描いた式を挙げられる「ユニバーサルウエディング」です。今回バリコレに登場した車椅子は花嫁専用の電動車椅子でしたが、車椅子ユーザーの新郎や、車椅子ユーザーのお父様お母様のために開発したIscoもあります。ドレス以外に、特別仕様のウエディングシューズや、専用のペチコートも開発。手話や点字、通訳の手配も可能。晴れの日を、最高の笑顔で過ごすための様々な工夫をされています。「どうぞ、あなたの夢をあきらめないでください。まずはご相談ください」と話す、頼もしい教子さんでした。
教子さんの会社、「スマイルエッセンス」では、電動車椅子Iscoと専用のウエディングドレスを体験するフェアーを、10月、11月、12月と企画されています。結婚式を考えている人も、Iscoに興味がある人も、ドレスを着てみたい人も、どなたでも参加できる体験フェアーです。
- 開催日時: 10月25日(日)午前10時30分~12時
- 11月16日(月)午後2時~3時30分
- 12月19日(土)午前10時30分~12時
- 開催場所: 大阪市北区民センター 第1会議室
- 住所: 大阪市北区扇町2-1-27)
- 電話: 06-6315-1500
- 参加費: 大人1200円(付き添い1名無料) 子ども500円
- ソフトドリンクとお菓子付き
「スマイルエッセンス」のホームページはこちらです→http://www.smile-es.co.jp/
<アイデアニュース関係記事>
体に負担なく簡単に着られるユニバーサルウエディングドレスと靴を体験
→ https://ideanews.jp/archives/2192
新郎の立ち姿に合わせて寄り添えます!ウエディングドレス用の車いす
→ https://ideanews.jp/archives/2045
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<アイデアニュース有料会員向けコンテンツ>
アイデアニュース有料会員(月額300円)になっていただいている方々には、バリコレ第3部の様子を詳しくご紹介いたします。
個性を認め合う空間
セクシャリティの多様性を祝うスペシャルステージ
格好いい新郎の衣装は「タキシーマ」
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