共感以外の刺激として残るものが日常である可能性は、舞台『ダム・ウェイター』ルポ | アイデアニュース

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共感以外の刺激として残るものが日常である可能性は、舞台『ダム・ウェイター』ルポ

筆者: 村岡侑紀 更新日: 2021年3月17日

伊礼彼方さんと河内大和さんの2人が出演する舞台『ダム・ウェイター』が2021年3月16日(火)に下北沢・小劇場楽園で開幕し、3月28日(日)まで上演中です。『ダム・ウェイター』は、2005年にノーベル文学賞を受賞したイギリスの劇作家ハロルド・ピンターが初期に発表した戯曲で、「不条理演劇の傑作」と呼ばれる作品。登場人物は、ベン(河内さん)とガス(伊礼さん)の二人の殺し屋。地下室で仕事の指示を待っていると、そこにあるダム・ウェイター(料理昇降機)が突然動き出し、中には料理のオーダーが書かれた紙切れが入っているのでした。奇妙な指示に踊らされて、困惑する二人にボスの指示が届き…。体感する人によって、エンディングの理解が変わるというこの作品。ゲネプロの様子をお伝えします。

舞台『ダム・ウェイター』より=撮影・BUN
舞台『ダム・ウェイター』より=撮影・BUN

開幕前日の3月15日に行われたゲネプロ公演。「ガスサイド」と「ベンサイド」で見える光景が異なる本作。私は「ガスサイド」にて拝見しました。「ガスサイド」右寄りの位置は、全体像を見やすい席でしたが、「ベンサイド」からはまた別の光景が広がっていたはずです。

劇場には比較的全体像を見やすい位置が存在するとはいえ、一度にベンサイドとガスサイドを見るのは不可能です。『ダム・ウェイター』のチケットを買う時、観客は自らの視点をベンに固定するのか、ガスに固定するのか選択することになるわけです。

ガスが完全に背中を向けているシーンなどでは「逆からは、いまどのような光景が見えているのだろうか」「ガスはどんな表情をしているのだろうか」とふと歯痒いのですが、つまりその経験は、自分の顔が自分では見えないような感覚でもあることに気づかされます。

『ダム・ウェイター』は、下北沢にある本多劇場系列の小劇場「楽園」で上演されています。緑色の扉にオレンジピンクで大きく「楽園」と漢字で書かれた扉を開くと、地下へ向かうやや急な階段が現れます。階段を下りれば、ぽつりと灯る豆電球がぼんやりと照らし出すベンとガスが現れる前の部屋。目が慣れてくると、ベッドが2台あり、椅子があることに気付きます。

ベンとガスが、この地下室に入ってくる瞬間の気持ちを観客も感じられる劇空間でした。ここでこれから何が起こるのか。観客はもちろん、ベンとガスも知らないのですから。

舞台『ダム・ウェイター』より=撮影・BUN
舞台『ダム・ウェイター』より=撮影・BUN

<伊礼彼方さんのコメント>
いよいよ始まったダム・ウェイター。コロナ禍で空いてしまったスケジュール。「せっかくなら自分の力になる作品を!」という思いのもと始まったこの企画。本多さんを始め共演者の河内さん・演出家の大澤さん・スタッフさん、いろんな出会いが重なって仲間に恵まれ今日まで突っ走ってきました。楽園で面白い事をやりたい! 河内さんとなら180度いつもと違う世界を見せられる! 大澤さんとならそのさらに奥深く向こう側に行ける!と確信した時、この企画はもう既に成功の一歩手前まで進んでいました。後はお客様に観て頂くだけとなりました。1度観て理解するのは難しいと思いますが、観劇者のそれぞれの中に答えを見い出せる作品だと思います。大澤さんの言葉を借りるなら「これは不条理ではない、ヒューマンドラマ」です。まさにその言葉通り、大澤さんと共に物語の主人公たちの人生を紐解いてきました。僕らが演じるベン・ガスは日常に生きる1人の人間。皆さんと同様に沢山の悩みや不安を抱えながら人生のゴールを目指しています。同じ食べ物同じ飲み物を口にし、同じ赤い血が流れている。ただ僕らの知らない世界に住んでいるだけ。今日彼らが指示された地下室で何が起きるのか、ぜひ目撃してください。コロナ禍の厳しい状況ですが、スタッフ一同万全の対策をしてお待ちしております。

舞台『ダム・ウェイター』より=撮影・BUN
舞台『ダム・ウェイター』より=撮影・BUN

<河内大和さんのコメント>
不条理劇と言われるこの作品を、僕たちは不条理だと決めつけず、あらゆる可能性を探しながら稽古で実践していきました。やはりそこにはベンとガス、二人なりの理由や目的がしっかりとあって、ただ自分の人生を一生懸命に模索し生きている二人なんだと、今の僕たちと何ら変わらない人間なんだと気付きました。その創作は子供の時にした宝探しのようで、本当に大変で楽しい作業でした。僕自身、こんなに色んな要素が詰まった面白い作品になるとは思ってもみず、きっと皆様も、観劇後、この地下室に入る前には想像もしなかった心の味わいを感じていただけると思います。

舞台『ダム・ウェイター』より=撮影・BUN
舞台『ダム・ウェイター』より=撮影・BUN

<本多劇場グループ総支配人:本多愼一郎さんのコメント>
昨年8月より本多劇場グループnextとして、少人数(二人)芝居をメインに、コロナ渦でも安心して観ていただける小劇場での公演形態の発信方法を模索してまいりました。今回、役者2人の息遣いもわかる劇場で、伊礼彼方さん・河内大和さんによるハロルド・ピンターの『ダム・ウェイター』をお送りいたします。演出には大澤遊さんを迎え、小劇場楽園を『ダム・ウェイター』の世界に入っていただける空間へと創り上げ、濃密な時間をお届けいたします。是非皆さま、下北沢へいらしてください。

<演出:大澤遊さんのコメント>
伊礼さんと河内さん、このお二人と出会い、ピンターの戯曲と楽しく向き合うことができています。そのお二人がガスとベンとして舞台上で生きている姿をようやくお見せできる日が来ました。稽古を重ねれば重ねるほど、お二人と役が重なって見え、とても愛おしい物語になったように思います。(そんな物語だったっけ??)。ただ僕らは毎日のようにピンターの手のひらで転がされているだけかもしれませんが。ガスとベンが過ごす時間を、ぜひ楽園の客席で一緒に体験していただけたら嬉しいです。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、ガスとベンのキャラクターの印象、会話が広げてくれる物語世界の奥行き、彼らの視点に入りつつも最後は観客として自分自身に戻っていく感覚の面白さ、日常とダム・ウェイターの関係性などについて考察した『ダム・ウェイター』ルポの全文と、独自撮影の写真4カットを掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■快活に動きをもたらす伊礼ガス、視線や顔の角度で心境を作用させる河内ベン

■次々に起こることに戸惑いつつも、なぜか受け入れていく、ベンとガス…

■言葉の意味は正確にわかるにもかかわらず、解釈しようとすると、わからなくなる

■ある日、料理昇降機とは別の「ダム・ウェイター」に出会うことがあるかも

<舞台『ダム・ウェイター』>
【東京公演】2021年3月16日(火)~3月28日(日) 下北沢・小劇場楽園
公式サイト
https://www.the-dumbwaiter.com/

<チケット>
全席指定:6,500円(税込)
『ダム・ウェイター』公演チケット専用サイト:
https://www.e-get.jp/web5ap0547/pt/
U-25:4,500円(税込)劇場窓口のみで発売(25歳以下。身分証が必要)
劇場窓口での購入:
一般扱いチケット、U-25チケットを取り扱い
小劇場 楽園の向かい側、「劇」小劇場で発売(営業時間11時-19時)

<キャスト・スタッフなど>
出演:伊礼彼方、河内大和
原作:ハロルド・ピンター
翻訳:喜志哲雄
演出:大澤遊
美術・衣裳:池宮城直美
照明:鷲崎淳一郎(ライティングユニオン)
音響:星知輝(本多企画)
舞台監督:村田明(クロスオーバー)
宣伝美術:魚住和伸(Spacenoid Company Inc.)
宣伝写真:BUN
票券:能崎純郎(BellaVita)
制作:筒井未来(本多企画)
プロデューサー:I.K(KANATA LTD.)
エグゼクティブ・プロデューサー:本多愼一郎
協力:株式会社本多企画
主催・製作:株式会社KANATA LTD.

<関連リンク>
伊礼彼方officialサイト
https://ireikanata.com/
『ダム・ウェイター』公式twitter
https://twitter.com/2021DUMB_WAITER
【ガスとベンによる「楽園」紹介動画】伊礼さんと河内さんが、「ベンサイド」「ガスサイド」の客席案内及び、劇場の感染対策をご紹介
https://youtu.be/Pf-11iZLkr0

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舞台『ダム・ウェイター』より=撮影・村岡侑紀
舞台『ダム・ウェイター』より=撮影・村岡侑紀

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<筆者プロフィール>村岡侑紀(むらおか・ゆき) ライター 広告制作会社に入社し、コピーライターとしてキャリアをスタート。その後、化粧品メーカーのマーケティング担当として多くのブランドを育成。現在は、ベンチャー企業で広報を担当している。さまざまなフィールドに立ってきたが、共通するのは「誰かや何かの魅力を伝える」こと。趣味は、舞台鑑賞や美術館巡り。作品はもちろん、そこに携わる方々の魅力を伝えたいという思いで、ライターに。 ⇒村岡侑紀さんの記事一覧はこちら

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