「観たいと言ってくれる人がたくさん」、『朝日のような夕日をつれて 2024』玉置玲央・一色洋平・鴻上尚史鼎談(上) | アイデアニュース

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「観たいと言ってくれる人がたくさん」、『朝日のような夕日をつれて 2024』玉置玲央・一色洋平・鴻上尚史鼎談(上)

筆者: 達花和月 更新日: 2024年8月10日

鴻上尚史さんが結成した劇団「第三舞台」の旗揚げ公演として1981年に初演され、その後も再演され続けている『朝日のような夕日をつれて』が、『朝日のような夕日をつれて2024』として、2024年8月11日(日)から9月1日(日)まで、東京・紀伊國屋ホールで、9月6日(金)から9月8日(日)まで、大阪・サンケイホールブリーゼで上演されます。8回目の上演となる今回は、81年初演から「初めて」キャストを一新しての上演で、出演されるのは、玉置玲央さん、一色洋平さん、稲葉友さん、安西慎太郎さん、小松準弥さんです。アイデアニュースでは、作・演出の鴻上尚史さんと、玉置玲央さん、一色洋平さんにインタビューしました。

インタビューは上下に分けてお届けします。「上」では、『朝日のような夕日をつれて』の着想について、前回2014年版で印象に残っていること、初見の印象、2024年版上演が決まるまでとキャスティングで重視した点などについて伺った内容を紹介します。「下」では、2024年版へのアップデートについて、鴻上さんと玉置さん、一色さんそれぞれにとっての『朝日のような夕日をつれて』という作品の位置づけ、稽古場の様子などについて伺った内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。

(写真左から)一色洋平さん、鴻上尚史さん、玉置玲央さん=撮影:NORI
(写真左から)一色洋平さん、鴻上尚史さん、玉置玲央さん=撮影:NORI

――8回目の再演ですね。上演の度に新鮮にアップデートされる作品なので、「再演」という言葉に納まりきらない感覚があります。

鴻上:「第三舞台」のときには、「新作的再演」という言い方をしてきましたね。

――『朝日のような夕日をつれて』は、「第三舞台」の旗揚げ公演での作品ですが、膨大な情報量とテンポの速さで、客席に凄まじい熱量が降り注ぐ作品だと感じています。どのような着想から、この作品は誕生したのでしょうか?

鴻上:僕が22歳のときに書いたんですけど、ひとつは、今では信じられないですが、あの当時演劇界では『ゴドーを待ちながら』という作品が、シェイクスピアと並んでバイブルっぽく言われていたんです。難解であること、わけわかんないことが尊重されていたんです。それで「早稲田大学演劇研究会」という、早稲田の演劇サークルに入ったときに、先輩たちから「『ゴド待ち』読んだか?」と。「おまえ読んでないのか!?『ゴド待ち』知らんのかーっ!!」みたいなことをさんざん言われて、ちょっと反発があって。実際に読んでみたら、僕的には「なんじゃコレ?」だったんですよ。「ゴドー出てこないでいいの?」って思ったから「じゃあ、ゴドーを出しちゃおう!」というのがあったんです。

一色:(笑)。

鴻上:「来たゴドーが、僕には退屈だった」という方が「今」じゃないのかと。つまり「ゴドーがいつまでもやってこない」というのは、書かれた当時は、たしかにすごい衝撃で真実だったと思うけれど、もう今となっては「来たゴドーが、私には退屈だった」の方が面白いんじゃないかなと思ったんです。

つまり「私の希望は私には退屈だ」ということの方がリアルじゃないかと思ったのがひとつ。もうひとつは、なんで「おもちゃ会社」が入ったかというと、僕は当時荻窪に住んでたんですけど、早稲田の演劇研究会に行くために東西線に乗っていたら、目の前に座っていた男性がルービックキューブにものすごく熱中していたんです。今でも風景をはっきり覚えてますけど、こんなに人間が全部を忘れて、熱中する瞬間があるんだということにすごく衝撃を受けたんです。

「おもちゃ」なんだけど、こんなに人を熱中させるのは「すごいな」と。これはもう「暇つぶし」じゃなくて「人生つぶし」じゃないかと思って、「おもちゃ会社」の話も同時に入れようと思ったのが始まりなんです。だから、東西線で目の前に座っていたあの人に感謝なんです。

――玉置さんは、2014年版で印象に残っていることはありますか?

玉置:いっぱいありますね。なんか暑かったなとか。夏でしたもんね。

鴻上:夏でした。

玉置:夏で、すげぇ照り返す太陽の中、稽古場の外でずっと台詞合わせして、がむしゃらに稽古に邁進していたこととか。あと、10年前は大高洋夫さんと小須田康人さんとご一緒しました。『朝日のような夕日をつれて』がずっと上演されてきて、小須田さんは2回目からですけど、ずっと出続けておられるお2人、偉大なる先輩たちと稽古場で一緒に創作していると、すごく人間らしい部分がいっぱい見えてきて。お2人もゲームやるんだ、とか。「ドラクエ」の話で、超盛り上がった記憶があります。大高さんが「ドラクエX」にハマってたり。

一色:へー!

玉置:小須田さんの昔の恋愛話とか。

鴻上:そんなことを! そんな話してたんだ。

玉置:だから「この人たちも人間なのだなぁ」と思ったり。

鴻上:そうね。特に小須田は背中にゼンマイ仕掛けだっていう説が。

玉置:そうです。マシーンですからね。演劇マシーン。「東の小須田、西の粟根(粟根まことさん)」って言われて。

一色:あっはっは!(笑)。

玉置:そうそう、あとは鴻上さんも知らない話で、大阪公演のときに、伊礼彼方さんと藤井隆さんと僕の3人で飯食いに行った日があったんですよ。

鴻上:ほぉ!

玉置:そこでの内容は、全く話せない内容なんですけど。めちゃくちゃ楽しい夜でした! そんなこともありました。

鴻上:なんだよ、そりゃ(笑)。

――一色さんは以前の取材の際に『朝日のような夕日をつれて』に触れられたことがあったので、お好きな作品なのだなと感じたことがありました。

一色:もちろんです。僕の一番好きな作品ですから。もう本当に家でもラジオみたいな感じで流していて。一番流すのは91年版。一番好きなんです。

――『朝日のような夕日をつれて』の初見の印象はいかがでしたか?

一色:僕は2010年に早稲田の演劇研究会に入って、そこで「こういう作品があって、ここにこの人たちがいたんだ」と言って触れたのが最初で「なんだこれは!」と衝撃を受けて。そこから毎晩のように、先輩たちが帰ってから何人かで集まって「THE END OF ASIA」や「135」の「我愛你」を大音量で流したりしていました。今でも劇中曲を聞かない日の方が少ないというぐらいなんです。

「我愛你」の音色をちょっと変えて遊んでみたり、「THE END OF ASIA」の曲調を変えて遊んだり、自分で勝手にするぐらい今でも聞いているんです。それだけファンであった作品を、ようやく生で観ることができたのが2014年で。かつそこに、玲央さんが出ていて…。玲央さんとは2012年ぐらいから親交があったんですよ。

玉置:そうか、そうなんだ。

鴻上:「そうか」ってお前…(笑)。

一色:まず、いろいろ忘れてるじゃないですか!(笑)。

鴻上:忘れてるんだよ、こいつ。

一色:時系列がぐちゃぐちゃになっちゃってる?

玉置:なっちゃってる。なにが最初なんだっけ?

一色:最初は僕が中屋敷法仁さんのワークショップに参加させていただいて。そのときそこで玲央さんも、ちょっと補助的な役割で参加してくださったんですよ。

玉置:なるほど。

鴻上:そういうのは、なかなか覚えられないね。だって1対多だから。

一色:1対1だったらまだ。

鴻上:そうそう。もしくは共演だったら。そうじゃない限りは駄目駄目。

玉置:うん。そのワークショップすら覚えてないもん。

一色:そうなんですよ。でも『朝日のような夕日をつれて』が決まって、玲央さんに「お願いします」って、LINEにご連絡したら、LINEを交換したことも忘れてて(笑)。「あ、そうだったか」みたいな感じになっちゃって。

玉置:そう。

一色:「あ、ここからだ」と。初手がまずちょっと大事だなと思って。

鴻上:そんな暴露していいんだったらね、まず玲央に最初キャスティングしたよね。それで「玲央、一色洋平ってどう思う?」って言ったら、「いや、僕知らないんですけど」って。

全員:(笑)。

玉置:違う! だって共演とかしてないし。

一色:「共演者」として知らないってことですよね?(笑)。

玉置:そうそう。

鴻上:違うよ。

一色:「そんな俳優がいるのか?」みたいな?

鴻上:そうそう。「僕知らないんですけど」って。

全員:(笑)。

玉置:いやいや、知らない訳ないでしょう!! だって「梅棒」とか出てたでしょ? 俺、それ見てるし。

一色:「梅棒」出てます。僕、10年来のお付き合いと思ってここまできたんですもんね?

玉置:そうだよね。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、2024年版上演が決まるまでとキャスティングで重視した点などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。8月10日に上下同時掲載予定のインタビュー「下」では、2024年版へのアップデートについて、玉置さんと一色さんそれぞれにとっての『朝日のような夕日をつれて』という作品の位置づけや稽古場の様子などについて伺った内容、お客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■一色:2014年版のときの銀テープを「これだけは」と、今でも1枚財布に入れている

■鴻上:「世界が変わらないんだったら、遊び倒してしまえ」ということの大切さをシェア

■玉置:「イズム」みたいなものが流れている作品。人の人生に影響を与えてきたすごさ

■一色:この夏は、「死ぬ前に思い出す夏」になる。本当は、全ての役を演じたい

<紀伊國屋ホール開場60周年記念公演 KOKAMI@network vol.20『朝日のような夕日をつれて2024』>
【東京公演】2024年8月11日(日)〜9月1日(日) 紀伊國屋ホール 
【大阪公演】2024年9月6日(金)~9月8日(日) サンケイホールブリーゼ 
公式サイト
https://www.thirdstage.com/knet/asahi2024/

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※玉置玲央さん・一色洋平さん・鴻上尚史さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは9月10日(火)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

(写真左から)一色洋平さん、鴻上尚史さん、玉置玲央さん=撮影:NORI
(写真左から)一色洋平さん、鴻上尚史さん、玉置玲央さん=撮影:NORI

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<筆者プロフィール>達花和月(たちばな・かずき) 遠方の友人を誘って観たお芝居との出会いをきっかけとして演劇沼の住人に。ミュージカルからストレートプレイ、狂言ほか、さまざまな作品を観劇するうち、不思議なご縁でライターに。自らの仕事を語る舞台関係者の“熱”に、ワクワクドキドキを感じる日々。 ⇒達花和月さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. みゆ より:

    ずっと愛されてきた作品ですが、再演するには、これを出来る俳優をまず揃えることが大事って納得です。
    今回のニューメンバーの5人共素晴らしい俳優さんで、この作品に出逢えた事は、間違いなく私の人生に大きな影響を与えると思います。
    記事からも取っても仲の良い素晴らしい座組な事が伝わってきました。
    朝日は、私にとっても大好きな作品になりました!!紀伊國屋ホールでの舞台も素晴らしかったですが、大阪での公演がどのようになるのか、今から楽しみです。

  2. ようこ より:

    貴重なお話が聞けて、観劇がより楽しみになりました。
    忘れられた(?!)一色さんと、それを必死に否定する玉置さん、イジる鴻上さんの様子が目に浮かび、思わず記事を読みながら笑顔になっちゃいました!笑

    今回もいつもながらお写真も素敵で、嬉しいです🥰

  3. まゆのん より:

    私にとって初朝日が今回のメンバーで、内容など詳しく分からないまま前情報をあまり入れない状態で観劇しようと思っています。
    皆さんの仲の良さが伝わってきますね。
    舞台もですが、音楽のライブも20年以上前のチケットを掘り出してみたら今よりだいぶ安くて値上がりしてますよね。

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