2022年1月7日(金)にコットンクラブで開催される、旬なミュージカル俳優によるライヴ・シリーズ『The Song of Stars』〜Live Entertainment from Musical〜の第4弾に登場する内藤大希さんと木内健人さんのインタビュー後編です。無料部分では、今回の『レ・ミゼラブル』で3回目のマリウスを演じられた内藤さんが感じたこと、初めてのアンジョルラス役に取り組むにあたり木内さんが心がけたこと、有料部分では、お客さまへの思い、新年の抱負などについて伺ったインタビュー後半の内容を紹介します。
(※このインタビューはリモートで実施しました)
ーーマリウスとアンジョルラスとして、それぞれの役として接しながら感じられたことを「上」では伺いました。あの砦の中では、いろいろな思いが渦巻いていたのですね。
内藤:プライベートでの仲の良さは、ミュージカルの作品の中での人間関係を作ることに、少なからず作用するんだなと思いました。同じバイブス(vibes=雰囲気やノリを意味する英語)でこう、シーンを一緒に乗り切っていけるといいますか。そういうところあるよね、ケンティー!
木内:「バイブス」(笑)。そうだね。
内藤:この言葉使おうかどうか迷ったんだけど、言っちゃった!(笑)
ーー木内さんも、内藤さんのマリウスと対峙しながら、そのようなことを感じられましたか?
木内:僕もどちらかというと、演じる上ではプライベートでの関係性もすごく大事だと思っているタイプなんですよ。全く知らない人同士でお芝居をするよりも、その人の事をよくわかっていた方が、良いものが生まれるのかなと。大希みたいに、前から知っていて、LINEも電話もしたりする間柄だと、「内藤大希」という人物をわかった上で、大希くんが演じるマリウスに向き合えるんです。たくさんの情報を踏まえた上で取捨選択して、いろいろな働きかけを考えられます。でももちろん、「初めまして」の方も学生役の中にもたくさんいらっしゃったので、今回、どうやって距離を詰めていくかは難しかったです。この状況なので、ご飯に行ったり飲み会に行ったりという親睦会が全くできなかったので。
ーーどのように距離を詰めていったのですか?
木内:「僕を察してほしい」という行動は本当に時間の無駄だと思ったので、稽古場の段階から、とにかく自分を出していきました。相手が気を遣っているなと思ったら、ズカズカと行って、「ここ、どうしたい?」って聞きながらどんどんコミュニケーションを取りました。じゃないと間に合わないなあと。そもそも、稽古場には、アンジョルラスが3人いるわけで、相葉さんと小野田さんは、前回、前々回と同じ役をされているので、いかにそこに追いつくかということもありました。もちろん今回だけでは、なかなか追いつくことはできませんでしたが。しかも、アンジョルラスは、学生たちの声を拾いながら導いていく役じゃないですか。とにかく必死。もう必死でした。
ーーひと言で言うと、もう「必死」だったと。
木内:はい。アンジョルラスという役は、僕にとってかなりチャレンジでした。「リーダー」的な役をこれまでにすることはあまりなかったですし、僕自身がそういうタイプでもないんです。でも、自分に無いものを、楽しんでやれたという面はありました。
内藤:僕は今回が3回目だったのですが、やっといろんなことが見えてきて、その中で、自分がすべきことがわかった公演でもありました。以前出演していると、空間には慣れているんですよね。「どこに何がある」ということが分かっているので、チャレンジもしやすかったです。「この椅子やこの机、前回もあったな」と、道具への愛着も出てくるんです。初めて参加する人よりはきっと、リラックスしている分、場の支配力が強くなるところはあると思うんですよ。でも、そういう強みがある反面、前回の演出に固執したり自分で固定してしまったりするのは、デメリットでした。今回は、そういう「過去の自分」と戦った公演でした。レミゼと向き合って、自分が変わったなとか、こういうことを感じるようになったなとか。純粋に作品を楽しめた面もあり、演じる面でもいろいろな発見がありました。
ーー今回の『レ・ミゼラブル』だからこそ感じられたのは、具体的にはどのような事でしたか?
内藤:作品の舞台となっている時代にも、いろいろな病気が流行ったりしていたと思うんです。今回、僕たちも上演したいけれどもできないですとか、そのフラストレーションのようなものが楽曲に乗るところがありました。なおかつ、その状況をお客さまと共有していたのは、今の社会情勢だからだと思うんですよ。僕たち演者は、作品をつくる上で「こういう歴史があって」と物語の時代背景を共有されていますが、この状況下ではきっとお客さまも「今と似ている。こういう感覚だったのかもしれない」と、ピンときやすいところがあったのではないでしょうか。貧困の問題や、不幸が降りかかってくるという作品の背景が、今と連動する状況でもあるので、楽曲のパワーを、これまでよりもさらに感じられたのではないかと思いました。
木内:大希も今言っていましたが、抑圧された状態をお客さまと僕らが共有しているという中で、お客さまの「演劇への愛」みたいなものをすごく感じました。『レ・ミゼラブル』でも、先日まで出ていた『夫婦漫才』でも、劇場でお客さまの「待っていました」感がすごくあって。僕たちは基本的に前のめりで演じているのですが、舞台に立っていると、お客さまも前のめりといいますか、「楽しむぞ」という気持ちで来てくださっているのを感じて嬉しかったです。『夫婦漫才』では、お客さまが「笑う気」で来てくださっているなと思いました。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、お客さまへの思い、新年の抱負などについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■木内:演劇が大好きなお客さまと僕たちが、一致団結して感動を分かち合う素晴らしさ
■木内:「今日の本番、声出ろよー」と。一日を生き抜くことに必死すぎた一年だった
■内藤:劇場に足を運んでくださったという事実に、自分の職業を肯定してもらえた
■内藤:来てくださる方の思いに僕たちも応えたい。生の歌を一緒に楽しみましょう
<内藤大希×木内健人『The Song of Stars』〜Live Entertainment from Musical〜>
【東京公演】2022年1月7日(金) COTTON CLUB
公式サイト
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/taiki-naito-kento-kinouchi/
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改めて読み返しましたが何度読んでもいいインタビューです。このインタビューを読んでからライブに参加できた事もよかったと思っています。内藤くんの「自分たちの職業を肯定してくれた」と、いう言葉は心にずしんと来ました。こちらこそ、みなさまがいてくれるから日々辛い事があってもがんばろうと思えるのです。