ミュージカル『ジェーン・エア』が、2023年3月11日(土)から4月2日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスで、4月7日(金)から4月13日(木)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演されます。
原作はシャーロット・ブロンテの小説で、大英帝国が世界の覇者であったビクトリア朝のイギリスが舞台。ジョン・ケアードさんが脚本演出を担当しており、日本では11年ぶりに新演出版として上演されます。主人公のジェーン・エアとその親友のヘレン・バーンズを、上白石萌音さんと屋比久知奈さんがダブルキャストで交互に演じます。
アイデアニュースでは、屋比久知奈さんにインタビューしました。「上」では、本作の魅力、ジェーン・エアとヘレン・バーンズのキャラクターについて思うこと、演じる上でいつも意識していること、オーディションでのジョン・ケアードさんの言葉、芝居について考えていることなどについて伺った内容を紹介します。「下」では、本作の音楽のこと、現場での英語でのコミュニケーションのこと、以前出演された『NINE』で感じたことについて伺った内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。
――今の時点で感じていらっしゃる作品の魅力や、出演に際しての想いをお聞かせください。
本作は何度も映画化されているのですが、その中で一番古い作品を拝見しました。台本は、読み込むところまではできていないのですが、読めば読むほど、作品が書かれた時代背景などを調べるほど、現代との違いを大きく感じています。
今もまだ途中の段階ではあるでしょうが、いろいろな意味で、女性が少しずつ力を持てるようにはなってきていると感じています。『ジェーン・エア』の時代には、原作者であるシャーロット・ブロンテ自身も経験してきたであろう、私たちには推し測れないことが起きていたのでしょうし、その重みを大切にしながら、作品の中で生きられたらと思っています。
愛や信仰の話も物語に組み込まれていますが、私自身により訴えかけてきたのは、ジェーンが持っている「強い女性」の魅力です。役作りの中で、彼女が持つ繊細さと、一人の女性として強く自分の足で立って生きていくというところは、私なりに大事にしたいです。
そして、音楽もとてもドラマチックで美しいので、歌いこなせるように頑張りたいです。これまでに出演させていただいたミュージカルより、更に繊細な歌声を使う場面も多そうです。また今回は、ジェーンだけではなく、ヘレン・バーンズも演じるので、技術面においても、私にとって新しい挑戦になります。心して取り組みたいです。
――屋比久さんは、女性の強さを表現する役を演じられることが多い印象です。
特に、今まさに演じている『ミス・サイゴン』のキムも、演じれば演じるほど、本当に強くかっこいい女性だと感じています。時代の中で翻弄されてはいますが、たくましく生きているという意味では、ジェーンもまた、これまでの役ともすごく通じるものがあるのではと思います。
ーーさまざまな、芯の強い女性を演じられてきた中、その強さも役によっていろいろだったのではと思います。そのような女性像に、シンパシーを感じることはありますか?また、演じるときには、どういう部分をクローズアップしていらっしゃいますか?
やはり、強い女性に憧れる気持ちがありますから、共感できるところをまずすごく大事にしています。 「強くありたい。自分の足で立って生きる人になりたい」という想いは、私自身が、割と幼い頃から自分の中に持っていたものです。ですから、強い女性の役を演じるというよりも、私自身がその役の女性が持つ強さを、すごく大切にしたいと思うタイプなのかもしれません。
例えば、『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』のメアリー・ロバートは、強い女性というわけではないですが、最初は引っ込み思案で、自分のことを表現するのが苦手だけど、メアリーなりに持っている強さを表現するには、どうすればいいのかなどを考えていました。「女性って、強くてかっこいいんだ」ということを伝えたくて、いつも役を構築するときは、どうやったらこの役がかっこよく見えるかなという観点で考えています。
――今回演じられるジェーン・エアについては、どのように感じていらっしゃいますか?
孤児院で育っていることもあり、芯のある子というか、とても意志の強い人だと思います。それは強さにも弱さにもなり得ることかもしれませんが、自分の力で道を切り開こうとする意思の力は、彼女の生き方にある「美しさ」のひとつだとは思います。
当時、女性がひとりで仕事を探し、外で働きながら生きていくことは、とても大変なことだったはずなので、彼女が自分で道を切り拓いていく姿には強さがあります。
この作品の表題には「生きることは、信じ、許すこと」と書いてあります。「信じる」こと「許す」ことには、どちらも強さが必要です。一方で、強くなるためには、弱さが必要でもあるので、その二面性を持っているジェーンは、とても魅力的な女性だと感じています。
――ヘレン・バーンズに関しては、いかがでしょうか。
彼女には、ジェーンとはまた別の強さがあると思います。信仰心が強く、「私は、こう生きる」と決めて、本当に純粋に生き、死んでいく人物だと思うので、色でいうと真っ白なイメージです。ジェーンは、いろんな葛藤をしながら生きているので、真っ白ではなく、いろいろな色を感じるのですが、ヘレンはとても真っ直ぐに人のことを見られるのだなという印象です。稽古の中で、ジョン・ケアードさんとお話しながら、ジェーンもヘレンもそれぞれどのような少女なのか、より深く知っていきたいです。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、オーディションでのジョン・ケアードさんの言葉、芝居について考えていることなどインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。17日掲載予定のインタビュー「下」では、本作の音楽のこと、現場での英語でのコミュニケーションのこと、以前出演された『NINE』で感じたことについて伺った内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「曲が持つ強さをうまく表現してくれている」と、ジョン・ケアードさんが
■相手のことを本当に見て、相手に対して自分がどう存在できるかを毎回意識
■萌音さんや芳雄さんと対峙しながら、気負わず素直にお二人の力をお借りしたい
■音楽がストーリーを描いてくれるミュージカル。身を任せるという意識が強い
<ミュージカル『ジェーン・エア』>
【東京公演】2023年3月11日(土)~4月2日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
【大阪公演】2023年4月7日(金)~4月13日(木) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式サイト
https://janeeyre.jp
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「ミス・サイゴン」は、手持ちの回が公演中止になり観れなかったので、屋比久さんの評判が良く、気になっていたのでインタビューでキムについて話され、それを読むことができてよかったです。公式での動画で少し拝見できたので次回があれば、次こそ観たいです!
「ジェーン・エア」もチケットを取ったので、そちらは無事に観劇したいです。屋比久さんがどう表現するのか期待しています。オーディションの事からしても歌は素敵なんだろうなと感じます。上白石さんと井上さんとどう作りあげていかれるのかこれから楽しみです。