世界最高峰のギリシャ悲劇の大作『オイディプス王』が、2023年7月8日(土)から7月17日(月・祝)に東京・パルテノン多摩 大ホールで、8月19日(土)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演されます。主役のオイディプス王を三浦涼介さん、オイディプスの母、後にオイディプスの妻となるイオカステを大空ゆうひさん、イオカステの弟クレオンを新木宏典(荒木宏文改め)さん、預言者テイレシアス役を浅野雅博さん、オイディプスの出生の秘密を知る羊飼い役を外山誠二さん、コリントスの使者役を吉見一豊さん、神官と使者のニ役を今井朋彦さんが演じます。
演出は、石丸さち子さんです。アイデアニュースでは、三浦さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。
「上」では、稽古の中で感じていること、石丸さんからの言葉について、芝居の中で「考える」ということ、オイディプスを演じる難しさなどについてお話してくださった内容を紹介します。「下」では、この作品に今出会えたことに対しての想い、「演じる」とはご自身にとってどういうことなのか、「三浦さんのオイディプス王を見せて欲しい」という石丸さんの言葉に応えたいという想いなどについてお話ししてくださった内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。
ーー石丸さち子さんが、「オイディプス王を演じることは、三浦さんにとって苛烈な経験」ということをTwitterに書かれていました。「苛烈な体験」ってすごい言葉だなあと思ったのですが、ご自身ではどう感じていらっしゃいますか?
しんどいですね。「あれ、芝居心どこへいっちゃったんだろう」と。役とつながっていく感覚や、相手に対して求めたり、与えたり、そういういつもならあるものが消えてしまったんじゃないかというくらい、押しつぶされそうな感覚があります。石丸さんが、僕がどうしたらやりやすくなるのかを、すごく考えてくださっています。
難しいことを言われると、すごく考えてしまって一歩前に進むどころか、二歩・三歩と下がってしまうことが多いんですね。今回に限らず、いつもそうなんです。だから、とてもわかりやすい言葉で「こうだよ」って言ってくださって、それが自分の中で嵌った瞬間、足踏みしていたことが五歩くらい先に進めるということがありました。
その感覚をなんとか逃さないように、必ず自分の中にちゃんと掴んで、基本ラインをそこへというところから、さらにもう一歩掘ってというところまで頑張っていきたいなという段階です。相手の役者さんとのコミュニケーションのところまでは、まだ全然練れていなくて、セリフに追われている感じです。
ーー「いつもだったら、相手に求めたりする」というのは、いつもなら芝居の中での受け渡しをもっとしながら、稽古を進めていけるということですか?
次のセリフが出てこない時って、頭の中で別のことを考えてしまっていたり、心が進んでいっていなかったりする感じなんだと思います。考えるのではなく感じていると、すらすらと出てくるんですよ。今回、それがすごく難しいんです。セリフの量というより、普段使い慣れていない言葉があったり、同じようなセリフがたくさんあるので、ノッキングを起こしてしまうというか。考えているから、気持ちが後回しになってしまうんです。どっちかというと、僕は気持ち先行ですし、「なるべく嘘なく」というところを求めたいし、求めないと何も出てこないし始まらないんです。
ーーオイディプス王という役を演じることよりもまずは、戯曲のセリフが体になかなか染み入らないという感覚ですか?
「染み入らせよう」と考えると、染み入らないんだと思うんです。
ーーそれは、内容が入ってこない感じなんですか?
内容というよりも、言葉自体が入ってこないんです。この前、『桜姫東文章』に出演したのですが、歌舞伎の言葉で書かれていたんです。辞書を引いても、そういう言葉は出てこないですよね。なので、いかにその言葉を自分の体験というか、体感するというか。相手の芝居を見て、受け取って、出していくみたいなことをやっていたら、だんだん意味がわかってきたんです。嵌っていく感覚があって、楽しくなっていったんですよ。オイディプス王では、「涼介、楽しんで動けていないな」って、客観的に今の自分を見て思うんです。僕、よく言っているのですが、お芝居する上で「発散」を大事にしているんです。
ーー発散ですか?
「芝居は発散」というところに、まず思いを送るのですが、思いを送ることに自信がなかったり、人前に立つことにびびってしまって緊張する時に、自分に「発散」という言葉を語りかけるんです。そうすると、前を向けるというか胸を張れるんですが、今はまだそこに行けていなくて。原因が、セリフの量なのか、言葉の難しさなのか、他の何かなのかはわからないんですが。でも、そこを石丸さんがすごく探ってくださっていて、言葉にしてくれることでだいぶ広がったりしました。一気にドーンと広がる感覚があるんですよ。石丸さんとじゃなかったら、この感覚は掴めないかもしれないなと……。
<取材協力>
ヘアメイク:春山聡子 スタイリング:村瀬昌広
※アイデアニュース有料会員限定部分には、石丸さんからの言葉について、芝居の中で「考える」ということ、オイディプスを演じる難しさについてお話してくださった内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。5日掲載予定のインタビュー「下」では、この作品に今出会えたことに対しての想い、「演じる」とはご自身にとってどういうことなのか、「三浦さんのオイディプス王を見せて欲しい」という石丸さんの言葉に応えたいという想いなどについてお話ししてくださった内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「覚悟を持って喋って」という石丸さんの言葉で、ひとりでにセリフが出るように
■セリフを喋っての掛け合いのはずが、「考える」と全然違う次元で喋ってしまう
■5回くらい同じシーンをやってしまうこともあるが、だからこそ見出せることも
■喜んだり落ち込んだりと、波がすごすぎるオイディプス。数分で表現するのは難しい
<『オイディプス王』>
【東京公演】2023年7月8日(土)~7月17日(月・祝) パルテノン多摩 大ホール
【兵庫公演】2023年8月19日(土) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
公式サイト
https://www.oedipus.jp
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素敵なインタビュー記事とお写真、ありがとうございます。
様々な苦悩や、それを持ったうえでどのように読み解いて行くのか。三浦涼介さんご本人の言葉で詳細に語られていて、とても読み応えのある記事でした。
いつでも全力で真摯に向き合う三浦さんの表現に、今回も夢中になって圧倒されること間違い無しだな、と確信しました!
観劇するにあたって、とても為になります。どうか全公演無事に駆け抜けられますように…!