2023年8月5日(土)から8月13日(日)まで、KAAT 神奈川芸術劇場 <大スタジオ>で、8月19日(土)に穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールで、8月26日(土)にまつもと市民芸術館 小ホールで、9月10日(日)にJ:COM 北九州芸術劇場 中劇場で上演されるKAATキッズ・プログラム2023『くるみ割り人形外伝』で、「演劇の案内人」役と「クララの父」役などを務める一色洋平さんのインタビュー後編です。「下」では、演出の根本宗子さんのこと、本作の一色さんの役については当て書きだというお話や、「すごく痛いところをついてくる」という観点からのこの作品の魅力、子どもだけではなく大人にもこの作品を観てほしいという一色さんの想いについてお話ししてくださった内容、KAATキッズ・プログラムで子役が主人公を演じるのは今回が初めてだというお話と、お客さまへのメッセージを紹介します。
(※このインタビューは6月下旬に実施しました)
――根本さんの脚本は、当て書きが多いのでしょうか?
多分ですが、キャストさんありきの当て書きで書いていると思います。今回僕の場合はモロに当て書きで、自分が「こういうこと言うなぁ」という口調のまま書いてもらっているところもあるので、やっぱり喋りやすいんです(笑)。宗子さんの執筆中に電話で少しお話ししたときも「この役は一色くんそのまんまでいいよ」と仰ってくださって。僕は子どもが好きで、保育士になりたかったんですが、そのことも知っているんですね。だから「お父さんという役を作るというよりも、どんなパパになりたいかというのをそのまま出してくれればいいよ」というような感じでやってくださるので、変なストレスはなさそうだと思っています。
――執筆中からディレクションがあったんですね。
そうなんですよ。たまに宗子さんは執筆中に僕を頼ってくれて、お電話をいただくことがあったんです。今回も「演出面でこういうことしようと思うんですけど」とか、「こういうふうになったらいいなと思うんですけど、どうしたらいいと思いますか?」と聞いてくださることがありました。そういう時は、一生懸命にお答えすることもあれば、ちょっと軽くポン! と答えることもあって、それが宗子さんの中で響いてくれるときがありました。わりと出会った当初から、ことあるごとに仲良くさせてもらっています。
――そうなんですね! 拝見するのがとても楽しみです。
本当に面白いですよ、著作権を買い取りたいぐらい(笑)。今年だけじゃもったいないです。僕がラフにいつでも演じられる作品にしたいくらい、すごく面白いです。
――台本が30ページくらいだと仰っていましたが「キッズ・プログラム」という事もあって、上演時間は短めになりますか?
まだわからないですが、大体1時間ぐらいを目安に作っていると思います。僕はあうるすぽっとの方でも「子どもに観せたい舞台」という作品をやったことがありますが、それもやっぱり1時間ぐらいでした。子どもたちが集中できる時間も考えながら、1時間の中で凝縮して作れたら、とは聞いています。
――「おとなもこどもも楽しめる」ことをテーマとしている「キッズ・プログラム」は大人向けの演劇と違うところはありますか?
物語はすごくわかりやすくてシンプルなので「これ、伝わるかな?」みたいなことはないですし、子どもの共感性がとても高い物語になっていると思うんです。もしかしたら「これ、私と一緒だ」と感じる子もいるかもしれないし、逆に「私と抱えてることが一緒だから、つらくて目を背けたくなる」という子もいるかもしれません。
――楽しいだけではない、ちょっとビターな要素もあるのですか?
そういう要素もあります。それが今回すごく好きなところで、僕は「キッズ・プログラム」は「大人を子どもに還す」プログラムかもしれないと感じていて、そこが面白いんです。「子ども向け」ということではなく、大人になったからこそすごく愛おしい。そういう要素が今回の物語にはたくさんあると思います。子どもの頃に誰しもが経験して、抱えたことがある悩みをすごく孕んでいるし、なんかやっぱり楽しいんですよ。もちろん視覚的にもすごく楽しいですし、いま聞いている範囲では演出的にもすごく楽しいので「この物語をいいものにするのは、あとはもうキャストの責任だな」と思っています。
「ストーリーテラー」的には、子どもに対しても「ただ楽しいだけじゃない」と言ったら、ちょっと言い過ぎかもしれないですが「こういうことって、あなたにもあるよね?」ということを、あまり子ども扱いしたくはないんです。子どもって、子ども扱いされると「わかるやい!そんなこと」ってむかつくことってあるじゃないですか。「子どもって、こういうことあるよね」というよりも、大人と同じちゃんとひとりの人として「俺らってこういうことあるよね」ぐらい身近な話として語れたらいいなと思っています。
――子ども向けなので、カラッと明るく楽しい作品というイメージを持っていましたが、それだけではなさそうですね。
もしかしたら、そこは宗子さんの力もあるかもしれませんが、これまでの作品を拝見していて、楽しいだけじゃない瞬間があって「すごく痛いところを突いてくる」というのがあるんですよ。そこは僕がすごく好きなところで、松尾スズキさんの作品を観ていても「それ言語化したかー! 俺らが心の奥底にしまって、このまま墓まで持って行って骨になれればいいと思ったことを、よくも言語化したな、この人は」という気持ちになったりするんですが(笑)、宗子さんにも僕はそれをすごく感じていて、それが今回「キッズ・プログラム」というパッケージの中にもあるんです。だからこそ、宗子さん好きの人にも観ていただきたいというのはありますね。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、子どもだけではなく大人にもこの作品を観てほしいという一色さんの想いについてお話ししてくださった内容、KAATキッズ・プログラムで子役が主人公を演じるのは今回が初めてだというお話やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■「あなたも子どもだったでしょ?」って。「キッズ・プログラム」を大人にも
■「一色さんのルキーニ見たいです!」と、言われたことが。「僕は幸せ者だな」って
■大人でも5,500円。僕が、台本の3ページ目で大爆笑した理由も観に来てほしい
■KAATの「キッズ・プログラム」で、子役さんが主人公をやるのは今回が初めて
<『くるみ割り人形外伝』>
【神奈川公演】2023年8月5日(土)〜8月13日(日) KAAT 神奈川芸術劇場 <大スタジオ>
【豊橋公演】2023年8月19日(土) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
【松本公演】2023年8月26日(土) まつもと市民芸術館 小ホール
【松本公演】2023年9月10日(日) J:COM 北九州芸術劇場 中劇場
公式サイト
https://www.kaat.jp/d/kurumi
『くるみ割り人形外伝』 関連記事:
⇒すべて見る一色洋平 関連記事:
- 「節目」「夢」、『朝日のような夕日をつれて 2024』玉置玲央・一色洋平・鴻上尚史鼎談(下) 20240810
- 「観たいと言ってくれる人がたくさん」、『朝日のような夕日をつれて 2024』玉置玲央・一色洋平・鴻上尚史鼎談(上) 20240810
- 「毎朝鏡にエドって」、舞台『鋼の錬金術師』一色洋平・廣野凌大・石丸さち子(下) 20240607
※一色洋平さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは9月4日(月)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
アイデアニュースは、有料会員のみなさんの支援に支えられ、さまざまな現場で頑張っておられる方々の「思いや理想」(ギリシャ語のイデア、英語のアイデア)を伝える独自インタビューを実施して掲載しています。ほとんどの記事には有料会員向け部分があり、有料会員(月額450円、税込)になると、過去の記事を含めて、すべてのコンテンツの全文を読めるようになるほか、有料会員限定プレゼントに応募したり、コメントを書き込めるようになります。有料会費は取材をしてくださっているフリーランスの記者のみなさんの原稿料と編集経費になります。良質な取材活動を続けるため、どうか有料会員登録にご協力をお願いいたします。
今回触れてない部分でも当て書きなのかな?と思う所がありました(答え合わせする日は来ないと思いますが…)
今改めて過去の記事を読ませていただいて、情報公開されて泣く作品はあの作品だな!?とわかり、過去と今が繋がり感無量です。
毎度素敵な記事をありがとうございます。