ミュージカル『スリル・ミー』が、2023年9月7日(木)から10月3日(火)まで東京芸術劇場シアターウエストで、10月7日(土)から9日(月・祝)までサンケイホールブリーゼで、10月11日(水)と12日(木)にキャナルシティ劇場で、10月14日(土)と15日(日)にウインクあいち大ホールで、10月21日(土)と22日(日)に高崎芸術劇場スタジオシアターで上演されます。ふたりの役者と一台のピアノのみで繰り広げられる息をもつかせぬ究極の100分間。2011年の初演から何度も上演されてきましたが、2023年は、尾上松也さん(私)と廣瀬友祐(彼)さん、木村達成さん(私)と前田公輝さん(彼)、松岡広大さん(私)と山崎大輝さん(彼)の3組のペアで上演されます。
アイデアニュースでは3組のペアの取材をしました。第2回は、2014年に出演した松也さんと初出演となる廣瀬さんのインタビューを、上下に分けてお届けします。「上」では、本作に出演するにあたってのそれぞれの思い、『エリザベート』以来の共演となること、共演が楽しみであることなどについて伺いました。「下」では、「私」と「彼」それぞれの人物像について、『エリザベート』での共演においてのお互いへの率直な印象について伺った内容とお客様へのメッセージを紹介します。
――柿澤(勇人)さんがゲストで出演されていた歌舞伎夜話を拝見したのですが、松也さんが、「これだけは出たい!何としても再演したいと思っていた」とおっしゃっていましたが、その思いを伺いたいです。
松也:単純にこの作品が好きなのと、前回非常にやりがいを感じていましたし、それにプラスして、「もっとできた」とか「もっとこうしたい」という思いを残しながら千穐楽を迎えましたので、もう一度出演するチャンスがあったらいいなということはずっと思っていました。
――たくさんの作品の中でも、この作品は特別だとおっしゃっていましたね。
松也:こんなことを言ったら申し訳ないかもしれませんが、「絶対にもう一回やらなきゃ」と思う作品は、そうそうあることではないでしょうし、その中でも「これだけは」という気持ちがあります。僕自身が、元々少人数のお芝居が結構好きなこともあります。そういう意味では、まさに僕のタイプの作品なんです。ピアノの伴奏と、ふたりだけの歌声と芝居だけというのが、最も大好物のシチュエーションなので、そこも気に入っているところです。
――では、特に「この役が」というよりも、作品全体がお好きなんですね。
松也:そうですね。役もそうですけど、作品と音楽と世界観と物語のすべてに、役者として魅力を感じていますし、芝居としての魅力がたくさん詰まっている作品だと思います。
――例えば、ホリプロさんに出たいと言い続けるとか、意思表示をされていたんですか?
松也:「いつかあれば」ということは、言っていました。僕が出させていただいてから2回以上は再演されていますが、「毎回お声をかけていただけないということは……」と発表される度に不機嫌になっていました。「聞いてないなあ……」という状況でしたね。
(一同笑い)
――では、今回のオファーに驚いていますか?
松也:いいえ。「ようやくですか?」という感じです。
(一同笑い)
――廣瀬さんは、この作品をご覧になったことはありますか?
廣瀬:恥ずかしながら観たことがないんです。でも、何で知っているんだろう。多分、過去の出演者の方たちと知り合いだったり、何となく情報を知っているくらいで、いわゆる同性愛とかのイメージが強かったんですが、「どうやらそうじゃない」というところから興味が湧きました。ちょっと前にもお話が浮上したことがあったんですが、その時から意識するようになって、今回やっと出演することができます。
――そうすると、ようやくタイミングが合ってということだと思いますが、お話が来た時からご興味を持ってやってみたいという気持ちになりましたか?
廣瀬:はい。やっぱり松也くんも言うように、そもそも舞台上にふたりしか役者がいないという状況や作品というものに、シンプルに惹かれていたのはあります。「ついに僕にも『スリル・ミー』の話が来てくれた」という喜びと同時に、「私」が尾上松也だと聞いて、全く想像ができない楽しみというか、わくわく感がありました。
――相手役がとても大事な作品だと思いますが、松也さんは、前回柿澤さんとのペアでした。元カレは柿澤さんで、今カレは廣瀬さんということになりますが、相手が変わることに関しては、いかがですか?
松也:相手は変わって……ほしいですよね。
――そうなんですね?
松也:せっかく演じるんだったら、変わりたいですよね。もちろん、今回もカッキー(柿澤さん)が「彼」でも、それはそれで前回のふたりで作った世界というところにある種の挑戦ができるとは思いますが、せっかくやらせていただくのであれば、またゼロからふたりで積み上げてやっていくのとでは、おのずと違う別の世界もできてくるでしょう。
そういう意味では新カレと言いますか、ニュー彼氏の「彼」が廣瀬くんと聞いた時には僕もとても楽しみでしたし、同世代で舞台に出てはいるけど、『エリザベート』以来ずっとご一緒する機会がなかった中での相手役です。
カッキーは少し年下でしたので、そんなことは関係ないと言えばないのですが、廣瀬くんはまったくの同世代で同級生ですから、また前回とは全然違う感覚になれるのではないかと、とても楽しみでしたね。
――では、相手役が廣瀬さんだと知った時の第一印象はいかがでしたか?
松也:第一印象は「絶対に迫力のある、すごい「彼」ができそうだな」と。ものすごく嬉しかったです。廣瀬くんは本当に身長も大きいので、カッキーは僕より低かったから、そういう意味でもすごく迫力あるだろうなと。
――視界が変わるということですものね。
松也:全然変わりますし、そうすると心理も少し変わるのかなとか、いろんな期待が膨らみますね。
――廣瀬さんは、「私」が松也さんであることについて、いかがですか?
廣瀬:過去に松也くんがカッキーとやっていたのは知っていましたし、年月を経て貫禄の付いた松也くんが演じる「私」に対抗できるかなと思いました。名前を聞いた時は自信がなかったんですが、でもやるからには戦おうと思って、覚悟を持って挑もうとはしています。
かつて『エリザベート』で共演させてもらってはいたものの、当時、僕自身もいわゆる大きいショービジネスというか、そういうことがある意味初体験で初々しさもあって、僕が革命家役をしていた時から第一線で活躍されている方の中のひとりで、憧れの目でも見ていたから、今回、松也くんとふたりで作品を作れるんだというところがシンプルに嬉しいですね。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、『エリザベート』以来の共演となること、共演が楽しみであることなどインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。6日掲載予定のインタビュー「下」では、「私」と「彼」それぞれの人物像について、『エリザベート』での共演においてのお互いへの率直な印象について伺った内容やお客様へのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■廣瀬:「こんな感じのふたりになるんだろうな」と全く想像できない、貫禄の付いた松也くん
■松也:「五感で感じて表現する」感覚を、全編求められるのが栗山さんの『スリル・ミー』
■松也:お客さまがいることを忘れるくらい、集中しないといけないし、集中してしまう
■廣瀬:自分自身と松也くんを客観視できなくなったとしても、その世界に没入するのが楽しみ
<ミュージカル『スリル・ミー』>
【東京公演】2023年9月7日(木)~10月3日(火) 東京芸術劇場シアターウエスト
【大阪公演】2023年10月7日(土)~10月9日(月・祝) サンケイホールブリーゼ
【福岡公演】2023年10月11日(水)・10月12日(木) キャナルシティ劇場
【名古屋公演】2023年10月14日(土)・10月15日(日) ウインクあいち 大ホール
【群馬公演】2023年10月21日(土)・10月22日(日) 高崎芸術劇場 スタジオシアター
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/thrillme2023/
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「発表される度に不機嫌になっていました。」という松也さんが人間味らしくて親近感が湧きました。前回の柿澤さんとのCD音源を聴いたことがあり、松也さんの、彼にすがる私、が映像で見られるのがとても楽しみで、その彼が廣瀬さんというのもとても楽しみです。前からオファーのお話があった、というのも初耳で、ファンにはとても嬉しい記事でした。地方組ですが、観劇が楽しみでなりません。