「感情のない人形に思いを込める、深い境地がある」、豊竹英太夫インタビュー(下) | アイデアニュース

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「感情のない人形に思いを込める、深い境地がある」、豊竹英太夫インタビュー(下)

筆者: 中本 千晶 更新日: 2017年3月14日

2017年4月に、六代「豊竹呂太夫」(とよたけ・ろだゆう)を襲名される豊竹英太夫(とよたけはなふさだゆう)さんインタビューの「下」です。

豊竹英太夫さん=撮影・伊藤華織

豊竹英太夫さん=撮影・伊藤華織

6)あのとき「雄治!」と呼ばれなかったら僕は今ここにいなかった

――どうして辞めなかったんですか?

僕、何度も辞めようと思ったですけどね、そういう時に何か事件が起こるんですよ。 一番最初に竹本春子太夫の内弟子を2年ほどしたんですが、内弟子って四六時中師匠と一緒やからしんどいんですよ。「もうこりゃあかんわ。ほんまに辞めよう」と思って師匠に言いに行こうと襖に手をかけた瞬間に、「雄治!」(英太夫さんの本名)と呼ばれたんですよ。で、「はーい」と師匠のところに行って、何かを頼まれて、それでもうやめる気がなくなった。あの時「雄治!」と呼ばれなかったら、僕は今いないね。

――運命の分かれ道がそんなところに……。

飛び込み自殺をする人も、意志を持って飛び込むんじゃなくて、ふらふらっと行ってしまうらしい。僕も同じで、辞めようと思った時は「うわー、もうイヤやー」という感じだった。それから越路師匠(竹本越路大夫)のところで内弟子をしてた時も1年ぐらいでイヤになってね、今度こそ辞めようと思っていた時に竹本貴太夫が入ってきた。それが良かった。

――内弟子が2人になったから?

そうそう。楽になったんですよ。

――文楽は世襲制ではないですが、英太夫さんの場合、お祖父様が偉大な太夫さんでいらっしゃいます。お祖父様のDNAみたいなものをご自身の中に感じる事はありますか?

やっぱりありますね。

――どういう時に?

うーん、何だかブワーッと行く時があるね。感情の破裂と言うか、常識をちょっと超える感じ。お祖父さんの義太夫を聞いていても、「わかるわかる」っていう感じはありますね。

――それが受け継がれているんですね。

そう。型を破るっていうかね。だからこそ型ができてなきゃあかんけどね。

豊竹英太夫さん=撮影・伊藤華織

豊竹英太夫さん=撮影・伊藤華織

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、インタビューの全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

7)今考えたら、東大すべって文楽に入って正解やったやないかなあ

8)70近くになって勉強するってイヤやで〜! でも、勉強せんとしゃあない

9)文楽好きな感性を持った人は100人に1人、そういう人を動かさないと

10)「三位一体」でなくて「四位一体」、人形に感情を込めるのはお客さま

※抽選で有料会員3名さまに豊竹英太夫さんのサイン色紙と写真1枚をプレゼントします。有料会員がログインすると、この記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは3月28日(火)です。※このプレゼントの募集は終了しました。

<2月文楽公演>
【東京公演】2017年2月4日(土)~2月20日(月) 国立劇場 ※この公演は終了しています
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2016/21039.html

<4月文楽公演>
【大阪公演】2017年4月8日(土)~4月30日(日) 国立文楽劇場
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2017/41029.html
【展示】「豊竹呂太夫 -代々の魅力-」2017年4月8日(土)~5月28日(日) 国立文楽劇場 資料展示室
http://www.ntj.jac.go.jp/bunraku/event/6076.html

<5月文楽公演>
【東京公演】2017年5月13日(土)~2017年5月29日(月) 国立劇場
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2017/6045.html

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<筆者プロフィール>中本千晶(なかもと・ちあき)/フリージャーナリスト。兵庫県生まれ、山口県育ち。東京大学法学部卒業後、株式会社リクルートに勤務ののち独立。舞台芸術、とりわけ宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で分析し続けている。宝塚歌劇関係の著作に『宝塚歌劇に誘(いざな)う7つの扉』『宝塚歌劇は「愛」をどう描いてきたか』(いずれも東京堂出版)など。「日経MJ」「朝日新聞デジタル」でも、舞台関連の記事を執筆中。NHK文化センター講師、早稲田大学非常勤講師。⇒中本千晶さんの記事一覧は、こちら

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