地域演劇を作る(3)まちの5つの物語を上演、3月11日と12日に大東市で | アイデアニュース

新着 予定 プレゼント 動画

地域演劇を作る(3)まちの5つの物語を上演、3月11日と12日に大東市で

筆者: 桝郷春美 更新日: 2017年3月8日

「第1回だいとう戯曲講座~地域のドラマを書いてみよう~ 発表公演」が3月11日(土)、12日(日)、旧深野北小学校(大阪府大東市)で開かれます。5名の参加者が書き上げた短編5作品が、いよいよ朗読劇として立ち上がります。連載「地域演劇を作る」第3回は、7カ月の歩みを経て生まれた5つの短編戯曲について紹介します。また、3月7日に行なわれた初稽古の様子の写真を、アイデアニュース無料部分末尾で紹介します。有料会員向け部分では、講師の高橋恵さんが全講座を終えて見えてきたことなどについて、本講座の最後に語られた内容をお届けします。

最終講座にて=桝郷春美撮影

最終講座にて=桝郷春美撮影

2016年8月にお試し講座がスタートし、10月から全10回の本講座を続けてきた「だいとう戯曲講座」。他の戯曲講座と違うところは、実在するまちを舞台に書き、そのまちで上演されること。そうして現実を意識しながら書く中で、大東のまちで、自分の心の中に、参加者がそれぞれのリアリティを見つめた7カ月間でもありました。5つの短編戯曲は、演出の高橋さんが各作品を10分程度の朗読劇に仕立て、関西の小劇場界で活躍する役者の方々が朗読します。大東にそれぞれのドラマを見出した受講生5人の上演作品を紹介します。

台本=桝郷春美撮影

台本=桝郷春美撮影

●『だまって しねるか!』いまだゆうさくさん

飯盛山にハイキングに行く老人と、その友人の孫。山歩きでの会話を通して、世代の異なる二人のかみあわないもどかしさや、ささやかな歩み寄りがにじむ。

いまださんコメント:自分の中にあるものを「まとめる」ことに興味があります。行き過ぎた題を付けましたが、自分なりに終わりを見つけて書いたつもりです。感想をいただけたら楽しいだろうと思いますが、(真意を)分かっていただけるかな。

●『はぐれるわけにはいかないの』上坂京子さん

昭和48年秋の夕暮れ時、JR野崎駅近くの橋で繰り広げられる家族のストーリー。10歳の娘の本音と母の口に出せない思い、互いの気持ちが橋の上で交錯する。

上坂さんコメント:駄菓子屋のお母さんに取材させてもらったことがきっかけで、自分の子ども時代を思い出してイメージが膨らみました。大阪の万国博覧会の頃の記憶を懐かしみながら、また新鮮な気持ちで時代を見つめました。私自身、母親でもあるので、母と子の両方の気持ちで書きました。

●『東のまち、西の空』桝郷春美

男友だちと一緒に商店街マップで見つけたお店を訪ね、まちと人との心の距離が近づく過程をセルフ・ドキュメンタリーの形式を用いて描いた作品。

桝郷コメント:この半年の間、野崎のまちを歩いて、人と出会い、その中で見つけた物語です。現実と虚構の間で悩みながら書きました。講座を終えた今でも、リアリティとは何だろうと考え続けています。

●『灯台』南陽子さん

野崎観音(慈眼寺)に訪れた3人の女性の友情を描いた作品。役者を目指して東京に暮らす人、出産を控えた人、野崎に住み続ける人、それぞれ違う道を歩む高校の同級生3人の微妙な心の揺れや摩擦、それぞれの心模様を描く。

南さんコメント:野崎観音には女性を守ってくれる仏様がいて、調べていくうちにそこはやさしい場所だと気付きました。大東で生きる登場人物と、東大阪で生きている私の中のイコールを探す作業を時間をかけて行うことができました。

●『喫茶 青い鳥』山納洋さん

喫茶店に、子猫を探しに来た女性が足を踏み入れたことで、繰り広げられる女性4人の会話。店主と保育園で働く常連客、近所に暮らすおばあちゃん、越してきたばかりの女性の目線を通して大東にあるリアルな物語を紡ぐ。

山納さんコメント:大東市深野で、人生における喫茶店の上位ベスト3に入るぐらい面白い喫茶店に出会いました。物語を書くにあたり、葛藤ではなく、迷い猫の謎で物語を展開することで、自分が今やりたいことの調和がとれるのではないかと考えました。実在する喫茶店の空気感を再現にリアリティを置いています。

講師の高橋恵さん=桝郷春美撮影

講師の高橋恵さん=桝郷春美撮影

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、この講座の講師を務めた劇作家・演出家の高橋恵さん(劇団「虚空旅団(こくうりょだん)」主宰)の全講座を終えた所感や、演劇賞・戯曲賞受賞者を輩出している戯曲塾「伊丹想流私塾」で師範を務める高橋さんの、同塾と今回のだいとう戯曲講座での教えることの違いなどについて、本講座の最後に語られた内容をご本人の言葉でお届けします。

<有料会員限定部分の小見出し>

■いかに筆を折らせないか

■声に出して読む敷居を低く

■ハードルの高い所に向かわないと楽しくない

■地域のドラマシティ化は自分たちで石を退けて耕すところから

<第1回だいとう戯曲講座~地域のドラマを書いてみよう~ 発表公演>
【大東公演】2017年3月11日(土)17:00、12日(日)15:00開演
旧深野北小学校(大東市深野3丁目28-4) 入場料無料
作:いまだゆうさく、上坂京子、桝郷春美、南陽子、山納洋
出演:高橋映美子、船戸香里、村山裕希(dracom)、水柊(少年王者舘)
講師・演出:高橋恵(虚空旅団)
主催:大東市 制作:大東倶楽部、虚空旅団
お問合せ:大東倶楽部 TEL. 0570-001-962
Eメール:info☆daito-club.com (☆を@にしてください)

<大東市主催、虚空旅団製作公演『河内キリシタン列伝』>
―今から450年前、ここ河内の地には、わが国に伝わったばかりのキリスト教をめぐる様々なドラマがあった…―
【大東公演】2017年3月25日(土)18:30/3月26日(日)13:30、17:30開演
旧深野北小学校体育館 前売・当日共 1500円
作・演出:高橋恵(虚空旅団)
原作:『戦国河内キリシタンの世界』批評社/神田宏大、大石一久、小林義孝、摂河泉地域文化研究所=編
出演:飛鳥井かゞり(猫会議)、諏訪いつみ(満月動物園)、杉江美生、竹田モモコ、水柊(少年王者舘)、濱奈美(劇団ひまわり)
ポストトーク(3/25公演終了後):天野忠幸氏(天理大学准教授)
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/kawachikirisitan

地域演劇を作る 関連記事:

⇒すべて見る

<3月7日に行なわれた初稽古の様子>

初稽古より=2017年3月7日、撮影・桝郷春美

初稽古より=2017年3月7日、撮影・桝郷春美

初稽古より=2017年3月7日、撮影・桝郷春美

初稽古より=2017年3月7日、撮影・桝郷春美

初稽古より=2017年3月7日、撮影・桝郷春美

初稽古より=2017年3月7日、撮影・桝郷春美

初稽古より=2017年3月7日、撮影・桝郷春美

初稽古より=2017年3月7日、撮影・桝郷春美

初稽古より=2017年3月7日、撮影・桝郷春美

初稽古より=2017年3月7日、撮影・桝郷春美

全文が読める有料会員登録にご協力を

アイデアニュースは、有料会員のみなさんの支援に支えられ、さまざまな現場で頑張っておられる方々の「思いや理想」(ギリシャ語のイデア、英語のアイデア)を伝える独自インタビューを実施して掲載しています。ほとんどの記事には有料会員向け部分があり、有料会員(月額450円、税込)になると、過去の記事を含めて、すべてのコンテンツの全文を読めるようになるほか、有料会員限定プレゼントに応募したり、コメントを書き込めるようになります。有料会費は取材をしてくださっているフリーランスの記者のみなさんの原稿料と編集経費になります。良質な取材活動を続けるため、どうか有料会員登録にご協力をお願いいたします。

    
<筆者プロフィール> 桝郷春美(ますごう・はるみ)福井県小浜市出身。京都市在住。人生の大半を米国ですごした曾祖父の日記を読んだことがきっかけでライターの道へ。アサヒ・コム(現・朝日新聞デジタル)編集部のスタッフとして舞台ページを担当後、フリーランスとして雑誌やウェブサイトに執筆。世の中と表現の関わりを軸に、舞台、映画、美術などジャンルを問わず、人物インタビューや現地取材に取り組んでいる。英語での取材・執筆も行う。 ⇒桝郷春美さんの記事一覧はこちら

コメント欄

有料会員登録してログインすると、コメントを書き込めます(コメントを送信すると、すべての人が読める形で公開されます)。

最近の記事

■ 2024年11月掲載分
■ 2024年10月掲載分
■ 2024年9月掲載分
■ 2024年8月掲載分
■ 2024年7月掲載分
■ 2024年6月掲載分
 過去記事一覧は⇒こちら 有料会員登録は⇒こちら
お勧め商品
新着商品
Sorry, no posts matched your criteria.