地域演劇を作る(4)演劇は新たな景色を見せてくれる扉 | アイデアニュース

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地域演劇を作る(4)演劇は新たな景色を見せてくれる扉

筆者: 桝郷春美 更新日: 2017年4月24日

大阪府大東市では2016年から、旧深野北小学校跡地を活用した文化活動プロジェクトが立ち上がっています。舞台芸術やエンターテインメントを体験できる「演劇ワーキングスクール」もその一つで、17年度は4つのイベントが開催されます。そのうちの戯曲講座は、昨年度に引き続き2回目の開催となります。去る17年3月には、「第1回だいとう戯曲講座~地域のドラマを書いてみよう~ 発表公演」が、この小学校跡地で開かれました。アイデアニュースの連載「地域演劇を作る」では、初回講座を受講し、体験リポートとして紹介してきましたが、連載4回目は公演から見えてきたことなどについてお届けします。

キャプション:第1回だいとう戯曲講座発表公演『だまって しねるか!』(いまだゆうさくさん作)より=桝郷春美撮影

第1回だいとう戯曲講座発表公演『だまって しねるか!』(いまだゆうさくさん作)より=桝郷春美撮影

この講座は書いて終わりではなく、大東のまちで上演するところまで行うのが醍醐味。集大成の発表公演では5つの短編が朗読劇として上演されました。全く違う視点で書かれた個々の作品が、大東という共通項で一つにまとめて構成されたことにより、全体としてはまちの多面的な姿が浮かぶという見え方。観客からは「住んでいても、知らないことがありました」という声も聞きました。

受講者にとっても自分の書いたものが上演されるのは貴重な経験で、プロの役者の方々に読んでもらえたから立ち上がった世界観、生の空間で観客の反応を目の当たりにできたから感じられたことが確かにありました。受講者の一人、いまだゆうさくさんは終演後、「涙が出ました。自分で書いた戯曲なのに」とぽつり。初めて戯曲執筆に挑戦して「新たな扉が開いた」とも話していました。

いまださんの戯曲『だまって しねるか!』は言葉のリズムが独特で、朗読した役者の二人も「どう読めばいいのか難しかった。だからこそ読み甲斐があって面白かった」と口を揃えてコメントしていました。「終盤のセリフは、自分が伝えたかったことを押し通したんです」といまださん。一人ひとり、悩みあがきながら書き上げたからこそ、当日は純粋に笑ったり涙が出たりと、生きた感情を味わえた2日間の上演でした。

地域の知られざるストーリーを掘り起こすこと。それは、実は自分の中に眠っている心の揺れやひっかかりとつながっていて、それが結び付いた時に、その人ならではの物語が生まれるのだと感じました。「だいとう戯曲講座」は6月から、第2回が始まります。「これからも大人のクラブ活動のような感じで楽しく続けられたら」と講師で劇作家・演出家の高橋恵さん。新たな扉を開きたい人におすすめの講座です。

(この連載の「第1回だいとう戯曲講座」体験リポートは、今回が最終回です。)

※今回の発表公演で、「生きる力をもらいました」と感想をくださった観客の方がいました。その背景にあるエピソードを、アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分で紹介します。

<有料部分の小見出し>

■張りつめた緊張がすっと解けた瞬間

■生の交流だからこそ味わった感情、たどり着けた地点

■演劇は「生きる力」につながっている

【2017年度 演劇ワーキングスクール予定(会場はいずれも深野北小学校跡地)】

お問合せ:大東倶楽部 TEL. 0570-001-962

Eメール:info☆daito-club.com (☆を@にしてください)

<シニアワークショップ>

内容:演劇の基礎練習、発表会

日時:2017年6月6日(火)~9月12日(火)全9回 隔週火曜日(午後2時~4時)

料金:入会金3,000円 各回1,200円

<第2回だいとう戯曲講座~地域のドラマを書いてみよう~>

内容:取材、戯曲の執筆と、制作した作品の上演

日時:2017年6月~11月 全12回 隔週火曜日(午後7時~9時)

料金:各回1,000円 通年10,000円(発表会付き)

<『河内キリシタン列伝』 朗読ワークショップ>

内容:歴史ドラマの朗読ワークショップ

日時:2017年6月~7月 全10回

料金:各回1,000円 通し10,000円(発表会付き)

<劇団●天八 公演「小金屋食品ものがたり」>

日時:2017年10月14日(土)~15日(日)

脚本・演出:福満“グリズリー”ヒロユキ

料金:前売1,000円 当日1,500円

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第1回だいとう戯曲講座発表公演『はぐれるわけにはいかないの』(上坂京子さん作)より=桝郷春美撮影

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<筆者プロフィール> 桝郷春美(ますごう・はるみ)福井県小浜市出身。京都市在住。人生の大半を米国ですごした曾祖父の日記を読んだことがきっかけでライターの道へ。アサヒ・コム(現・朝日新聞デジタル)編集部のスタッフとして舞台ページを担当後、フリーランスとして雑誌やウェブサイトに執筆。世の中と表現の関わりを軸に、舞台、映画、美術などジャンルを問わず、人物インタビューや現地取材に取り組んでいる。英語での取材・執筆も行う。 ⇒桝郷春美さんの記事一覧はこちら

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