「『レント』ならエンジェル役」、オペラ『ラ・ボエーム』北川辰彦インタビュー(上) | アイデアニュース

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「『レント』ならエンジェル役」、オペラ『ラ・ボエーム』北川辰彦インタビュー(上)

筆者: 井内美香 更新日: 2021年5月10日

ブロードウェイ・ミュージカル『レント』の原作として知られるオペラ『ラ・ボエーム』。19世紀のパリを舞台に、屋根裏部屋で暮らす若いアーティストたちの愛と死を描いた名作です。通常はイタリア語で歌われますが、2017年に日生劇場が新しい日本語訳詞で上演。大評判だったこのプロダクションが、2021年6月12日(土)と6月13日(日)に、新しいキャストでNISSAY OPERA 2021『ラ・ボエーム』として上演されます。この作品に、ショナール役で出演する北川辰彦さんにインタビューしました。北川さんは、オペラ界のスター歌手として数々の作品で活躍しているかたわら、東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』司教役や、ミュージカル座などにも出演しています。インタビューは上、下に分けて2日連続で掲載し、「上」では、ショナール役について、『ラ・ボエーム』と『レント』の関係、プッチーニ作品について、東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』に司教役で出演して思ったことなどについて話してくださった内容を紹介します。「下」では、オペラ歌手の飲み会とミュージカル俳優の飲み会の違い、オペラ歌手を「武士」に例える理由、若者へのアドバイス、読んでいる漫画と演技の関係などについて語ってくださった内容を紹介します。

北川辰彦さん=撮影・長澤直子
北川辰彦さん=撮影・長澤直子

——北川さんは6月12日(土)、日生劇場の『ラ・ボエーム』公演にショナール役で出演されます。『ラ・ボエーム』は詩人のロドルフォ、画家マルチェッロ、音楽家ショナール、哲学者コッリーネの四人がパリの屋根裏部屋で繰り広げるストーリーで、やがてロドルフォがミミと恋に落ち、マルチェッロは元恋人のムゼッタとよりを戻し、この二組のカップルを中心に物語が進みます。芸術家たちの青春群像を描いた作品の中で、北川さんが演じるショナールの役割について、紹介していただけますか?

詩人や哲学者などと比べると音楽家というのは身近に感じやすい役どころかもしれませんね。わかりやすく言うと、ショナールはボケもツッコミも両方やる男です。一方、詩人のロドルフォはどちらかというと天然のイメージで終始そのまま(笑)。画家マルチェッロは“怒り芸”みたいなところがあっていつもワーワー言ってる。哲学者コッリーネはちょっとシュールな役といいますか。そう考えると、ショナールがいないと成り立たない四人組なのかな、という感じはします。ある意味4人グループの漫才というか、コント集団みたいな感覚があるんです。

——ショナールは四人の中では一番現実的でしっかりしていますよね。劇中で唯一ちゃんとお金を稼いでくる人でもあり(笑)。

そう、みんなショナールを頼っていますね。四人のキャラクターの違いは、演出の伊香修吾さんと話をしながら、声以外の演技の部分を作っていきたいと思っています。

——『ラ・ボエーム』をミュージカルの『レント』と比べるといかがですか?

ショナールは『レント』で言えばゲイでドラァグクイーンであるエンジェルにあたる役なんですよね。『レント』はLGBTについてかなり描かれている作品だと思いますが、僕が最初に観た時には衝撃的でした。同じようにオペラ 『ラ・ボエーム』も発表された当時は、貧乏な芸術家たちの恋愛を描くことは当時のお客さんにとって衝撃的な作品だったと思うんです。貧しくて夢を常に持ち続けている、けれども努力すれば報われるかというと、その思いだけではどうにもならない人生観が『ラ・ボエーム』にはあると思っています。

——若くして病に冒されているミミの運命にはやはり涙してしまいます。

『ラ・ボエーム』は、ロドルフォとミミの大恋愛の物語、命をかけて愛し死んでいった女性の物語だと思います。オペラの中にはショナール自身についてはそれほど書き込まれてはいませんが、『レント』でエンジェルのような描かれ方をした理由はやはりあるのかなと…。例えばショナールが自分で自分のことを「俺様のこの美貌を使ってメイドを口説き落として…」と歌うところがありますが、ショナールは女性に対するアプローチを強くできる人なんですよね。だからミミに対して、状況をよく分かった上で、何か別の感情なりを持っていたら彼の人物像が深くなるかもしれません。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、NISSAY OPERA 2021『ラ・ボエーム』で共演するロドルフォ役の宮里直樹さん、マルチェッロ役の今井俊輔さん、コッリーネ役のデニス・ビシュニャさんとのコミュニケーションの取り方や、プッチーニの作品について、ミュージカルに出演して自分の表現の幅を自分で狭めてはいけないと思ったことなどについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。5月11日(火)掲載予定のインタビュー「下」では、オペラ歌手の飲み会とミュージカル俳優の飲み会の違いから、オペラ歌手を「武士」に例える理由、オペラ歌手になりたいという若者へのアドバイス、コロナ禍になって物事の考え方が変わったことや、読んでいる漫画と演技の関係などについて語ってくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■日本語訳の良いところは、出演者同士のやりとりが通じやすいこと。その場でツッコミ合える

■プッチーニ作品は音楽の良さが一番。『ラ・ボエーム』は初めてオペラを観る人も楽しめる

■ミュージカルは、稽古場でどれだけインスピレーションを出せるかを考えている

■オペラは劇場の空間全てを生の声で満たすように歌う。声をいかに遠くまで飛ばすか

<NISSAY OPERA 2021『ラ・ボエーム』>
【東京公演】2021年6月12日(土)・6月13日(日) 日生劇場
公式サイト
https://opera.nissaytheatre.or.jp/info/2021_info/la-boheme/

<関連リンク>
NISSAY OPERA 2021『ラ・ボエーム』
https://www.nissaytheatre.or.jp/schedule/boheme2021/
北川辰彦 Twitter
https://twitter.com/tatyan1129
ザ・ジェイドTwitter
https://twitter.com/TheJADE9

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北川辰彦さん=撮影・長澤直子
北川辰彦さん=撮影・長澤直子

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<筆者プロフィール>井内美香(いのうち・みか) オペラに魅せられ、スカラ座に通うためにイタリアに移住。ミラノで20年以上の間、オペラに関する執筆、イタリア語通訳と翻訳、オペラ来日公演コーディネイトの仕事に携わる。2012年より東京在住。最近の癒しはYouTubeで猫動画を見ること。 ⇒井内美香さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. Ms Ko より:

    記事はとても読み応えのある内容で、北川さんのお考えや思いが伝わりました。コロナ禍の中で、公演ができるか不安定な状況が続いていますが、ラボエームで北川さんのお声を聞いて元気をもらいたいと思います!

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