「『水汲』はミュージカル調でリリカル」、「狂言このあたり乃会」対談(上) | アイデアニュース

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「『水汲』はミュージカル調でリリカル」、「狂言このあたり乃会」対談(上)

筆者: 達花和月 更新日: 2021年7月5日

人間国宝・野村万作さん門下の若手狂言師の研鑽のための「狂言このあたり乃会」。第四回目となる今回は、2021年8月7日(土)に東京・矢来能楽堂にて開催されます。同人の岡聡史さん、中村修一さん、内藤連さん、飯田豪さんに、曲について、見所や演じる上での想いなどをお話頂きました。インタビュー「上」では3つの演目のうち、謡の掛け合いがミュージカル調でリリカルな曲『水汲』と、物忘れをした太郎冠者のために「源平盛衰記」を大真面目に語っていく「語リ」の大曲『文蔵』について、インタビュー「下」では、現代でいう「オレオレ詐欺・対面バージョン」で騙しにくる詐欺師が登場する『咲嘩(さっか)』について語ってくださった全文を紹介します。

(写真左から)中村修一さん、飯田豪さん、内藤連さん、岡聡史さん=撮影・NORI
(写真左から)中村修一さん、飯田豪さん、内藤連さん、岡聡史さん=撮影・NORI

――まず、一曲目の『水汲(みずくみ)』はどのようなお話でしょう?

岡:野中の清水で洗濯をしている若い娘「いちゃ」(演者:飯田豪さん)がいまして、そこに新発意(しんぼち:見習い坊主のこと。演者:岡聡史さん)が、お茶の水を汲みに来て、いちゃを発見します。実は日頃から思いを寄せている女の子なので、そこで、歌いながら想いの丈をぶつけるといいますか、(飯田さんを見て)…イチャイチャするの?

全員:(笑)。

――それで「いちゃ」という名前なんですか?

岡:若い娘の通称が「いちゃ」と言うんです。

飯田:「いちゃ」という名前の意味はわからないですけれども、狂言にはよく出てきます。狂言に出てくる女性は、基本的には「わわしい女」という、男よりも強い女性が多いんですが、それとは違う年若な女性です。といっても、我々「このあたりの者でござる」でやっていますので、お化粧もしませんし、特別なことはしないですが、可愛らしい女性として「いちゃ」がよく出てきます。ただ、「ほら、あのときのいちゃがさ」というような感じで会話の中に名前が出るだけで、役として出てくる狂言は、多分『水汲』くらいだと思います。

――珍しい曲なのでしょうか?

岡:珍しいと思います。曲の半分が謡(うたい)で、謡の応酬といいますか、台詞ではなく、歌の掛け合いなんです。1人で謡いながらというのは多いと思いますが、2人で謡いながら掛け合うので、よりミュージカル調な曲です。

飯田:今回の三つの狂言は、特色がかなりわかりやすく出ていまして、『水汲』が「謡」と「舞」。『文蔵(ぶんぞう)』は「語リ」。そして『咲嘩(さっか)』はいわゆる「言葉の狂言」。この『水汲』が珍しいというのは、普及公演など、狂言を初めて観る方向けには余りやらない曲ということもあるからです。

――若い男女の掛け合いと聞いて、「ロミオとジュリエット」のバルコニーシーンが浮かびました。

飯田:確かに見ようによってはかなりロマンチックです。新発意も見方によると、狂言の中に出てくる役としては、結構キザというか、スカしているというか。最初の出会いのシーンは、私(いちゃ)がお洗濯をしていると、それを新発意が見つけて、ファーストコンタクトが挨拶ではなくて、目隠しをするんですね。

――積極的ですね。

飯田:目隠しをして、いちゃが「誰?」と言っているところで新発意が歌うんです。その謡が、「水を結べば、月も手に宿る 花を折れば、香衣に移る 習ひの候ものを、袖を引くに引かれぬは、あら憎や」つまり、水を取ればそこに写っている月も手に残るし、花を折れば香りが衣につくはずなのに、何故君はこんなに引っ張っているのに返事をしてくれないのだろう、と歌うんです。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、インタビュー「上」では『水汲』がリリカルである点や、物忘れをした太郎冠者のために「源平盛衰記」を大真面目に語っていく「語リ」の大曲『文蔵』について話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。7 月6日(火)掲載予定のインタビュー「下」では、現代でいう「オレオレ詐欺・対面バージョン」で騙しにくる詐欺師が登場する『咲嘩(さっか)』について語ってくださった全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■飯田:『水汲』は言葉を聞き取るより、謡の掛け合いの美しさを楽しんで頂きたい

■岡:自分がやるには程遠いと思っていた。謡が上手くなきゃ成り立たない

■内藤:『文蔵』は「語リ」の大曲。「源平盛衰記」を大真面目に語っていくんです

■飯田:曲自体の重さがあるので、太郎冠者だといってもあまり軽くできるものではない

<第四回 狂言このあたり乃会>
【東京公演】2021年8月7日(土) 矢来能楽堂
S席:3,000円
A席:2,500円
(全席指定・税込)
カンフェティで6月25日(金)10:00より一般販売開始
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=61502&
万作の会公式サイト
http://www.mansaku.co.jp/

<配信>
2021年8月14日 (土) ~2021年10月12日 (火)
視聴券:2,000円(税込)
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=62058&

<関連リンク>
このあたり乃会 公式 Twitter
https://twitter.com/konoatari_no
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https://www.instagram.com/kyogen_konoatari/
中村修一 Twitter
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内藤連 Twitter
https://twitter.com/ren_naito2020

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岡聡史さん(上)と飯田豪さん(下)=撮影・NORI
岡聡史さん(上)と飯田豪さん(下)=撮影・NORI

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<筆者プロフィール>達花和月(たちばな・かずき) 遠方の友人を誘って観たお芝居との出会いがきっかけで、演劇沼の住人に。ミュージカルからストレートプレイ、狂言ほか、さまざまな作品を観劇するうち、不思議なご縁でライターに。熱っぽく自らの仕事を語る舞台関係者の“熱”に、ワクワクドキドキを感じる日々。 ⇒達花和月さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. 向日葵 より:

    文蔵での主人の語りの重要性と軽くなりすぎてもいけないという太郎冠者の大変さ、注目したいです。
    日頃あまり拝見出来ない一門の皆さんのやり取りが関係性が垣間見えるインタビューでとても楽しかった。

  2. mikko より:

    8月の「狂言このあたり乃会」公演を現地と配信の両方で鑑賞させていただく予定です。楽しみにしています。

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