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「超福祉展」レポート、「HAL®」などについて詳しくお伝えします

筆者: 松中みどり 更新日: 2015年12月3日

 

JR東日本のキャンペーン「行くぜ、東北。」に乗せられたわけではありませんが、2015年11月15日(日)から11月20日(金)まで、ひとりで東日本大震災被災地に出かけてきました。福島、宮城、岩手を駆け抜けた旅を振り返り、見たこと、感じたこと、そこに出会った人々について書きたいと思います。第1回は、東北前段、どうしても見ておきたかったイベント「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」レポートです。アイデアニュース読者からのお問い合わせも多い「HAL®」(®は登録商標マーク)などについて少し詳しくご紹介します。

 

HAL®を紹介したCYBERDYNE社のホームページより

HAL®を紹介したCYBERDYNE社のホームページより

 

昨年も11月に、同じ渋谷ヒカリエで行われた第一回「超福祉展」、どうしても行きたくてスケジュールを調整して参加したことを覚えています。まだ義父を自宅介護中で、脊髄損傷で首から下の自由を失った義父が使える新しい福祉機器がないか、画期的なテクノロジーに出会えないかと思ったからです。

 

主催者であるNPO法人ピープルデザイン研究所の代表須藤シンジさんに義父の話をするとすぐ、「お義父さんにはサイバーダイン社のサイボーグ型ロボット、ハルがいいんじゃないか」と教えていただきました。1年前にはサイバーダイン?サイボーグ??ハル???と全く無知だった私です。その後、調べれば調べるほど、もっと早くHAL®のことを知っていれば、リハビリの質が全然違うものになったなあと思ったのでした。義父も倒れた直後に、自立支援用の単関節タイプのHAL®を装着することで、立ち上がることは難しくても、ベッドに寝たままの姿勢でトレーニング出来たはず。どうしても動かせなかった自分の腕が、HAL®の助けで少しでも動いたら、どんなに嬉しかったことでしょう。あと一歩だったという残念な気持ちは今も胸にあります。

 

HAL®に関して、どんどん新しい動きがあり、情報を知りたいというアイデアニュース読者からのお問い合わせもあるので、ここでHAL®について少し詳しくご紹介いたします。HAL®は、Hybrid Assistive Limbの略で、機械と人間、ロボットと人が融合して働くような新しいタイプのロボットです。

 

例えば義父のように脊髄損傷の人は、頭でどんなに「歩きたい」「腕を動かしたい」と考えても、神経がダメージを受けているので、脳の命令を電気信号として筋肉に伝達することができません。ところが、その脳から神経を通じて筋肉に送られる信号は、私たちの皮膚表面から「生体電位信号」としてわずかに漏れ出しています。HAL®は、特別なセンサーによって、その漏れ出した微弱な信号を読み取ることができるロボットです。HAL®を装着した人が、どんな動作をしたいと思っているか、ロボットが分かってくれるというわけです。装着者が思い通りに動くための「随意制御」、そして装着者の動作よりもほんのわずか先に情報を読み取り、動きをスムーズにするために手助けする「自律制御」、ふたつの制御装置をあわせもつHAL®だから、筋力がほんのわずかでも、身体を動かすことができるのです。小児麻痺で脚を動かせなかった人がHAL®を装着して、生まれて48年ぶりに歩いたという例もあるのだそうです。

 

HAL®を装着することで、思った通りの動作を実際に行うことができた人の脳は、必要な信号の出し方を学習します。いずれはひとりで歩くための学習をおこなうため、リハビリがスムーズに進みます。

 

HAL®は、福祉や医療分野での動作支援、工場などでも重作業支援、レスキュー活動支援など幅広い分野で応用が期待されています。HAL®が医療用機器として認められているのはまだEUだけで、特にドイツでは、急性期だけでなく慢性期の麻痺患者にも公的保険が適用されるよう申請中。日本で開発されたHAL®ですが、残念ながら医療用のHAL®(下肢タイプ)が使えるのはドイツだけです。

 

しかし、福祉用と自立支援用のHAL®は、病院や介護福祉施設にレンタルされ、すでに国内各地で利用が始まっています。現在利用できるのは以下の3種類です。

 

HAL®福祉用下肢タイプ ~ 装着する人の意思を感知して立ったり座ったり歩いたりといった動作をアシストします ~

 

HAL®自立支援用単関節タイプ  ~ 肘または膝の集中トレーニング用。ベッドに横になったまま使うことが出来ます ~

 

HAL®介護支援用腰タイプ  ~ ベッドから車椅子に移すような介護動作時の腰への負担を軽減します ~

 

HAL®導入施設についてはこちらをご覧ください
→ http://www.daiwahouse.co.jp/robot/hal/map.html

 

HAL®を使った科学的トレーニングが行えるサービスに関してはこちらをご覧ください
→ http://www.cyberdyne.jp/services/HALFIT.html

 

HAL®全般に関してはサイバーダイン社のホームページをご覧ください
→ http://www.cyberdyne.jp/

 

今年の4月に旅立った義父には間に合いませんでしたが、HAL®をはじめとする高い技術と斬新な発想で、これまでにない福祉の世界が広がっていることにワクワクしました。今年の「超福祉展」が、「ひとり行くぜ、東日本」の初日に開催中であることを知り、予定より早く出発して渋谷に向かったのは、こうした新しい技術をどんどん紹介して、必要な人に情報を届けたいと思ったからです。

 

今回、「超福祉展」で展示された機器やアイテムの中で私が最も興味を惹かれ、共感したのは、新しい義手と義足(義足カバー)です。これまでの義手や義足のイメージを一新する「カッコいい」「かわいい」「やばい」製品なのです。

 

「超福祉展」で展示された義足カバー=撮影:松中みどり

「超福祉展」で展示された義足カバー=撮影:松中みどり

 

上の写真は、「More Than Human」というデザインプロジェクトの製品で、3Dプリンターを使った義足カバーです。あえて中の義足を透けて見えるようにしたクールなデザインは、私の大好きな「攻殻機動隊」や、アメコミの「アイアンマン」の世界を思い起こさせるものでした。機能的であると同時に、思わず手に取り、自分も身に着けてみたいと思わせるデザインの力を感じます。

 

義足を着けることで欠損というマイナスをゼロにするのではなく、プラスにするのです。健常者が羨ましく思うようなカッコよさを、ひとりひとりのニーズと個性に合わせて3D プリンターで作っていくというわけです。障害が、ハンディキャップや、ましてスティグマではなく、個性になり多様性になりうる。まさに、「意識のバリアを取り除こう」という超福祉展のテーマを体現する製品のひとつでした。

 

More Than Humanについてはこちらをご覧下さい
→ https://www.facebook.com/MTHprosthetic/info/?tab=page_info

 

義手に関しては、時間が合わずインタビューできませんでしたので、出展されていたexiii株式会社の動画をぜひご覧ください。

 

「超福祉展」で展示された電動義手=撮影・松中みどり

「超福祉展」で展示された電動義手=撮影・松中みどり

 

 

exiii株式会社に関してはこちらをご覧ください
→ http://exiii.jp/

 

親しみややすらぎなど、精神的なケアを目的に作られたセラピー用アザラシ型ロボット「パロ」も、展示されていました。この愛くるしい様子は、実は充電中の姿です。東日本大震災後、被災した岩手、宮城、福島の避難所や特別養護老人ホームに、パロ50体が無償で提供されたのだそうです。このロボットを見ると、みんな笑顔になるというのがうなずける可愛い姿でした。アニマルセラピーが導入できないような、アレルギーや感染症などの理由がある場合も、パロなら安心して利用できます。自閉症の子どもたちや認知症の高齢者などのセラピーに効果を上げているのだそうです。

 

「超福祉展」で展示されたセラピー用アザラシ型ロボット「パロ」=撮影:松中みどり

「超福祉展」で展示されたセラピー用アザラシ型ロボット「パロ」=撮影:松中みどり

 

パロに関してはこちらをご覧ください
→ http://www.ndsoft.jp/paro.php

 

重い障害を持っている人が、「これが私の個性だ」と言えるようになるには、まだ多くの越えなければならない壁があると思います。一歩でも、1ミリでも前に進む。そんな希望にあふれた「超福祉展2015」、今年も大変素晴らしいものでした。

 

第二回超福祉展に関してはこちらをご覧下さい
→ http://www.peopledesign.or.jp/fukushi/

 

「超福祉展」で展示された車椅子DJ 早く走ると音楽が早まり、ゆっくり動かすと音楽もゆっくりに=撮影:松中みどり

「超福祉展」で展示された車椅子DJ 早く走ると音楽が早まり、ゆっくり動かすと音楽もゆっくりに=撮影:松中みどり

 

この日、昨年お会いして知り合いになった須藤シンジさんはじめ、超福祉機器に関わる人たち何人かに再会。みなさんにお義父さんのことで優しい言葉をいただきました。義父が倒れた2009年には、このような催しはまだありませんでした。シンジさんの「ピープルデザイン研究所」は2012年創設、「超福祉展」の第一回は2014年。あと少し早ければという思いはありますが、それでも、これから迎える超高齢化社会、心のバリアフリーをすすめ、個性と多様性を認め合うことがますます大切になってくるはずです。今から向かう東日本大震災被災地のような現場では、ともすれば後回しにされたり、無視されたり、悲しい思いをすることが多い病気や障害のある人、高齢者、弱い立場の方々のためにも、これからもっと必要な情報なのだと改めて思ったのでした。

 

ピープルデザイン研究所のホームページはこちらです
→ http://www.peopledesign.or.jp/

 

私たち家族はそれでも、要介護5、障害1級の義父が出来るだけ安寧に、楽しく自宅で暮らせるように頑張って情報を集めてきました。アイデアニュースでも、記事を掲載していますので、どうぞ合わせてお読みください。

 

 

<アイデアニュース関係記事>
24時間全介助が必要な父を在宅介護、家族が倒れないためのスケジュール
→ https://ideanews.jp/archives/5213
手を使わずに呼び出し音を出せます、息などに反応する「マルチケアコール」
→ https://ideanews.jp/archives/4557
手が不自由な人でも本のページをめくることができる…iPad活用法
→ https://ideanews.jp/archives/4303
寝たきりの人の介護が劇的にラクになる、自動体位変換エアマット
→ https://ideanews.jp/archives/4042
寝たきりの人のベッドの天井に映し出せる「プロジェクションクロック」
→ https://ideanews.jp/archives/3627
お義父さんの介護はエコノミカル ~安くて便利なグッズ紹介~(2)
→ https://ideanews.jp/archives/3084
お義父さんの介護はエコノミカル ~安くて便利なグッズ紹介~(1)
→ https://ideanews.jp/archives/3013
「超福祉展」レポート、「HAL®」などについて詳しくお伝えします
→ https://ideanews.jp/archives/13129

 

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主宰。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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