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手を使わずに呼び出し音を出せます、息などに反応する「マルチケアコール」

筆者: 松中みどり 更新日: 2015年6月19日

 

頸椎損傷で首から下が動かなくなった義父は、転倒事故で緊急入院、手術、それからリハビリのため2回病院を変わり、長い間病室で過ごしました。手術の後、意識が戻ってからしばらくは、自分の状態がよく分からないようで、見ていて気の毒で辛かったです。病気や加齢なら、長い時間をかけて失っていく体の機能を、事故のために一瞬で奪われたわけですから、大手術後の朦朧とした意識で状況がすぐ理解できるはずもありません。幸い手術後すぐに呼吸器を外せたので、義父は小さい声でなら話すことが出来ました。でも、「水を飲ませて」「鼻をかんでほしい」「痰をとって」「寒いからもう一枚布団をかけて」「首から肩にかけて痛むから、なにか薬をぬってほしい」・・・側に誰かいたらすぐ頼めるちょっとしたことも、ナースコールを押すことが出来ない義父には大問題でした。今日は、こういう時に使えるセンサー型ナースコール「マルチケアコール」をご紹介します。

 

マルチケアコール送信機

マルチケアコール送信機=撮影・松中みどり

 

首の骨を折り、神経がやられたから、もう立ち上がることも、歩いてトイレに行くことも、手を使って自分で食事をすることも難しいのだと一度は理解しても、やっぱりお腹の底から納得できない義父が、「みどりさん、タクシー呼んで。家に帰って自分のベッドで寝たら治るから」と何度も訴えたのが、リハビリで入院していた時期。身体機能がほぼ全廃だったので、手術をした病院の医師からは、「この患者は今後は施設に移るのだろう」と思われていましたが、自発呼吸が出来て、頭もしっかりしていて、家に帰りたがっている義父を、私たちは自宅介護しようと決めました。

 

病院で導入され始めたマルチケアコール

病院で導入され始めたマルチケアコール=撮影・松中みどり

 

自宅介護をするうえで、なんらかの手段を探して準備しないと、長く続けるのは難しいと思っていたポイントがふたつあります。ひとつは、アイデアニュースでもすでに紹介した、褥瘡(じょくそう)予防の件。床ずれを作らないように24時間、昼も夜も2~3時間おきに体位を変えないといけないなら、昼間はともかく、家族の睡眠時間が細切れになってしまいます。義父も、眠っているときに体の向きを変えられると、その都度起きてしまってゆっくり眠れません。この件は、モルテンの体位変換エアマットを導入することで解決しました。

 

もうひとつは、手足の機能はほぼ全廃のままで、ボタンを押すことも難しい義父の「ナースコール」問題です。自宅介護に向けたリハビリをしてくれる病院に転院して、理学療法や作業療法を続けても、義父の機能回復ははかばかしくなかったのです。四六時中ベッドの側にいることは出来ないし、当時介護の一端を担っていた義母は耳が不自由で、たとえ義父が普通のナースコールを自宅で使えたとしても、義母には聴こえないという難点がありました。

 

枕の左側がマルチケアコールの定位置=撮影・橋本正人

枕の左側がマルチケアコールの定位置=撮影・橋本正人

 

 

そこで、介護用品をレンタルする会社から、「これはレンタルはしていないので、購入していただくことになりますが・・・」と紹介してもらったのが、株式会社ケアコムの製品「マルチケアコール」です。ホームページの説明によると、握り押ボタンを使えない患者さんに向けのナースコールで、手を伸ばしたり、指を使ったりしなくても、4通りのわずかな動作で呼出しが可能という製品です。

 

マルチケアコールRB-780 ケアコムホームページより

マルチケアコールRB-780=ケアコムホームページより

 

マルチケアコールには以下の4つの使い方があります。

  1. ボイスコール  声を出して看護師さんや周りの人を呼ことが出来ます。「感度調節」が出来るので、小さな声にも反応します。
  2. タッチコール  手を使えなくても、額や頬などどこかに軽く接触させることで呼び出すことが出来ます。先端のセンサーは取り外して洗えます。
  3. 光センサーコール 手や顔の動きが定まらない人も、非接触で呼び出すことが出来ます。
  4. ブレスコール  息を吹きかけることで呼び出しが出来るので、義父はこの機能を使って、入院中は看護師さんを、自宅では家人を呼んでいました。

 

マルチケアコール受信機

マルチケアコール受信機=撮影・松中みどり

 

マルチケアコールのセンサー部分に義父が息を吹きかけると、台所と寝室に設置した受信機が反応して音が鳴ります。音のボリュームや音色、長さを選べるので、義母に一番聴こえやすい設定にしました。呼ばれると光って注意を喚起させることも出来るので、耳の遠い義母にも便利でした。

 

自宅介護が始まった時から、亡くなる最後の時まで、マルチケアコールは義父と一緒でした。ほとんどを自宅のベッドで過ごした義父ですが、ショートステイといって数日間施設で泊まることもあれば、肺炎で入院したことも何度かありました。その時は、パジャマや洗面道具と一緒に、マルチケアコールがお供をしたのです。想像してみてください。体が全く自由にならないということは、ちょっと痰が喉に絡んでも、ティッシュをつかんで取ることはもちろん、首を横に向けて吐き出すことすら出来ないということなのです。ふっと息を吹きかければ、誰かが来てくれるという安心感は大きなものでした。

 

入院中も「myマルチケアコール」は必需品

入院中も「myマルチケアコール」は必需品=撮影・松中みどり

 

病院や施設でも、このマルチケアコールを導入しているところが出てきたので、そういう時には持参する必要がなかったので有難かったです。でも、まだまだ数は少なくて、このマルチケアコール送信機が1台しかない病院では、他の入院患者さんが先に使っていると、やっぱり家から持ってくるということになりました。義父の行くところ、マルチケアコールあり、なのでした。

 

誕生日祝いの日も、側にはマルチケアコール

誕生日祝いの日も、側にはマルチケアコール=撮影・松中みどり

 

亡くなる少し前、意識が朦朧としているときも、マルチケアコールが側に控えていました

亡くなる少し前、意識が朦朧としているときも、マルチケアコールが側に控えていました=7撮影・松中みどり

 

義父は4月に旅立ちましたが、最期の日まで笑顔を見せてくれた強い人でした。体の自由は失っても、自宅で、自分のベッドで過ごせること。本を読み、映画を楽しんで、家族と語らうことをに心から感謝して生きた義父は、要介護5、身体障害1級の7年間を命いっぱい生ききりました。その人生の「伴走者」であったマルチケアコールをご紹介しました。

 

 

☆アイデアニュース編集局からの補足情報

マルチケアコールのメーカーである株式会社ケアコムによると、もともとマルチケアコールは病院や施設で使用する「重症・身体機能障害者向けナースコール」システムとして開発された製品だそうです。個人が自宅で使用するというのは標準的な使い方ではないようで、医療器具の販売・レンタルをしている会社が、利用者のことを考えて、自宅でも使えるように工夫しているというのが現状です。義父のような重度の身体障害があり、自宅で過ごす時間が長い方は、お近くの介護機器販売・レンタルをされている会社に問い合わせをしてみてください。親身になってくれるところが見つかれば、義父のような使い方が出来るかもしれません。個人で購入して使うのはちょっと・・・という方も、病院や施設を利用されるときには「マルチケアコール」はありますか?ときいてみてください。普通のナースコールが使いにくいと思っている方にもおすすめの製品です。

 

 

<アイデアニュース関係記事>
24時間全介助が必要な父を在宅介護、家族が倒れないためのスケジュール
→ https://ideanews.jp/archives/5213
手を使わずに呼び出し音を出せます、息などに反応する「マルチケアコール」
→ https://ideanews.jp/archives/4557
手が不自由な人でも本のページをめくることができる…iPad活用法
→ https://ideanews.jp/archives/4303
寝たきりの人の介護が劇的にラクになる、自動体位変換エアマット
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寝たきりの人のベッドの天井に映し出せる「プロジェクションクロック」
→ https://ideanews.jp/archives/3627
お義父さんの介護はエコノミカル ~安くて便利なグッズ紹介~(2)
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→ https://ideanews.jp/archives/3013
「超福祉展」レポート、「HAL®」などについて詳しくお伝えします
→ https://ideanews.jp/archives/13129

 
 

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アイデアニュース有料会員向け【おまけ的小文】 義母と義父を見ていると、小さい犬が大きな犬にキャンキャンと言っているようで・・・(松中みどり)

 

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主宰。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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