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「久しぶりのツーショット」、舞台『ホロー荘の殺人』、凰稀かなめ・紅ゆずる(下)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2023年5月4日

2023年5月3日(水・祝)に開幕し、5月8日(月)まで東京・三越劇場で上演される舞台『ホロー荘の殺人』で、ヘンリエッタ・アンカテル役を演じる凰稀かなめさんと、ガーダ・クリストゥ役を演じる紅ゆずるさんのインタビュー後編です。「下」では、凰稀さんがヘンリエッタを演じることについて、稽古の中で時間をかけていきたいこと、お互いに「人としてここが好き」と感じているところなどについて伺った内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。

凰稀かなめさん(右)と紅ゆずるさん=撮影・岩村美佳
凰稀かなめさん(右)と紅ゆずるさん=撮影・岩村美佳

――紅さんからご覧になって、凰稀さんがこの役というのは、いかがですか?

紅:ヘンリエッタという役がまだ掴みきれていないんです。めっちゃ難しくないですか?

凰稀:めっちゃ難しいよ。

紅:頭では分かってるんです。バイタリティ溢れる芸術家で、だけどヘンリエッタが何を考えてそうやっているのかとか、どうしてジョン・クリストゥをそこまで好きになったのかとか、でも「ガーダ好きよ」と言ったりするし、「ん?」という感じだから、どうしてそうなったんだろうと。

凰稀:ジョンが死んでも、涙を流さないしね。でも愛してたとか言っているし、意味分からんコイツと思って。

紅:みんな病んでる。

凰稀:毒々しいよね、この人たち。

紅:怖い人たちという感じがします。やっているうちに分かってくるとは思うんですが、今はそんなところです。

――具体的に描かれていない分、未知の世界の面白さがお互いにあるんですね。

凰稀:未知ですね。だって、おしとやかな役ですよ。

紅:しかもめっちゃ回転鈍くって、喋らんみたいな感じ。

凰稀:本来の紅子ちゃん、ちゃきちゃきじゃないですか。

紅:指示しちゃって、仕切っちゃってね。

(一同笑)

紅:やらないですよ、今回の役にそういう部分がないんだから。

凰稀:(笑)。真逆の方になっちゃうんだから、どう接していいのか分からなくなりますよね。

紅:私、めっちゃゲラだからごめんなさい。

凰稀:人間不信になりそう。

紅:芝居の中だけじゃないですか。

凰稀:芝居の中でも人間不信になる(笑)。

紅:でも、ここに出ている人、全員人間不信だと思う。

凰稀:ほんとそうだよね。

――台本を読み終えた後、いろいろ戻りたくなるというか、余白をもう一度感じたくなるような感覚がありました。ト書きも細かく書かれていて、動きにいろんな意味があるのかなと思いました。

凰稀:これは要相談だなと思いました(笑)。台本に描かれている動きや感情、表情は、究極のところをいっているのかもしれないとは思うのですが、やはりまずは役者陣の気持ちというか、心が動かなければ、そこに指定されている動きは何の意味もなくなってしまうので。

なので、そこはすごく時間をかけてやっていかないといけないと思っています。計算して、お客様に何かを伝えなければいけないのかもしれないですし、それはいらないよと言われたらやりませんし。野坂さんとは初めましてなので、どんな感じで進むのかわからないのですが、まずは役者陣の心が動くように、一回やってみてからですね。

今日、初めて本読みが行われます。やっぱり、他の人の声で聞くのと文字で読むのとでは、印象が全く違うんです。本読みの後に、第一印象が出てくると思いますので、そこを大切に作っていけたらいいなと思います。

紅:まったくその通りです。やっぱりお芝居って「この役は、この時はこういうことを考えているんだよね」ということをお互いにセッションしながら「ああ、なるほど」とか、どんどんいろんな回線をつなげていかないと分からないです。一人でやっていても分からないし、今回は更に、はっきりしない話じゃないですか。なので、皆さんから刺激を受けてやっていきたいと思います。

凰稀:一番怖いのって、お客様が「で?」となることなんですよ。

――観終わった後にということですよね。

凰稀:はい。「で、何?」みたいにならないためには、全ての伏線を全員が分かっていないと厳しいなと、正直思いましたね。

――このお話は、犯人探しだけで終わってしまうと、ある意味つまらないですよね。

凰稀:原作を読んでいらっしゃる方も観に来られるじゃないですか。そういう方にとっては、「ミステリ」と言われている部分については、もう分かり切っているというか、簡単じゃないですか。それ以外のところで見せるとなると、やはり人物同士の関係性が大切になってくると思いますので、そこを皆さんとがっつり作っていけたらいいですよね。

紅:お客様も犯人がわかっていて、その人物が「やっている」と分かっている中で、「何で、この人たち……?」と見せたいのか、「本当に誰なんだろう、どっち……?誰……?」と思いながら進めていくのか。それだけでも、全然趣旨が変わってきますから、見せ方はめちゃくちゃあると思います。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、お互いに「人としてここが好き」と感じているところなどについて伺った内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■凰稀:紅子ちゃんは、楽しいし癒し系で、ほっとできる場所。そういうとこが超好き

■紅:冷静に分析するかなめさん。「これが不安」と打ち明けてくださるのが嬉しくて

■凰稀:いろんな人物のいろんな感情が入り混じっている作品。お客様も心が忙しい

■紅:1回で「十分満足」を目指したいが、何度もご覧になると答え合わせができるかも

<舞台『ホロー荘の殺人』>
【東京公演】2023年5月3日(水・祝)~8日(月) 三越劇場
公式サイト
https://nosakalabo.jp/hollow/

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紅ゆずるさん=撮影・岩村美佳
紅ゆずるさん=撮影・岩村美佳

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. ucha より:

    ホロー荘の殺人拝見しました。またお二人の共演が見たいです。

  2. より:

    初日を無事に迎えられて、お2人がお芝居を観て感じて欲しいと話されている事を見事に感じましたので世界に引込む力と狙い通りにホロー荘を作り上げていて凄いと改めて感じました。本当に素晴らしい作品を観させていただきました。何回も観させていただきますので楽しみにしております。

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