「光源氏は、退団した今だからこそ演じてみたい役」、『沙羅の光』紅ゆずる(上) | アイデアニュース

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「光源氏は、退団した今だからこそ演じてみたい役」、『沙羅の光』紅ゆずる(上)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2023年12月27日

J-CULTURE FEST presents井筒装束シリーズ、詩楽劇『沙羅の光〜源氏物語より〜』が、2024年1月3日(水)から7日(日)まで、東京国際フォーラムホールD7で上演されます。井筒装束シリーズは、日本文化の魅力を発信する公演として2018年から開催されています。本作では、源氏物語の中で詠まれた和歌を、舞や歌、語りで聴かせ、光源氏と心を通わせた 女たちの姿を描く詩楽絵巻として構成され、和歌の朗読、二十五絃箏・胡弓、篳篥・笙などの和楽器演奏、日本舞踊などにより、女たちの思い、愛や苦悩が描かれます。演者は豪華絢爛な平安装束を身にまとい、舞台を盛り上げます。

光源氏を紅ゆずるさん、紫の上を井上小百合さん、夕霧を日野真一郎(LE VELVETS)さん、女三宮を羽鳥以知子さん、聖徳太子を尾上菊之丞さんが演じます。演出、振付は尾上菊之丞さんが手掛けます。アイデアニュースでは、紅ゆずるさんにインタビューしました。インタビューは上下に分けて掲載し、無料部分では合同取材の内容を、有料部分では独自取材の内容をお届けします。

「上」の無料部分では、光源氏という役へのイメージ、ご自身の光源氏像、これまでに演じた役の中で興味を持った人物のことなどについてお話ししてくださった内容を、有料部分では、源氏物語に登場する13人の女性の中で六条御息所が気になるというお話やその理由などについて伺った内容を紹介します。「下」の無料部分では、紅さんが演じられるからこその光源氏役の見どころ、ビジュアル撮影時のエピソード、小さい頃から宇宙に興味があって絵本を書くのが好きだったというお話、2023年の振り返りと来年の抱負などについてお話ししてくださった内容を、有料部分では、今回、日本舞踊のシーンがありそうというお話、所作の美しさについて思うこと、「和」の魅力について感じることについてお話ししてくださった内容とお客さまへのメッセージを紹介します。

紅ゆずるさん=撮影・岩村美佳
紅ゆずるさん=撮影・岩村美佳

――ご出演のお話を受けて、惹かれたのはどんなところですか?

光源氏という役です。(宝塚の)現役の時に「光源氏をやらないか」というお話が一度あったんですが、その時はもっと違う男役をやりたいと思っていたんです。ですが、退団して女性の役もやってみて、男役女役関係なく、光源氏という魔性の人物を演じてみたいと思ったんです。それがたまたま男役というカテゴリの中に入る役だっただけなので、つまりは「源氏物語」の世界に触れたかったということです。

――「魔性の人物」と今おっしゃっていましたが、そのイメージは以前からありましたか?

以前から思っていました。実際に物語を追っていくと違うんでしょうけど、一番最初に思い浮かんだのは、光源氏って、人のことを洗脳するのがうまそうですよね。要は女性を完全に自分のものにするというか。感覚ですが、「別にあなたのことは好きではありません」という女性とも関係を持てる、という人が光源氏。でも、女性のほうは、多分光源氏のことしか考えられなくなってしまう。そんなふうにトリッキーというか、ある意味サイコパスっぽいところがあって。

でも元々どうしてそうなったかというと、母親の愛情が欠けているからですよね。母親に一番愛してほしい段階の時に、その愛情が足りていない状況で、その愛情不足から形成された人格は、『うたかたの恋』のルドルフにちょっと似ていると思いました。ルドルフは、エリザベートの愛情に飢えている。やっぱり母親の愛情は大切なんだなと感じます。

光源氏は、また複雑で、お父さんの愛している人がお母さんと似ていて、お母さんのことをずっと思っているというか、愛してほしかったという思いがやっぱりあるから、そのお母さんと似ている藤壺が出てきたらそっちに惹かれてしまったり、紫の上にいってしまったりするじゃないですか。でも、それ以外の人とも関係を持てる。だからややこしい。

一概にこういう人と言えないからこそ、作り甲斐がある人物なのかもしれません。架空の人物ですし「光源氏ってそんな人じゃないよ」とは、誰も知らないから言えないじゃないですか。「そんな感じ」みたいなイメージはありますけど、物語だけでは、「光源氏はそんな人じゃないです」とは言えない。そこを深く掘り下げていくのが楽しみです。

『うたかたの恋』のルドルフを演じたときも、とても楽しかったですね。しゃれこうべが友達だと思っているとか、おかしいですよ。でもそういうことを普通に言っていたり、机の上に置いているとか、一番最後に愛する人を殺すとか、トリッキーですよね。「何となく」ということは絶対ありませんので。これも何となく事件に見えますけど、ちゃんと光源氏の正義があって成り立っている物語だと思いますので、そこを自分なりにつなげていきたい。光源氏というジグソーパズルを作り上げていきたいですね。

――光源氏というと、一般的には貴公子やプレイボーイというイメージがあると思います。そこからまたかなり掘り下げて考えていらっしゃるなと感じたのですが、今回のご出演にあたって、源氏物語を読み込んだり解釈してこられた結果でしょうか?

そうですね。でも、まだそこまで掘り下げていませんが、私の思っている光源氏像が実際に演じてみたら、もっと変わるかもしれませんし。自分のイメージだけは一応持っていますが、やっぱり台本が来たらいろいろ変わったり、こう思っていたけどこうじゃないほうがいいのかなとか、いろいろ考えると思います。

光源氏という皇族だった人が貴族に格下げされて、それで平穏に暮らせるのかと思ったら、お母さんが3年後に亡くなって。そういう不運が不運を呼んでいるというのか、皇族のままいるほうが幸せだったのか、貴族になるほうが幸せだったのかは分かりませんが、一般的に見たら格下げではありますよね。いろんな要素があって、「これが鍵なんじゃないか」というポイントがたくさんありすぎるので、実際にどこにポイントを持ってくるのかを考えるのが楽しいです。

私自身、物語を深掘りするのが大好きなんです(笑)。だから『うたかたの恋』の時も、白の軍服が似合う王子様のことを、「そんなわけないから」と思っていたんです。お母さんにほったらかしにされて、お父さんには愛人がいて、それで綺麗なお花を見て綺麗だと思える心なんて絶対に持っていないだろうし、ただ美しい世界観で描かれているだけです。

男役さんは「ルドルフやってみたいです」とよく言いますが、ルドルフというのはこんなに卑怯な、こんな男なんだよというのを逆にやりたかった。結果、ひとつの役として通して演じた時に、ルドルフの正義はあったので、自分としてはルドルフという人を好きになれました。今回、光源氏という人も顔がいいから話が全部通じていますが、そうじゃなかったら「この人何やってんの?」という感じだと思うんです(笑)。そういう意味では、「すごく見目麗しい人」というだけで、すべて完結できる物語でもあるかもしれませんが、一方で「それだけで女性を13人も渡り歩けるかな?」とも思うんです。

――他にも、これまでに演じてみてとても楽しかったり、この人はすごく面白いなど、興味を持った人物はいましたか?

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のフランク・アバグネイル・Jrは、もっとこういう風に演じることもできたのではなかろうかと思う人物です。稽古期間もすごく短くて、とてもタイトなスケジュールの中で上演したという思い出があります。でも、私の中で大好きな作品ではありました。

彼には親との確執や愛情の問題があり、嘘をつきながらうまくいって、どんどん破滅の道へと向かい、カール・ハンラティという人生の伴侶にも等しい人と出会い、実際にFBIで働くじゃないですか。結果、相棒というか、伴侶というような人間関係ですが、クリスマスのシーンについては、「もっとできたな」と思ったりします。もう一回演じたいですけれど、男役だなと(笑)。

あとは、『霧深きエルベのほとり』のカール・シュナイダー役も大好きでしたね。寅さんをすごくイメージしたんですよ。不器用で、好きなのに好きと言えない。身分違いだとか。そういうのも好きでした。一つひとつ、役のいろんな解釈をするのがすごく好きですね。

<取材協力>
ヘアメイク:miura(JOUER)
スタイリスト:鈴木仁美

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※アイデアニュース有料会員限定部分には、源氏物語に登場する13人の女性の中で六条御息所が気になるというお話やその理由などについて伺った内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。28日掲載予定のインタビュー「下」の無料部分では、紅さんが演じられるからこその光源氏役の見どころ、ビジュアル撮影時のエピソード、小さい頃から宇宙に興味があって絵本を書くのが好きだったというお話、2023年の振り返りと来年の抱負などについてお話ししてくださった内容を紹介します。有料部分では、今回、日本舞踊のシーンがありそうというお話、所作の美しさについて思うこと、「和」の魅力について感じることについてお話ししてくださった内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■「源氏物語」に登場する13人の女性の中で気になるのは、六条御息所

■酸いも甘いも分かっていそうなのに光源氏に落ちた、六条御息所は一番純粋

■恋愛が絡んだすごいパワー。そういう女の怨念を表すような役も演じてみたい

■『ホロー荘の殺人』の役も好き。ニュートラルな部分を忘れるのは役だからこそ

<詩楽劇『沙羅の光〜源氏物語より〜』>
【東京公演】2024年1月3日(水)〜1月7日(日) 東京国際フォーラムホールD7
公式サイト
https://www.iz2tokyo-genji.com

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紅ゆずるさん=撮影・岩村美佳
紅ゆずるさん=撮影・岩村美佳

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. ucha より:

    読み応えのある記事でした。紅さんの演じる六条御息所も是非見てみたいです!

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