「どこか似ている、二人のジョンを」、『ジョン&ジェン』森崎ウィン(上) | アイデアニュース

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「どこか似ている、二人のジョンを」、『ジョン&ジェン』森崎ウィン(上)

筆者: 岩村美佳 更新日: 2023年12月9日

​​ミュージカル『ジョン&ジェン』が、2023年12月9日(土)から12月24日(日)まで、よみうり大手町ホールで、12月26日(火)から28日(木)まで新歌舞伎座で上演されます。ミュージカル『ジョン&ジェン』は、『ワイルド・パーティ』『アダムス・ファミリー』『ビッグ・フィッシュ』といった多くのオン/オフ・ブロードウェイ作品に携わるアンドリュー・リッパと、本作で初めて舞台作品の歌詞・脚本を手掛けたトム・グリーンウォルドによる作品で、1995年にオフ・ブロードウェイで初演されました。舞台は1985年から現代にかけてのアメリカ。変わりゆく社会を背景に、親子や姉弟(きょうだい)という家族の関係性に焦点を当て、知性とウィットに富んだ台詞と、美しいメロディーが溢れるミュージカルです。1幕では姉と弟の幼少期から青春期が、2幕では母親と息子とのすれ違っていく人生が描かれています。

舞台に登場するのは、ジョンとジェンの2人のみで、ジョン(1幕=弟、2幕=息子)を、森崎ウィンさんと田代万里生さんが、ジェン(1幕=姉、2幕=母)を、新妻聖子さんと濱田めぐみさんが、それぞれダブルキャストで演じます。1幕では姉弟、2幕では親子の関係性が描かれ、4バージョンの異なる顔合わせが生まれます。アイデアニュースでは、森崎さんにインタビューしました。上下に分けてお届けします。「上」の無料部分では出演が決まった時のこと、お稽古のこと、新妻さん、濱田さん、田代さんのことなどについてお話ししてくださった合同取材の内容を、有料部分では、新妻さんと濱田さんと声を合わせてみて感じること、ジョン役について伺った内容などの独自取材の内容を紹介します。「下」の無料部分では、楽曲のこと、二人のジョンを演じる上で感じること、作品を通して伝えたいメッセージなどについてお話ししてくださった内容を、有料部分では、ジェンの変化について、ジョンを演じていて見えないところ、共感できない時にどう演じるかというお話やお客さまへのメッセージなど独自取材の内容を紹介します。

森崎ウィンさん=撮影・岩村美佳
森崎ウィンさん=撮影・岩村美佳

 ーー出演が決まったときの心境について、お聞かせください。

舞台をふたりで作るというのは、俳優としてやりがいしかないですが、怖いものなんです。ライブも怖いですが、今回の舞台は特に、役者の力量にすべてかかっていると思います。何も頼れるものがない。このタイミングで、そういうお話を頂けるのかと思いました。僕からしたら、この作品をやれたら、怖いものがだいぶなくなるのではないかと。

まず、想像がつかない、未知のものに対しての好奇心が掻き立てられたんですよね。僕の舞台人としての俳優人生の流れをいうと、ありがたいことに今まで大規模な舞台に立たせていただく機会が多かったんです。ポップなミュージカルから、クラシックのものもやったりして、そのあとに東宝で座長として、一番最初に名前が来るような作品にも出演させていただいたりしました。そんなチャンスもなかなかないですし、めちゃくちゃ楽しかったです。

そんな中、「その次の作品」をすごく大事にしたかったんです。ですから、このお話が来たときに「絶対にこれだ」と思いました。自分の俳優としての幅を広げたかったんです。もちろん映像と舞台はまったく違いますが、ベースとなるものは同じだと思うんです。これだけ難しい作品を通して、何か大きな成長をしたいという思いが、すごく強かったんですよね。

ーー4人のダブルキャストでの2人ミュージカルということですが、稽古に入って今までのミュージカルとの違いや、新鮮に感じてらっしゃるところはどこでしょうか?

まず、舞台からハケるタイミングがないので、舞台に出たらそこからスタートで、役者ふたりだけですべてを作り上げていくところです。僕がこれまでに出演したミュージカルは、大きなセットを組んだり、大道具や小道具もたくさんある中で、具体的に見せていきましたが、今回は役者ふたりで、観ている方がきちんと想像できるように、そこに何かが見えるように提示していく部分もあります。そこが一番大きな、新鮮なポイントですかね。

ーーセットもシンプルなのでしょうか?

めちゃくちゃシンプルです。裸で舞台上に立っているような感じに近いです。

ーー脚本を読んだときと比べて、稽古が進む今、作品についてさらに発見はありましたか?

アメリカの話なんですが、家族の話にはどこか普遍的なものがあって、すごく自分にも通ずるものがあるなと脚本を読んでいたときから感じています。日本に住んでいて、アジア人である僕が文化も全然違うアメリカの作品をやるとはいえ、親子、兄弟関係で思うことは、やはり同じなんだなと。

稽古に入ってからの新たな発見としては、この物語で大きく描かれているのは、ジェンが自分の不甲斐なさや、足りないところと向き合って、そういうところとどうやって手を取って生きていくのかということだなと改めて思いました。ジェンが11歳、ジョンが5歳の時から演じて、そのまま年代を重ねていく作品なんです。年代が果たしてそこまで重要なのか、大人が子供の頃から演じる意味は何なのかという部分は、まだ模索している段階です。 

ーー共演者は、ジェン役の新妻さんと濱田さん、ジョン役のダブルキャストの田代さんですが、ダブルキャストの濱田さんと新妻さんそれぞれの違いについて、感じるところはありますか?

人間は十人十色と言われるように、まったく違うところがありますが、言葉ではまだ上手く言えなくて。感覚でいうと、新妻さんはNetflixに出てきそうな方で、濱田さんは邦画の映画館でしかやらないような映画に出てきそうな方だなという感じですかね。濱田さんが和で、新妻さんが洋というか。もちろん、この作品でキャスティングされている方々は「歌が素敵で」というのもおこがましいくらいのレベルの持ち主なので、そこはあえて割愛するんですが。

ーー稽古場で田代さんの演技をご覧になることもありますか? 

そうですね、見ています。

ーー自分と違うところや、田代さんらしさは、どういうところで感じますか?

やはりクラシックの、根本的な知識を勉強されてきた方なので、今回のミュージカルは、本当に田代さんの歌がぴったりで、僕には出せない……。とにかく歌がすごいんです。ジョンは結構歌っていることが多かったりするのもあって、歌が難しいところもあるんです。

みなさん、本当にすごい技術を持った方だなと、今回初めて目の当たりにして、直接会って感じました。声の使い方、レンジの幅がめちゃくちゃ広いんです。

ジョンもジェンも、年代がどんどん変わっていきますが、作品の中で、そこを言葉で説明する部分はあまりないんです。でも、田代さんのセリフの音を聞いていると、その変化が本当に伝わってくるんです。「音を瞬時に切り替えられるあの筋肉はどうなっているんだ?」と思います。

ーージョン役について、おふたりでお話しされることはありますか?

お互いアプローチの仕方が全く違うので、役に対して話すことはあまりないです。

あと、決まりごとが多い作品であることもあり、どちらかというと動きについてシェアしたりすることが多いですね。

ーー演出の市川さんも「それぞれの役者のアプローチの仕方でお願いします」という感じですか?

そうですね。もちろん、「このセリフでここに動いて」という大まかな指示はありますが、その道さえ歩いていれば、「道の横に花を置くのか、雑草を置きたいのか、砂漠の中に道を置きたいのか」というようなことは、役者にまかせられているのだなと思います。いまはペアで分かれて稽古をしているので、僕がいない間に万里生くんが何を言われているかは分からないです。

ーー市川さんの演出を受けられて特に印象的な部分はありますか?

例えばひとつの舞台を作るときに、「ここにピンスポットを当てたいから役者をそこに入れたいので、そのセリフでここに動いて」という指示があったりするんですが、(市川)洋二郎さんの演出では、そのひとつひとつの動き全てに「芝居の理由」をつけてくださることが、本当にすごいと思います。

演劇的なマジックとして、「あえてここに動きます」というのは、観ている側からは分からないものだと思うんですが、市川さんはご自身もプレイヤーであるから、「こういう気持ちがあるから、こういきたくなると思うんだよね」と、そう動く理由をちゃんとつけてくれるんだと思いました。時間をかけて本当に丁寧な作りをしてくださるので、俳優陣は助かっていると思います。

<取材協力>
Hair&Make-up KEIKO
Styling AKIYOSHI MORITA

※アイデアニュース有料会員限定部分には、新妻さんと濱田さんと声を合わせてみて感じること、ジョン役について伺った内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。インタビュー「下」の無料部分では、楽曲のこと、二人のジョンを演じる上で感じること、作品を通して伝えたいメッセージなどについてお話ししてくださった合同取材の内容を、有料部分では、ジェンの変化について、ジョンを演じていて見えないところ、共感できない時にどう演じるかというお話やお客さまへのメッセージなど独自取材の内容と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■新妻さんは、ポン!と反応が早い。濱田さんはすごく受け止めてしっかり返してくれる感じ

■ジェンが1幕で描かれる自分を全部思い出し、どう変わって進んでいくのかという物語

■弟としてのジョンと、息子としてのジョン。違うけど「どこか似ている」部分が見えたらと

■ふたりのジョンを演じるにあたり、「変えよう」というよりも「変わる」というイメージ

<ミュージカル『ジョン&ジェン』>
【東京公演】2023年12月9日(土)~ 2023年12月24日(日) よみうり大手町ホール
【大阪公演】2023年12月26日(火)~ 2023年12月28日(木) 新歌舞伎座
公式サイト
https://stage.parco.jp/program/johnandjen

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森崎ウィンさん=撮影・岩村美佳
森崎ウィンさん=撮影・岩村美佳

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<筆者プロフィール>岩村美佳(いわむら・みか)  フォトグラファー/ライター ウェディング小物のディレクターをしていたときに、多くのデザイナーや職人たちの仕事に触れ、「自分も手に職をつけたい」と以前から好きだったカメラの勉強をはじめたことがきっかけで、フォトグラファーに。「書いてみないか」という誘いを受け、未経験からライターもはじめた。現在、演劇分野をメインに活動している。世界で一番好きなのは「猫」。猫歴約25年。 ⇒岩村美佳さんの記事一覧はこちら

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最近のコメント

  1. きぃ より:

    この”二人ミュージカル”を友人に紹介する際、まず登場人物は何人だと言ったらいいだろうかと悩みました。あらすじには書かれていない「生まれ変わり」という言葉が自然と浮かびました。二人で三人を演じる、一幕と二幕が別のようで繋がっている。観客としてもまさに未知、面白い作品に出会えました。
    ミュージカルの舞台に立つ森崎さんの姿は、魅力が一層輝いて見えるので、常に次の作品を大事にされてると知れて、益々ご活躍が楽しみになります。

  2. ちろり より:

    ジョン&ジェン、6回程観に行かせて頂きます。組み合わせによって変わる様を楽しんで観たいと思います。とってもとっても楽しみにしています。
    記事の内容も濃くて、公園前にしっかり拝読致しました。

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