音楽劇『空中ブランコのりのキキ』が、2024年8月6日(火)から8月18日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターで、8月31日(土)に兵庫・アクリエひめじで上演されます。ロロと象を演じる松岡広大さんのインタビュー後編です。「下」では、「象」役のこと、作品の舞台になるサーカスというものについて、『ニュージーズ』でも共演した咲妃みゆさんについて、演出の白井晃さんのことについてのお話や、学生時代から通っている世田谷パブリックシアターの舞台に立つことへの思いなどを紹介します。
ーーロロ以外に松岡さんは「象」を演じると伺ったのですが、「象」とは、どういう存在なんでしょうか?
まず、皆さんがイメージしている象、アフリカゾウとかアジアゾウとか、“あの”象を演じます。象はピピを懸命に守る存在で、いつも傍にいます。この関係性はキキといつも一緒にいるロロの在り方と酷似していて、動物を演じることもあり、似て非なるものとして捉えていますが、だからといって俗にいう「演じ分け」や「対になる存在」として扱う必要はないと現時点で僕は思っています。どこか「並行世界でのキキとロロ」とも思えて、明確に区別できない繋がりがあるからです。
演じる僕らは、同じ世界で進んでいるのか、違う世界なのか、どちらなのかわかっていますが、この想像が膨らむ理由は別役実さんの作品の中に散りばめられていて。例えばある物語で出ていた名前が他の物語に出ていることが多々ありますし、特徴や関係性が似た存在が現れたりもします。
私見ですが、それは“同じその人かもしれないしそうじゃないかもしれない”というのが正しいし間違っていると思うんです。この矛盾が、魅力で、このモヤモヤが、大事だなと思っていて。それは皆さんの想像力が働いたとき、想像を信じた時にものすごい力でいろんな場所と時間へ連れていってくれると思うので、こういった演劇的な仕掛けを楽しんでもらえるような、ピピと象を構築したいです。
ーーサーカスというものについては、どうですか?
別役実さんは、サーカスを扱う作品をすごくたくさん書かれていて、遊園地など、エンターテインメントに関するモチーフが非常に多いんです。その中でもガラスでできたメリーゴーランドとか、誰も乗らないメリーゴーランドとか、とても幻想的なんで。
それがなぜそこに存在しているのか、なぜそこに必要なのかと、すごく考えさせられます。だからこそ、「賞賛をもらうとは、どういうことか、もらっている私は何なのか」ということを、簡単には理解できないんです。別役実さんの作品に出演された俳優さんが、あるインタビューで「別役実さんは魔法使いだから」というようなお話をされていて、理解しようとするのではなく、直感でやってみるのもいいなと思いました。
ーー松岡さんは、これから作品に取り組まれるにあたり、思考しつつもご自身の感度を大事にしながら作っていきたいという感じでしょうか。
演出の野上(絹代)さんは、きっとエネルギッシュな方が好きだろうなと勝手に思っているので、一回バッとやってみて、自分が思ったように動いてみたいです。そしてキキを演じる咲妃さんが、どうくるのかもわからないので、それも本当に楽しみです。
ーー以前咲妃さんと共演された『ニュージーズ』とは、全然違う世界観ですね。今回は咲妃さんとガッツリお芝居されることになるかと思いますが、いかがですか?
芝居も歌も、インタビューも拝読していますが、考え方や言葉選びが素敵な方で。読売演劇大賞優秀女優賞をとられた舞台『少女都市からの呼び声』のインタビュー映像も観させていただきましたが、金守珍さんが「40年やってきて、初めて雪子に会えた」とおっしゃっていて、そこまで言わしめる咲妃さんがすごいなと思いました。
ーーおふたりの感性がどう反応し合ってこの作品が作られるのか、とても楽しみです。
咲妃さんのみに関わらず、出演者の方一人ずつ考え方も違うと思うので、ズレや反発があった時には「そういう考え方もあるよね」「こういう考え方もあるよ」と、たくさん議論をして、良い作品を作っていけたらいいなと思います。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、演出の白井晃さんのことについてのお話や、学生時代から通っている世田谷パブリックシアターの舞台に立つことへの思いなど、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■学生時代から通っていた、世田谷パブリックシアター。バイト帰りの夜、観に行ったり
■白井晃さんは恩人。『恐るべき子供たち』で、わからないことに向き合う大切さを感じた
■夏休みに一度は子どもたちにも観に来てもらえたら。「舞台とはなんぞや」のきっかけに
■観劇をあまりされない方、今刺激を受けてこれからいろいろなものが見えてくる方々にも
<せたがやアートファーム2024 音楽劇『空中ブランコのりのキキ』>
【東京公演】2024年8月6日(火)〜8月18日(日) 世田谷パブリックシアター
【兵庫公演】2024年8月31日(土) アクリエひめじ
公式サイト
https://setagaya-pt.jp/stage/15937/
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前半、後半ともにとてもたのしく読ませていただきました。
とくに前半の「流されることも、考えることも両方大事」というお話が印象的です。
インタビューから広大さんがこの作品をたのしみに、大切に思っていることが伝わってきて、どんな表現が見られるんだろう?それを見て自分はなにを感じるんだろう?と劇場へ行くのがますます楽しみになりました。