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オーダーメード補装具でもっと快適に もうひとつの家族の物語

筆者: 松中みどり 更新日: 2016年3月3日

 

2016年2月22日に掲載したアイデアニュースの記事では、株式会社ピーエーエス(PAS)さんが開発した、座る姿勢が改善できるクッション「p!nto」と、それを使用して毎日が快適になったあるご家族を紹介しました。→ 疲れていなかった頃の自分に戻れるクッション「p!nto」 ある家族の物語

 

今日は、PASの真骨頂ともいえる、その人その人にあった補装具のオーダーメードの第一歩、「採型・採寸」の様子をご紹介いたします。こちらにまた、もうひとつの家族の物語がありました。

 

今日の主人公、古池玲乃愛ちゃん11歳です=撮影・松中みどり

今日の主人公、古池玲乃愛ちゃん11歳です=撮影・松中みどり

 

玲乃愛(レノア)ちゃんは、生まれつきの障害のために、”重度障害児”というカテゴリーに入り、基本的には、今後歩いたり、話したりすることはないという認識で療育をされるお子さんです。でも、この写真の表情を見てもわかる通り、「障害」に対する新しい考え方とコミュニケーションの方法に出会って、この数年で目覚ましく心身が発達しています。お母さんの古池敦子さんは、レノアちゃんをこのカラフルなバギーに乗せて、いろんなところに出かけて行きます。レノアちゃんの可能性を信じている素敵なお母さんなのです。

 

普段は指談(指で〇や☓や数字やひらがなを書いて、想いを読み取ってもらう方法)でお話をするレノアちゃんですが、自分の気持ちを分かってもらえるようになってから、どんどん笑顔が出て、なんと言葉も出るようになりました。私が指談の練習をさせてもらうと、なぜかいつも単語がぽろっと、レノアちゃんの口からこぼれます。

 

ある時は

 

みどり:「レノアちゃん、指談の練習させてね、筆談の方がいいかな」

 

レノア:『ペン!』

 

みどり:「ええ~~、今、レノアちゃんがペンって言った!!!」

 

またある時は

 

みどり:「レノアちゃん、昨日の夢には食べるシーンが出てきたか、〇か✕で教えてね」

 

レノア:『うん!』

 

みどり:「ええ~~~、指談の練習にならないけど、すごい!!!」

 

こんなレノアちゃんの様子を見て、自分のお父さんの介護経験から、姿勢を改善する装具と、発語のためのリハビリが必要なのではないかと考えたのが前回ご登場のSさんです。Sさんも、レノアちゃんやレノアちゃんのお母さんの敦子さんと仲良し。さっそくp!ntoのことやそれを開発した株式会社PASさんのことを、敦子さんに知らせたというわけです。前にも書いたように、Sさんは、こうした情報を知らない人に、当事者として、また“知った者の責任”として、「こんな良いものがあるよ」「こんな方法があるよ」と発信していきたいと考えているからなのです。

 

p!ntoと、ピントチェアを使うことで、食道発声の訓練が順調に進んでいるSさんのお父さん=撮影・松中みどり

p!ntoと、ピントチェアを使うことで、食道発声の訓練が順調に進んでいるSさんのお父さん=撮影・松中みどり

 

「障害児」であるレノアちゃんの場合は、p!ntoのような一般向けの製品ではなく、レノアちゃんの体にあった補装具を福祉制度を使って購入することが出来ます。オーダーメードで、ひとりひとりの体にあった製品を作ってきた野村寿子さんが、レノアちゃんの骨、筋肉、関節などを確かめながら採型をするところを見学させていただきました。

 

いよいよ、レノアちゃんの採型をします=撮影・松中みどり

いよいよ、レノアちゃんの採型をします=撮影・松中みどり

 

体をきちんとホールドし、動きやすい補装具ができたら、バギーに乗って移動するときのずり落ちが軽減されたり、発語するための肺の動きが楽になったり、食べる時の姿勢が変わって咀嚼力があがったり、いろいろな効果が期待できるというので、この日は、関係者一同ドキドキワクワクして、集まったという次第です。

 

この椅子型の上に座って採型をします=撮影・松中みどり

この椅子の上に座って採型をします=撮影・松中みどり

 

特殊な材料で出来た椅子型の装置を使ってレノアゃんの体に合った装具を作っていきます。この装置のある部屋に入ってきたレノアちゃん、いつも元気な女の子なのですが、あいにくこの日は調子が悪く、時々咳き込むことがありました。それもあってか緊張気味の様子です。

 

ちょっと緊張気味のレノアちゃん、採型の部屋に入りました=撮影・松中みどり

ちょっと緊張気味のレノアちゃん、採型の部屋に入りました=撮影・松中みどり

 

型を採る前、レノアちゃんは、いつものようにカラフルなバギーに座っていました。手は外に広げていて、体がずり落ちないようにベルトを閉めています。脚は左右不均等に開いていて、咳き込むと手や脚がバギーの外にはみ出たり、体幹が動いてバギーに座ったポジションがズレていきました。また、よだれがよく出るのも、いつものことでした。

 

作業療法士であり、PASのベテランセラピスト野村さんは、年間300件を超える採型をおこなっておられます。まずは、レノアちゃんの手に触れ、落ち着かせるように話しかけました。

 

レノアちゃんの手をとり、緊張をほぐす野村さん=撮影・松中みどり

レノアちゃんの手をとり、緊張をほぐす野村さん=撮影・松中みどり

 

それからは、野村さんを中心に3名の技師が、レノアちゃんの体の特徴をとらえ、重力の負担を最も減らす位置と姿勢を探っていく、PAS独自の特別な採型が始まりました。

 

 

野村さんはじめ、PASの技師さんたちは、「レノアちゃんなら、歩行器があったら歩けるでしょう」と当たり前のようにおっしゃいました。「体が素直で、体幹もきちんとしているし、歩けると思いますよ」と。

 

満面の笑みの敦子さん、レノアちゃんの可能性を信じ続けているお母さんです=撮影・松中みどり

満面の笑みの敦子さん、レノアちゃんの可能性を信じ続けているお母さんです=撮影・松中みどり

 

レノアちゃんは「寝たきり」が基本、移動の時だけバギーや車椅子が必要なので、そちらは安全第一。体がずり落ちないように、動きを制限するように作るのが当たり前。そんな“常識”を説く専門家が多い中、娘はきっと、もっと動けるし、いろんなことが出来ると信じていたお母さんの敦子さんの耳に、野村さんたちの言葉はどんなに嬉しかったでしょう。

 

採型中も、咳が出ていましたが、この特殊な採型用の椅子の上のレノアちゃんは、手足をばたつかせることも、よだれを出すこともなく、素直に自然に座っていました。作業が進むにつれ、楽な姿勢がとれているためか、咳自体がおさまってきたのです。

 

採型中のレノアちゃんと野村さん=撮影・松中みどり

採型中のレノアちゃんと野村さん=撮影・松中みどり

 

最終的には、こんな型が採れました。

 

レノアちゃんの体にぴったり合った型です=撮影・松中みどり

レノアちゃんの体にぴったり合った型です=撮影・松中みどり

 

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補装具ができるまでの流れ
今日レノアちゃんが乗ってきたバギーが、野村さんの魔法にかかりました

 

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主宰。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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