先日、ウエストエンドの70人が「バーチャル・クワイア」で劇場関係者や医療関係者への支援を呼び掛けているという記事の有料会員限定部分に「Virtual Choirの作り方」を書いたので、書いたとおりの内容で本当にできるか、やってみました。1人でテストしたので、女性パートを裏語で歌ったりしていてお聴き苦しいかと思いますが、参加者が1人1人ご自宅で歌ったとイメージしていただければ幸いです。新型コロナウイルスの影響で「stay at home」が呼び掛けられるなか、自宅から外に出ずにできる合唱。みなさんもぜひやってみてくださいね。
今回使ったものは、以下の通りです。
(1)パソコン(YouTubeのウエストエンドの『民衆の歌』動画を再生)とスマホとヘッドフォン
(2)『民衆の歌』の動画の前段で説明の音声が流れている部分から録画を開始
→話し声の部分はヘッドフォンのプラグを入れずに、音を流してスマホに録音します
(3)歌の場面になる前にヘッドフォンのプラグを差し、音がスマホに録音されないようにする
(4)スマホで自分のYouTubeアカウントを開き、スマホに保存された録画データをアップロード
→実際に複数の人で作る時は、専用の共用YouTubeアカウントを作って使えば良いと思います
(5)集まった複数の録画データはYouTubeからダウンロードしてパソコンに保存
(6)動画を1つにするのに使ったソフトは、AdobeのPremiere Elements
(7)動画の「同期」は、歌の前に入っている「説明」の部分の音声で行う
では、「バーチャル・クワイアやってみた」動画をご覧ください。
■ヘッドフォン(イヤホン)の抜き差しのタイミングがポイント
「バーチャル・クワイア」作成のポイントは、伴奏が始まる前は音楽の再生機にヘッドフォンのプラグを差し込まずに、何らかの音(カチンコやビープ音が一番いいけれど、セリフや音楽などでもOK)を流しておいて、その音も録画しておいて、いざ自分が歌うための伴奏が始まる前にヘッドフォンのプラグをジャックに差し込んで、音楽が流れないようにして、ヘッドフォンから流れる音に合わせて自分で歌うことです。
こうすることで、伴奏の全く入っていない、歌唱だけの動画を作成することができ、集まってきた動画を、歌の前のセリフやカチンコやビープ音などの部分を使って「同期」することによって、伴奏が全くない複数の歌唱のタイミングを合わせた合唱動画を作ることができるようになるわけです。
今回、テストで使ったウエストエンドの70人の歌唱動画では、歌う前に内容について「説明」したの部分があるので、その説明の音声をカチンコ代わりに使いました。歌う前にヘッドフォンを抜き差しするのは面倒なので、歌が終わったあとに何かのセリフなどが入っている動画をつかえば、歌い終わってからヘッドフォンを抜いて、最後の音を入れてから録音を止めてくださいと参加者に呼びかけるのでも良いかもしれないと思いました。前奏が長くある音楽を使うなら、前奏の途中まではヘッドフォンのプラグを入れずに音を部屋に流しておいて、途中でヘッドフォンのプラグを入れて音が部屋に流れないようにして歌を録音するという方法でも良いと思います。
■伴奏を入れないアカペラ合唱であれば、著作権の問題をクリアできるのも魅力的
動画編集ソフトを使って、複数の動画をトラックに並べて編集する方法は、動画編集ソフトによって違いますが、私が使っているAdobeのPremiere Elementsでは、エキスパートモードにしたうえで、編集の「モーション」の中の「スケール」のスライダーを動かして特定の動画クリップの画面を小さくして、「エフェクト」のビデオから「クロップ」を適用して動画の形を変更して、重ねていけば、顔が並んだ動画ができます。
音質の調整は「エフェクト」のオーディオの「リバーブ」(Reverb)を使って、エコーの量を調整します(教会の中で歌っているような「Church」を全てのトラックにかけました)。 今回は同じ部屋の中で1人が複数回録画したテストですが、別々の人が、別々の場所で録音した映像でも、理屈は同じなので、合わせることができるはずです。今回使ったのは、Adobe Premiere Elements という安価な動画編集ソフトですが、この程度の編集なら十分できることがわかりました。みなさんも、やってみてくださいね。
YouTubeなどで動画を配信する場合、著作権の関係で、自分で演奏しているものでなければ伴奏を使うことが難しくなります。ただ「バーチャル・クワイア」であれば、伴奏の音が全く聞こえないアカペラ合唱にできるので、楽器の演奏ができない方でも、作ることができます。
■特別企画『こんな時だからこそ、舞台の話をしよう』への合唱作品応募もお待ちしています
アイデアニュースでは、特別企画『こんな時だからこそ、舞台の話をしよう』の作品を募集しています。文章や写真だけでなく、「バーチャル・クワイア」の作品を作って応募してくださっても結構ですので、みなさんのチャレンジをお待ちしています。特別企画『こんな時だからこそ、舞台の話をしよう』については、こちらの記事を、ご覧ください。
https://ideanews.jp/archives/90010
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