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連載『龍起伝 ~楠木正成と久子~』ミュージカル化へ、感想をいただきました

筆者: 橋本正人 更新日: 2020年8月5日

アイデアニュース編集長の橋本です。ひごろからアイデアニュースをご愛顧くださり、ありがとうございます。橋本は2015年に朝日新聞社を早期定年退職してアイデアニュース株式会社を設立した時、2つの夢がありました。1つは、フリーランスの方々が自由な発想で記事を書くことができる、広告に頼らない有料会員の皆さんに支えられたウェブサイトを作ること。もうひとつは、鎌倉時代末期の武将「楠木正成(くすのき・まさしげ)」を主人公にしたミュージカルを作ることでした。楠木正成は500人の仲間を率いて鎌倉幕府の20万人の軍勢と戦って勝利した世界的にみても稀有な天才軍師で、しかも久子という1人の女性を生涯愛し抜いたという点で、世界に誇れる日本人だと橋本は考えており、楠木正成を主人公にしたミュージカルを作って、海外に紹介したいという夢を抱いてきました。

アイデアニュースは2015年4月に設立し、なんとか5年を過ぎて継続的に運営することができています。楠木正成の方は、2018年1月から5月まで動画小説『龍起伝 ~楠木正成と久子~』を連載させていただき、2019年9月には音声と歌を入れた形の朗読歌唱ドラマとして『龍起伝 ~楠木正成と久子~』全20回を掲載させていただきました。そして、2020年夏、いよいよミュージカル『龍起伝 ~楠木正成と久子~』の脚本を書き始め、2021年春には関西の小さな会場で上演したいと考えています。

朗読歌唱ドラマ『龍起伝 ~楠木正成と久子~』全20話は、YouTubeでご覧いただけます(すべて無料公開しています)。

<朗読歌唱ドラマ『龍起伝 ~楠木正成と久子~』全20話・再生リスト>
https://www.youtube.com/playlist?list=PLEh4P3ABBqA6Cm8-uKPt1Pzl6qLE10uGF

こちらは第1話で、最終話まで次々と続けて見ることができます。

ミュージカル化に向けて脚本を書き始めたちょうどそんな時期に、YouTubeで朗読歌唱ドラマ『龍起伝 ~楠木正成と久子~』をご覧くださった、東京都内在住の吉田香織 さんから、ドラマの感想をいただきましたので、ご本人の了解を得たうえで、この場をお借りして紹介したいと思います。

アイデアニュース 橋本様

はじめまして、東京在住の吉田と申します。ご多忙のところ突然のメールにて失礼申し上げます。

ブログ「南北朝についての日記?」にて「龍起伝 楠木正成と久子」を知り、You Tubeで拝聴・拝見いたしました。とてもよくできた素晴らしいお話で、感銘を受けました。そのお礼と感想を差し上げたく、橋本様がブログコメントに記載されたアドレスにお便りする次第です。

私は58歳です。東京以外で暮らしたことはありませんが、若い頃から関西、とりわけ神戸の海が好きで、近所の散歩先と同じような感覚でしばしば歩いています。宝塚歌劇団やミュージカルに対してはあいにく、全くの不案内です。

一方、歴史上の人物では楠木正成が好きです。それも「忠臣」という従来のとらえ方ではなく、先見の明と大局観を持ち、少ないリソースを最大限に活かして生き残る戦略を常に考えて、繊細でありながら動く時は素早く大胆に決断して、家族や家臣からも、治めていた地元の民や武士からも絶大な信頼を置かれる「徳」のある人物として高く評価しています。今の世の中で語られる歴史上の人物はいわゆる戦国三英傑、坂本龍馬、新選組、あるいは紫式部や清少納言が定番ですが、現代社会が抱える様々な問題に対して先人の軌跡を参考にするならば、正成は外せないと思います。

楠木正成については、幼いころに読んだ日本の歴史を扱うコミックで知りました。5年前に83歳で亡くなった母が皇国教育の修身を学んだ世代で、大楠公の唱歌などを懐かしがる一方で、「正成が絶対の忠義で、足利尊氏が逆賊なんて、そんな簡単な話ではない。」と、その教育内容については冷静な受け止め方をしていました。私は普段そう「歴史オタク」ではありませんが、今年度NHKBSで大河ドラマ「太平記」を再放送していることを契機に、久しぶりに思い出しました。本放送は母と一緒に見ていましたが、表面的にしか理解できませんでした。しかし今はネットがあります。大勢の人が毎週twitterなどで楽しくわかりやすく背景を解説してくれます。毎回じっくり見ながら、もっと詳しく知りたいと検索を重ねて、「南北朝についての日記?」ブログや「龍起伝」に行きつきました。

前置きが長くなり申し訳ございません。

「龍起伝」は、登場人物のキャラクターを丁寧に作り込んでいることに好感が持てます。文献や人気スターが演じるドラマの中だけの人物が、一気に身近な人間として、生き生きと動きはじめた感がします。弟の正季は、大河ドラマでは武骨な荒武者として描かれていますが、龍起伝ではイケメンで恋もする好青年という設定で、とても新鮮でした。大塔宮の母などこれまで意識したこともなかった人物にスポットを当てていることも感心しました。

赤松円心のキャラクターもよく考えられていますね。いわゆる「両性具有神」的な存在と位置付けられるでしょうか。大柄で髭の濃い武将として描かれることがほとんどですから、橋本様のセンスが光ります。

物語の要所で地図を示して、登場人物がいる地点の位置関係をわかりやすく説明していることも好感が持てました。京や桜井の駅、摩耶山など、東海道線沿線の地域はよく知っていても、金剛山や千早城との距離感覚は、東国人にはなかなか実感できません。

最も印象に残るエピソードは10話の「シトワイヤン」です。現代からやってきた久子が正成にその言葉を説明して、正成が驚くくだりはさすがと思いました。フランス革命からもさらに450年くらいさかのぼる時代ですね。「悪党が、悪党と呼ばれない世を作りたい」という正成の思いに深く刻まれたのでしょう。

ラストシーンで、定番中の定番である「七生滅敵を唱えて兄弟差し違え」を外して。正季が愛した人を想って取った行動であったということと、諸事情により新政方・足利方に分かれてしまった赤松円心との友情を丁寧に描くストーリーには“来る”ものがありました。幼い頃から、あれほどの人が最期は兄弟差し違えという結末には強い違和感を抱いていました。足利方でも、尊氏による直義毒殺は後世の創作で、実際は突然の病による死去だったという見解に今では改められています。

私見ですが、この時代を生きた武将は「元寇」のことを心のどこかで意識していたように思えます。リアルタイム世代ではなくとも、親など上世代は国難に何らかの形で直面しました。この世には我々が知らない国が多数あって、想像もつかない文化があることを、親や師から聞き及んで育った人も少なくないでしょう。優れた武将は蒙古に限らず、どこかの国が攻めてくる恐れや、交流を持つ機会がこれからもありうると考えていたはずです。

覚えきれないほどたくさんの人物が記録されている時代ですが、その中で正成や足利尊氏はとりわけ感受性が強い人だったと思えます。この物語で正成が、文字通り“人が変わって”しまった久子にとまどいながらも真摯に耳を傾けていく姿勢は胸に届くものがありました。後世の支配者、たとえば徳川家康などよりも理解が早かったのではないかと思えるほどです。

その一方で、失礼ながらやや意外に思える点もありました。登場人物の言葉遣いが現代風なのはミュージカルを前提としていらっしゃいますからよろしいとしても、「看護婦」は「看護師」ですね。現代の久子も「看護師」と言っているはずです。また、子供たちの名前も多聞丸、虎夜刃丸など幼名を使っていた頃で、現代人の久子が元服後の名前をいきなり思い出すストーリーは若干無理があるように感じました。

16話の近江番場や蓮華寺のエピソードは、一般的には佐々木判官(道誉)が主導したこととして伝えられています。龍起伝では赤松円心が行ったとしていますが、佐々木判官もこの物語に登場させてよかったのではないかと思いました。

もうひとつ、現代人の久子が「室町時代」と言った際、正成は全く見当がつかないという反応を見せたエピソードがありますが、この物語の正成ならば京の室町小路について、たとえ実際に行かなくても知っていて、室町と聞いて見当をつけても不思議ではないと思えます。足利義満が室町第、花の御所を開くのはこの時代から40年以上後のことですが、それ以前から室町小路は京の商工業の中心地として長く栄えていたとも言われています。久子の言う「鎌倉時代」が、鎌倉殿(北条執権)が統治している今の世を示すとすれば、室町時代とは北条氏と異なる誰かが京の室町を本拠にして何等かの執政を行うことを示しているのではないかと、正成は想像が及んだのではなかろうかと思いました。

橋本様はこの物語をミュージカル上演にしたいとのこと、実現を楽しみにしています。私は何の力にもなれず申し訳ありません。千早赤阪村や、正行が暮らしたという東大阪市の往生院にも行ってみたいですが、ご存じの通りコロナウイルス対策はそれこそ「長い戦になりそう」で、いつのことになるかわかりません。それでも東国の片隅からひっそりと応援しております。

また、機会があれば正成の末子、楠木正儀の物語にも触れてみたいと思います。正儀の生涯を調べてみたら、ある面父以上に強い力と意志を持つ人と驚きました。無駄に気位の高い南朝上層部に対して一歩も引かず、どんなに侮蔑されようとも、戦場で孤立させられようともめげることなく、「民は北朝を奉じる足利幕府を強く支持している」という現実を真摯に受け止めて、決して武力制圧ではなく和平で南北朝合一を目指すべきという信念のもと、後村上天皇をはじめとして自らの周囲にいる人たちに粘り強く自分の考え方を伝え、足利将軍家にも敬意を払い、佐々木判官や細川頼之など少しずつ人脈を広げていき、ついには将軍義満にまでたどりつき、自らの死後になったものの和平のよる朝廷合一を実現できたという歩みは極めて尊いものです。今の私たちの暮らしも、ある意味では正儀の働きあってのことといえます。皇国史観では都合のよくない存在のため、いないことにされてしまったようですが、正儀の生き方は現代社会にも強い示唆を与えると思います。この仕事は地味な毎日の努力の積み重ねであり、ドラマになりづらいですが、だからこそ人間の真価があると考えています。彼の強靭でぶれない考え方は、久子や師となった僧侶たちの人生観が反映されているように想像しています。

足利家は常に楠木家に敬意を払っていました。史実ではないようですが、正行は夢想疎石の弟子、黙庵周諭という僧侶と知り合いだったと伝えられています。黙庵は足利家とも縁が深く、沢口靖子さんの葬儀…ではなくて、将軍義詮の母(赤橋流北条氏)の葬儀を依頼された折、義詮に正行の武勇について話して、義詮は大いに感服したといいます。久子やこの黙庵禅師を軸にして、正成の子供たちの物語を作れないだろうかとも考えています。

ご多忙のところ大変な長文となり失礼いたしました。

ウイルス感染拡大が収まらず、かつ天候不順の折、くれぐれもご自愛ください。

橋本様の今後益々のご健勝ご活躍を祈念いたします。

2020年7月5日

東京 吉田

ミュージカル『龍起伝 ~楠木正成と久子~』の主要登場人物のイメージ=中央・楠木正成、右上・楠木久子、右下・楠木正季、左上・赤松円心、左下・大塔宮

ミュージカル『龍起伝 ~楠木正成と久子~』の主要登場人物のイメージ=中央・楠木正成、右上・楠木久子、右下・楠木正季、左上・赤松円心、左下・大塔宮

吉田さまが最後まで朗読歌唱ドラマをご覧くださり、橋本が考えたキャラクターやストーリーの意図が、正確に伝わっていることを知ることができて、とても嬉しかったです。「看護婦」は申し訳ございませんでした。「看護師」に修正します。「子供たちの名前も多聞丸、虎夜刃丸など幼名を使っていたはず」という点もごもっともですし、「近江番場や蓮華寺のエピソード」や「ムロマチの意味」などのご指摘も、ミュージカル化の際に反映したいと思います。

ミュージカル『龍起伝 ~楠木正成と久子~』は、数人で演じられる1時間ほどのコンパクトなミュージカルとして、できれば2021年春には関西の小さな会場を借りて、宝塚歌劇が好きな男性による劇団「ヅカだん歌劇団」の公演として上演したいと考えています。もしお力を貸していただける方がいらっしゃいましたら、どんな形でも結構ですので、ご協力くだされば幸いです。ご連絡は、アイデアニュース編集部(0797-82-3323)にお電話でお寄せいただくか、橋本正人のメールアドレス masato-hashimoto★ideanews.jp(★は@に変えてください)にご連絡ください。どうかよろしくお願いいたします。

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<筆者プロフィール>橋本正人(はしもと・まさと) 産経新聞記者から朝日新聞記者となり、大阪本社整理部次長、デジタル事業本部サブマネジャーなどを歴任。宝塚歌劇などを扱うサイト「アサヒコム・スターファイル」の編集責任者を6年間つとめ、独立。アイデアニュース株式会社を設立し、編集長に。趣味は声楽(テノール)。 ⇒橋本正人さんの記事一覧はこちら

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