舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』が、TBS赤坂ACTシアターでロングラン上演中です。2024年7月から新たにハリー・ポッター役を演じる平方元基さんのインタビュー後編です。「下」では、ハリー・ポッター役を演じると決まってからの変化、魔法について日々考えるお話、演劇ならではの本作の魅力、ご一緒されるキャストの方々についてのお話などを紹介します。
――ハリー・ポッターを演じることになって、変化したことはありますか?
驚かれるかもしれませんが、「魔法使いは本当にいるんじゃないか説」を自分の中で実行しています。いるんじゃないかなと思っているんです。いたら面白いなと思うじゃないですか。日本人としてなのか、普通の人間としてなのか、常識を植え付けられて僕たちは生きているわけですよね。僕は高校の授業の時に『ハリー・ポッター』に初めて出会ったんです。
――授業で出会ったんですか?
ALT(外国語指導助手)の担当がカナダ人の先生だったんですが、僕があまりにつまらなさそうだったから、『ハリー・ポッターと賢者の石』を持ち込んで、「授業でこれやるから。お前もこれだったら見られるだろ」って。全部英語でしたが楽しくて、「魔法使い、いいじゃん」とちょっと思って。その時から『ハリー・ポッター』が好きなんです。
「自分でも気づいていなくて」とか、考え出すと毎日面白いんです。稽古が始まると、それこそルーティン化じゃないですけど、台詞を覚えて何かをやってと追われてしまうから、そういう非現実的な息抜きを勝手にやってしまっているんですよね。
――でも、「私たちの目に見えないものはあるかも」と思いますよね。
そういうのが魔法じゃないにしても、魔法だったら面白いなみたいな。魔法ってどういうことなんだろう、全部が魔法で解決できるんだったら、喧嘩とかもやめられるんじゃないかなとか。
――もしかしたら舞台上の彼らも、魔法を使ったほうが手っ取り早いことはあるかもしれませんね。
でも、その魔法はないんです。そのことについても、ダンブルドアが言っているんですが、魔法はすべてを解決できない。奥深すぎて、そのもどかしさを感じたりもします。逆に、使えないほうが幸せなんじゃないかなと思ったりもします。使えたら、家をぽんと片付けてしまうみたいに楽をしてしまうでしょうから。魔法って、何なんだろうとよく考えます。魔法の台詞をたくさん言いますし。
――魔法使いを演じるわけですからね。
俳優としては使わせていただくわけですけれど。自分だけではできないこともありますから。結局、マンパワーなんだなと思いました。2024年の今、機械で何だってできてしまうのに、魔法使い役をやる時に、人間がそれを叶えているわけですから。
――映像で処理してもいいわけですものね。
そうなんです。でもそうじゃない、マンパワーをめちゃくちゃ使っているから、演劇である意味があるんだなと思います。
――この作品について、演劇である意味や、舞台であるからこその魅力など、どこに一番魅力を感じますか?
怒りや悲しみという、普段他人の前では見せたくないものを出さなければいけないところですね。息子との確執でとんでもないことを言ってしまうとか、そういう咄嗟に出てしまう人間らしい言葉や場面に、僕も客席で観ていてハッとしました。泣きたくて泣きに行くんじゃなくて、あふれて流れ落ちる。そういう涙や怒りのシーンが多いなと思いました。
舞台が始まる前の物語の歴史かもしれませんが、だんだんと積もり積もったものが、あふれてしまったという。そこはお客様にも、すごくハッとしてもらえるんじゃないかなと思いますし、やりがいがあるなと思います。悲しいシーンや苦しいシーンは、ある意味楽しいです。普段はあんな風に感情を出せないですから。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、ご一緒されるキャストの方々についてのお話などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■存分に楽しむのはもちろん、痛がったり、怖がったり、苦悩しようと思う
■初めましての吉沢悠さん。話していてもすごく楽しくて、一緒だと心強い
■矢崎広くんは久しぶり。得体のしれないことが、自由自在にできるのが彼だなと
■一回一回を大切に観ていただくには、予習がおすすめ。物語を深く濃く楽しめる
<舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』>
【東京・2024年10月までの公演チケット発売中】TBS赤坂ACTシアター
公式サイト
https://www.harrypotter-stage.jp
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元基さんの演じることに対する姿勢や人との繋がりを大切にしている様子が伺えて、だからこそその人柄が滲む繊細な演技となるんだなぁ…と思いました。自然で飾らない表現力が大好きです。矢崎さんとの共演も楽しみです!吉沢さんとの共演が見れないのは残念…一回一回を大切に、何回でも観たいと思っています。新キャストでの開幕を前に、舞台がさらに楽しみとなる素敵なインタビューをありがとうございました!