今回の参議院選挙ではっきりと示された沖縄の民意は、「辺野古新基地反対」でした。午後8時には当確のテロップがでるほどの圧勝で、沖縄の伊波(イハ)洋一さんが当選しました。しかし、勝利に酔っている時間はあっという間でした。選挙の翌朝に沖縄県民の意思を踏みにじるように、大型工事車両が機動隊とともに高江に入ります。選挙直後のすきをついて、高江のヘリパッド工事の準備をすすめる露骨なやり方に、沖縄の人々はもちろん、沖縄に心を寄せるたくさんの人たちが声をあげています。2016年7月13日、京都で行われた「沖縄連帯 新基地を止める!全国から声をあげて!」に参加してきましたので、その報告とともに、高江で今何が起きているかをお読みください。
2016年7月10日、日本で初めて18歳以上が投票する参議院選挙が終わりました。投票が終わった後、テレビで選挙速報を見ていると、「三分の二」という数字の意味が分かりやすく解説されていました。憲法を「改正」しようとする勢力が参議院でも三分の二をしめてしまったら、戦後70年以上まもってきた平和憲法はどうなるのだろう……なんで選挙の前に、もっとこういう形の解説番組や討論をしてくれなかったのかと歯がゆい思いの中、私が兵庫県で投じた票はいわゆる「死に票」になってしまいました
■参院選で伊波洋一さんが圧勝、沖縄は衆参6名全員が「辺野古新基地反対派」に
でも、落ち込みそうな心を救ってくれるのは、例えば現職閣僚を大差で破って圧勝した沖縄の伊波(イハ)洋一さん。沖縄は、これで衆参6名の議員が全員、「辺野古新基地反対派」となりました。自民党政権に、沖縄は、はっきりと「NO」を表明したのです。もう基地負担はまっぴらだ、平和に穏やかに暮らしたいのだと。
■参院選から一夜明けた7月11日の早朝6時、ヘリパッド建設工事再開へ準備作業が
それなのに、今、沖縄・東村高江はたいへんなことになっているのです。参院選から一夜明けた2016年7月11日の早朝6時、東村と国頭村をまたいでいる米軍北部訓練場ヘリパッド建設に向け、工事再開するべく準備作業が始まりました。沖縄県民が示した民意をふみにじる、あからさまで強圧的なやり方。辺野古の方が「和解」ですこし落ち着いている間に高江のヘリパッドを作ろうというわけです。
高江には約7800ヘクタールの米軍北部訓練場があります。ここにはヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)があり、緑豊かなやんばる(山原)の中にある集落を囲んでいます。オスプレイが配備されたため、実際には「オスプレイパッド」となり、騒音も格段に大きくなりました。低周波の被害もあり、墜落の恐怖もあって、住民の方々はつらい日々を送っています。アメリカ本国では飛ばない村落の上を、沖縄ではオスプレイが昼夜を問わず飛んでいます。
■返還予定地にあるヘリパッドを高江周辺に移転することで日米両政府が合意
「高江」というのは辺野古に比べて、耳慣れない、よく問題が分からないという人も多いかもしれません。高江になぜヘリパットが建設されることになったかについて、「やんばる東村 高江の現状」の「Voice of TAKAE(2015年6月28日改訂版)高江で起こっていることを知るためのガイドパンフレット」には、こんな風に書かれていました。
1996年に「基地の整理縮小」をかかげて設置されたのが「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」です。日米両政府が最終報告に合意し「SACO合意」が発表されました。でもこれは「沖縄の基地負担軽減」といいながら、実際には「基地の先鋭化と日米安保強化」を目的としていました。このSACO合意で、北部訓練場の半分を返還する条件は、返還予定地にあるヘリパッドを高江周辺に移転することでした。合意の背景には新機種オスプレイの配備がありました。「移転」の名目を借りたオスプレイパッドの新設だったのです。
■集落から最も遠い迷惑にならないところに造るのが当たり前なのに
ジャーナリストで映画監督の三上智恵さんは、辺野古と高江をずっと取材しておられます。初監督映画で描かれたの高江に住む人々。その三上さんは「三上千恵の沖縄撮影日記」で、このように書いています。
北部訓練場を半分も返してやるんだから、ヘリパッドの移設くらい協力しろ、と米軍と日本政府は言っている。そして北部の市町村長は基地の返還を歓迎し、「返還に伴うヘリパッドの移動なのだ」という解釈の元に、明確にはヘリパッド建設に反対していない。
しかし、これは何重にもおかしな話だ。県民から奪ったやんばるの森を返すのに、なぜ上から目線で条件を付けられるのか。しかも返還されない南側の訓練場内にはほとんど使っていないヘリパッドがいくつもある。もしも返還区域にあるヘリパッドと同じ数をどうしても新しくつくるというなら、集落から最も遠い迷惑にならないところに造るのが当たり前なのに、なぜ高江を囲むような陣形に造るのか。
集落を含む山あいの地形を利用しながら、オスプレイが離発着できる新たなヘリパッドを拠点に山の稜線ギリギリに飛ぶ訓練をする、それが目的で有ることは明らかだ。これもまた、返還を口実に恩着せがましく振る舞い、より便利な訓練場を日本の税金で用意して頂こうというアメリカ軍の常套手段だ。
■警視庁などから500人規模の機動隊を東村高江のメインゲート前などに投入へ
そして今後は高江に、機動隊500人を投入するという記事が、沖縄タイムスに載りました。
<東村高江に機動隊500人 辺野古の5倍投入へ>沖縄県の東村と国頭村にまたがる米軍北部訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に向け、政府は警視庁などから500人規模の機動隊を東村高江のメインゲート前などに投入することが分かった。複数の政府関係者が12日、明らかにした。連休明けの19日から順次沖縄入りする。沖縄防衛局は近く、ヘリパッド建設工事に着手する見込みだ。(中略)翁長雄志知事は12日の県議会で、防衛局が参院選翌日に資機材を搬入したことに「とんでもない話で、強圧的だ」と政府の姿勢を批判した。
■選挙が明けると 沖縄の主戦場は、高江に変わる
Facebookやツイッター、ブログなど、ネット上では悲鳴のような声が上がっています。
選挙が明けると 沖縄の主戦場は、高江に変わる。 こんなことをつぶやかないといけない状況が、心の底から悔しい。 ほんとに悔しい。 けれど現実は容赦ない。 お願いです。 高江に来てください!(7月10日の「tokkouji」ツイッター記事)
緊急です。機動隊・業者来てます! 機動隊・ダンプ・重機・トイレが集まっています。至急高江に来てください(7月11日のブログ「やんばる東村 高江の現状」より)
今朝(7月12日)も早朝4時半に高江に向かう。今日も、機動隊の暴力的な規制が1日中続いた。それでも集まった市民らは、排除されても、排除されても、ゲート前での座り込みを続けた。(中略) ともかく、高江に結集しよう! このままではヘリパッド工事が強行される。一人でも多く、高江に結集しよう! (7月12日の「チョイさんの沖縄日記」より)
■7月13日、京都で「沖縄連帯 新基地を止める!全国から声をあげて!」
何を見ても読んでも、沖縄に飛んでいきたい気持ちが高まりますが、今すぐには行けない。せめて、自分のいる場所でずっと声をあげ続けている友人のイベントに参加しようと思い、2016年7月13日、京都でおこなわれた「沖縄連帯 新基地を止める!全国から声をあげて!」に行ってきました。レポートいたします。
雨が降ったりやんだりして少し薄暗い午後5時前、三条京阪駅前にひとりふたりと、「NO BASE 沖縄とつながる京都の会」のメンバーが集まってきました。のぼりを立て、横断幕を広げて、今日配るビラを用意します。
■沖縄のことだと、知らん顔でいいの? 私たち
少しずつ参加者も増えてきて、平日の午後5時からという早めの時間帯にも関わらず、20名近くが立って、「沖縄で起きていることを知ってほしい」「これは沖縄だけの問題ではない」「戦争につながる行為を、見過ごすことはできない」とかわるがわる声をあげました。
<アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分> ⇒会員登録はこちらから
有料会員向け部分では、京都・三条京阪駅前に集まった人々の声を紹介します。
■テレビでやってくれない、マスコミでは誰もちゃんと言ってくれないから(「歌姫」、川口真由美さん)
■遠い国ではなく、今、この国でおきていることなんです(滋賀大学教授、青柳周一さん)
■アメリカの思惑が世界を動かす中、沖縄のことを思うと心が痛いです(足を止めてくれた、英国の男性)
■町に出れば、ひとりでもふたりでも新しい人に出会い、思いを分かち合える
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