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沖縄・辺野古の米軍新基地建設反対、抗議船から見た冬の海の風景は

筆者: 松中みどり 更新日: 2017年3月5日

 

2017年2月9日から12日まで、沖縄を訪れました。前回の記事「刑事法の大学教授ら64人・アムネスティなど、山城博治さんの釈放求め声明」に続く、沖縄報告の後半は、辺野古の米軍新基地(普天間代替施設)建設反対の抗議船から見た海の風景です。沖縄県名護市の辺野古・大浦湾では、新基地建設のため、汚濁防止膜の海底基礎となる大型コンクリートブロックが投下されているのです。工事に反対する人たちは抗議船やカヌーを出して海上での抗議活動をおこなっていて、今回はその抗議船に同乗したというわけです。2月11日(祝)は、最低気温11℃、雨模様。風が常に吹いている船の上は、もっと寒く感じられました。途中から雨が降ってきて、私の初めての船上抗議行動は半日で終了でした。キャンプシュワブのゲート前に座り込んで、機動隊員に排除されるときも、相手の数や肉体的な強健さに圧倒されました。しかし、海の上に浮かぶひとり乗りのカヌーと、海上保安庁のゴムボートや工事のための作業船の重量感の差は、本当に大きくて、海上抗議行動をおこなっている人たちに頭が下がりました。抗議船上から撮影した、冬の辺野古の海の様子を動画でご覧ください。

 

 

 

沖縄・辺野古の海を埋め立てて新しい米軍基地を建設する件について、知っている人はよく知っているでしょう。でも、私も含め復習が必要な人も多いと思います。頭の中を整理する意味で、少し経緯を振り返ってみましょう。

 

そもそも、沖縄県宜野湾市にある米軍海兵隊の基地「普天間飛行場」の返還を求める運動がありました。住宅密集地に位置しているため「世界一危険な基地」と言われている普天間飛行場は、1996年日米両政府によって返還合意にいたりますが(SACO合意)、その条件はヘリポートを含む代替施設の建設です。移設先として名護市キャンプシュワブの辺野古沖が浮上、基地建設計画が出来ました。鳩山政権の時には沖縄県外移設を模索したことが記憶に新しいですが、現在安倍政権は「移転先は辺野古以外にはない」という強硬な姿勢をとっています。

 

長島と平島。辺野古崎近くの無人島。日豪渡り鳥条約の保護鳥、エリグロアジサシが営巣します。ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)ホームページより

長島と平島。辺野古崎近くの無人島。日豪渡り鳥条約の保護鳥、エリグロアジサシが営巣します。ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)ホームページより

 

日米の政府は、騒音問題や、墜落の不安を抱えて暮す普天間飛行場周辺の人々を盾に取って「普天間の危険性を除去して欲しければ、辺野古に新基地を作るしかない」と言っているのです。この構図は同じくSACO合意で示された「北部訓練場の半分を返還するから、東村高江に新しいヘリパッドを作らせろ」と迫って工事を強行した昨年の騒動とまったく同じです。つまり、「古くなって使いづらい施設は返すから、新しくて使いやすい施設を作ってよこせ」というわけです。もともと沖縄の人々の土地を戦後の混乱期に収容し、返還するときには見返りを要求するという理不尽なやり方は承服できるものではありません。しかも、新しい施設は、上の写真のような美しい海を埋め立てて作られます。この沖縄本島沿岸の辺野古・大浦湾は、アオサンゴ群集が生息する世界の北限で、国際的に希少性が認められた海域なのです。絶滅のおそれのある野生生物のひとつ、ジュゴンの餌場でもあります。環境保護や生物多様性保全の意味でも、この海に新基地を作ることはナンセンスとしか言えません。これを受けて、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、2017年2月10日、「辺野古・大浦湾の埋立て工事中止と計画見直しに関する緊急要請」を発表しました。その文章の後半にはこう書かれています。

 

現在、この地域ですすめられている米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う辺野古新基地(普天間代替施設)建設計画は、これら重要な生態系を劣化、消失させ、希少種の絶滅を引き起こす懸念があり、WWFジャパンも計画の見直しを求める要請を重ねてきました。

そうした中で今回、本格的埋め立て工事に向け、汚濁防止膜の設置と、そのためのコンクリートブロックの海底への投入等の作業が着工されたことは、国際的な観点から生物多様性の保全に取り組む団体としては、大変遺憾に思います。

自然や野生生物は、限りあるものであり、同時に一度失われれば、取り戻すことのできないものでもあります。南西諸島の豊かな自然(奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島)の、世界自然遺産への登録への道が見え始めたこの時こそ、その自然の重要な要素を構成する辺野古・大浦湾の多様な姿と生態系の機能を維持する決断を下すことは、国際社会と未来に対する日本の責任を果たすことでもあると考えます。

WWFジャパンはここに改めて、対象海域の生物多様性保全の観点から、直ちに現在進められている工事を中止するとともに、関係省庁はもとより、地方自治体や地元関係者の意見を踏まえた上で、十分な予防的措置の検討と、現在進められている基地計画の見直しを要請いたします。

 

大浦湾のチリビシで発見された、アオサンゴ群集。ジュゴン保護キャンペーンセンター

大浦湾のチリビシで発見された、アオサンゴ群集。ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)ホームページより

 

2016年12月、この美しい海に新基地を作らせたくない、少しでも作業を遅らせるための行動をしたいと環境に優しいカヌーで海に漕ぎ出すひとたちがいます。カヌーチーム辺野古ぶるーのメンバーです。どんな思いで海に出るのか、2017年最初のブログ記事には「ついにまた」と題してこんな風に書かれていました。

 

辺野古の浜には、この場所で初日の出を拝もうと多くの人が集まりました。今年こそは基地建設を止め、穏やかな年になるようにとの願いを込めて。その願いに応えるような、小春日和の日々が続いていました。
しかし、新年早々に、残念ながらその平穏を破り海上作業が再開されてしまいました。
4日朝から辺野古ぶるーは漕ぎ初めで集っていました。もちろん、作業再開されるかもしれないのでその監視と抗議と非暴力直接阻止のために。
午前中大浦湾のレジャービーチでは浜にフロートを並べる作業が行われました。船団と辺野古ぶるーは、その都度抗議の声をあげ続けました。

 

中略

 

4時過ぎに浮き桟橋(作業船や海保の船を係留するため)を設置する予定の場所に大型クレーンが再び現れました。
クレーンで釣り下ろされた三隻の作業船がオイルフェンスをひっぱりはじめました。
辺野古ぶるーと船団は、必死に阻止し、抗議しましたが、それまでおとなしかった海保が猛スピードで海上を走り回り冬なのに海中に墜ちている人をすぐに引き上げようともせずそのすぐ横を暴走していきます。

仲間が次々と危険にさらされていくのを見てああ、またはじまってしまったんだな…と、やるせない気持ちが再びわき起こってきます。
何のための作業だったのかと言うと、浮き桟橋を設置するのを私たちにじゃまされない為にその周りをオイルフェンスで囲うというもの。

つまり辺野古ぶるーや船団の海上行動がなければすぐに浮き桟橋を設置できるのにその前に1工程作業を追加しなければならなかったのです。

作業は始まってしまいましたが、初日での浮き桟橋の設置は阻止できたということです。
地道な行動の成果です!

しかし、逆もまた然り
戦争で人を殺す行為も、ほんの少しの作業の積み重ねの先にあるといえます。

ひとつひとつそれらの作業を止め遅らせる事でこの基地建設をストップさせなければ海を埋め、人の心を埋め、その上に戦争への道を造らせないために。

 

2017年2月11日、雨の降り始めた辺野古・大浦湾=撮影・松中みどり

2017年2月11日、雨の降り始めた辺野古・大浦湾=撮影・松中みどり

 

 

辺野古の海の工事は、実はしばらく止まっていました。仲井真前知事が2013年12月に国からの埋め立て申請を承認。その後の知事選で辺野古移設反対を掲げて初当選した翁長新知事が、2015年10月に「承認には法律的な瑕疵がある」として、承認を取り消します。国は翌11月に県を提訴、2016年3月に両者が和解。しばらく協議が続いている間、海の平和は保たれていました。(その間に高江のヘリパッド工事が強行され、やんばるの森が削られていたのですが)しかし、2016年12月20日、最高裁で翁長氏の取り消し処分を違法とする判決が確定。翁長知事は12月26日「承認取り消し処分」を取り消さざるを得なくなりました。これを受けての上記ブログなのです。辺野古の海を守りたいとカヌーを漕ぐ辺野古ぶるーのメンバーは1月早々に海に出て、海上工事を始めるための準備段階と言える作業を遅らせたというわけです。

 

ゲート前の座り込みも、高江での抗議行動も、辺野古の海での活動も、想いは同じだと思います。1分1秒でも工事を遅らせたい。何か少しでも基地建設反対、戦争反対の声を伝えたい。そのために寒い海に出て、圧倒的な力の差を見ても挫けずカヌーを漕ぎ、抗議船の上から呼びかけ続けるのです。

 

2017年2月11日、筆者の乗った抗議船にずっとついてまわっていた海保のゴムボート=撮影・松中みどり

2017年2月11日、筆者の乗った抗議船にずっとついてまわっていた海保のゴムボート=撮影・松中みどり

 

私が今回の沖縄訪問で、抗議船に乗って海の抗議行動に参加したいと思った理由はふたつあります。海が大好き、フィリピンやモルディブの海で泳いだりシュノーケルをしたりするのが趣味なので、美しいと評判の辺野古・大浦湾の海を見たかったことがひとつ。もうひとつの理由は、沖縄を訪れるようになって、たくさん新しい友人が出来ましたが、その中には海上での抗議活動に参加している人たちがいます。夏の頃はともかく、沖縄の1月2月が思いの他寒くて、風が強く、雨の日も多いことを経験してみると、そんなときにもカヌーを漕ぎだす友人たちのことがとても心配でした。作業を少しでも遅らせたいと冷たい海に出るカヌーは手漕ぎのひとり乗りです。70代の人、カヌーに乗り始めて間のない人、華奢で力の弱そうな女性もいます。早朝に集まって、海の様子を確認し、警報などが出ているとき以外は船長の判断で海に出る人たち。彼らの目に写っている風景を、私も船の上から見たいと思いました。

 

2017年2月11日辺野古・大浦湾=撮影・松中みどり

2017年2月11日辺野古・大浦湾=撮影・松中みどり

 

2月の海は寒く、天候も荒れがちです。2月10日は波浪警報が出ていたため、海に出るのを断念。それなのに、海中にコンクリートブロックを投入する作業は続行されました。高江の時と同様、強硬な姿勢に胸が痛みます。作業に関わる人たちの人権は守られているのでしょうか。翌2月11日、初めて海に出ましたが、祝日のためか雨と風の残る天候のせいか、この日は工事は行われませんでした。かえってゆっくりと、様々に工夫をしてカヌーの侵入を拒否するフロートの様子や、美しい海の中を観察することが出来ました。何枚も着込んで、使い捨てカイロを貼って、それでもなお寒い海の上。一旦事があれば、海の中に投げ出されることもあるカヌーチームのメンバーを思いました。大切な友人たちが、ここまでして守りたい海。私たち本土の人間が何も知らないまま、沖縄に基地負担を押し付け続けていいとはとても言えません。自分のことではないから。遠い小さな島のことだから。そううそぶいて誰かの犠牲の上に暮していると、ある日しっぺ返しが来ると思います。

 

抗議船の船長でもあり、ダイビングチーム・レインボーの代表でもある牧志さんの、水中写真が2月11日の沖縄タイムスに載っていましたが、抗議する市民らの侵入を防ぐフロートを立てるため重りの役目を果たす鉄板はむきだしで、海中の「凶器」のようだと表現されました。→辺野古海中で揺れる「凶器」 むき出しの鉄板新型フロート(沖縄タイムス2017年2月11日)

 

辺野古・大浦湾に出現したフロートは工事に抗議する人たちを阻むためのもの=撮影・松中みどり

辺野古・大浦湾に出現したフロートは工事に抗議する人たちを阻むためのもの=撮影・松中みどり

 

 

 

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主催。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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