刑事法の大学教授ら64人・アムネスティなど、山城博治さんの釈放求め声明 | アイデアニュース
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刑事法の大学教授ら64人・アムネスティなど、山城博治さんの釈放求め声明

筆者: 松中みどり 更新日: 2017年2月23日

 

2016年10月17日、沖縄の米軍オスプレイ用ヘリパッド建設に対する抗議行動で、侵入防止用フェンス上の有刺鉄線一本を切ったとされて準現行犯逮捕された山城博治さんは、2017年2月22日現在、今も那覇拘置所に勾留されています。逮捕されてから2月23日で130日となります。

 

筆者は、2017年2月9日から12日まで、沖縄に行ってきました。那覇地裁前では大きな抗議集会がおこなわれ、そうでない日も「サイレントアピール」を担っている市民がいました。辺野古の座り込みの現場でも、日毎入れ替わり立ち替わりマイクを握り、リードする人がいます。博治さんが帰ってくるまで、みんなが自分の力を精一杯出して、最大限支えようとしている。そんな気がしました。「沖縄平和運動センター議長」の山城博治さんはなぜ逮捕され、そしてなぜ沖縄の、日本各地の、世界各地の、多くの人が彼の釈放を求めているのか。沖縄の現地取材報告です。

 

山城博治さん 2016年1月辺野古の座り込み現場にて=撮影・松中みどり

山城博治さん 2016年1月辺野古の座り込み現場にて=撮影・松中みどり

 

刑事法を研究する大学教授、准教授、講師らが「山城博治氏の釈放を求める刑事法研究者の緊急声明」を発表したのは2016年12月28日。声明は、切断されたのは2,000円相当の有刺鉄線1本で、必要な捜査も終わっており、長期勾留は刑事訴訟法第91条の「不当に長い拘禁」(⇒条文)にあたり、速やかに解放すべきとしています。声明に名前を連ねた刑事法を研究している教授、准教授、講師らは、沖縄国際大学、琉球大学をはじめ、宮崎産業経営大学、熊本大学、佐賀大学、九州大学、九州国際大学、久留米大学、西南学院大学、福岡教育大学、山口大学、島根大学、岡山商科大学、高知大学、神戸学院大学、甲南大学、関西学院大学、大阪大学、大阪市立大学、大阪経済法科大学、立命館大学、龍谷大学、京都女子大、名古屋大学、一橋大学、東京造形大学、東京経済大学、駒沢大学、青山学院大学、関東学院大学、國學院大學、立正大学、独協大学、宇都宮大学、茨城大学、福島大学、山形大学などの先生方です。(⇒声明と賛同者のリストはこちら

 

さらに、国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」日本支部は2017年1月27日、「山城博治さんの速やかな釈放を求める」声明を発表しました(⇒声明)。アムネスティは、証拠隠滅の可能性が極めて低い状況でのこのような拘禁は身体の自由への侵害であり、山城さんを速やかに釈放するよう検察当局に強く求める、としています。山城さんが家族とも面会できない状態に置かれていることは、被拘禁者処遇最低基準規則(マンデラルール)58条1項が「定期的に家族および友人の訪問を受けることが許されなければならない」としていることに反しており、家族の訪問は保障されるべきだとしています。

 

アムネスティの声明に出てくる国連被拘禁者処遇最低基準規則(ネルソン・マンデラ・ルールズ)は、2015年12月、国連総会において満場一致で採択改訂されたものです(⇒詳細)。なお、琉球新報によると、アムネスティは、ミャンマー民主化指導者のアウン・サン・スー・チーさんらが認定された「良心の囚人」に、山城さんを認定することも検討しているとのことです(⇒琉球新報の記事)。

 

山城博治さんの名前は、沖縄でずっと続いている米軍基地基地建設反対運動に心を寄せてきた人たちにとっては特別なもの。その名を口にすると笑顔になり、勇気をもらえる名前です。一方で、沖縄以外のマスメディアにあまり登場しない名前であり、知っている人と知らない人の温度差が非常に大きいことの象徴にも感じられます。

 

沖縄平和運動センター議長で、常に現場で基地反対の運動をまとめてきた博治さんは、2016年1月初めて沖縄・辺野古に座り込みに行った新参者の私を、「よく来たよく来た」と温かく迎え入れてくれました。こちらの記事をご覧ください→人にも動物にも優しく、ただただ平和に仲良く生きようと願う 辺野古レポート(下)

 

2016年1月に初めて会った博治さんは、顔をくしゃくしゃにして笑い、感動すれば涙声になり、突然踊りだし、大きな声で歌う、人間味あふれる魅力的な現場のリーダーでした。アジテーションの超が付くほどのうまさ、うまくないけど素敵な歌、楽しく明るい雰囲気を生み出し、みんなを巻き込む博治さん。誰かが警察に連れて行かれたとなれば、取り戻すまでずっと、声を枯らして抗議をし、捕らわれた仲間に向かってエールを送り続ける人です。

 

筆者は、2017年2月9日から12日まで、沖縄に行ってきました。那覇地裁前では大きな抗議集会がおこなわれ、そうでない日も前述のようにサイレントアピールを担っている市民がいました。座り込みの現場でも日毎入れ替わり立ち替わりマイクを握り、リードする人がいます。博治さんが帰ってくるまで、みんなが自分の力を精一杯出して、最大限支えようとしている。そんな気がしました。

 

2017年2月10日辺野古ゲート前=撮影・松中みどり

2017年2月10日辺野古ゲート前=撮影・松中みどり

 

 

■私も博治さんに手紙を書きました。この心が届きますようにと願っています

 

沖縄タイムスの社説(有料部分で紹介しています)にならい、私も博治さんへの手紙を掲載します。この心が届きますようにと願っています。

 

災害現場から博治さんへ

 

山城博治さん、この手紙を書いているのは、2016年10月17日にあなたが逮捕されてから4ヵ月と1日が過ぎたまだ寒さの残る2月18日です。初めて博治さんに辺野古のゲート前でお目にかかった日に差し上げた「漁網ブレスレット」、覚えておられるでしょうか。東日本大震災で被災した岩手県の漁師さんが、大切な生活道具だった漁網も津波で流され、捨てるに捨てられない破れた網を泣きながら洗っていたとき、この網で何か出来ないかと思ったことがきっかけで生まれたアクセサリーです。魚が獲れなくなり絶望の淵にある被災者へ、応援する気持ちを伝える漁網を使ったストラップやブレスレットを「すごくいい話だね。素敵だ」と嬉しそうに手に取ってくれましたね。

 

2016年1月13日、辺野古のゲート前で漁網アクセサリーを手にする博治さんと筆者=撮影・川口真由美さん

2016年1月13日、辺野古のゲート前で漁網アクセサリーを手にする博治さんと筆者=撮影・川口真由美さん

 

東日本大震災の被災地でも、たくさんの人が博治さんたちの沖縄の闘いを気にかけ、本当はその場に飛んでいきたいと思うほど心を寄せておられました。いざというとき、国に守ってもらえなかった体験をした人であればあるほど、人々の民意を踏みにじって強行される基地建設に怒りと危機感を覚えているからです。

福島の人たちは特にその思いが強いのではないでしょうか。今回、一緒に那覇地裁前でサイレントアピールをおこない、辺野古のゲート前では一緒にごぼう抜きをされた古い友人は、福島でずっと医師として働き、特に子どもたちの健康状態を診てきた人です。穏やかな人ですが、政治と政治家の理不尽さに怒りを覚える気持ちは誰にも負けないと思います。彼もまた、博治さんたちの解放を願っている被災地の仲間です。

 

2017年2月10日辺野古ゲート前=撮影・松中みどり

2017年2月10日辺野古ゲート前=撮影・松中みどり

 

フィリピンのピナツボ火山噴火被災者もまた、沖縄の基地のことを話したらとてもよく分かってくれます。なぜなら彼らも、大きな災害で故郷の風景が一変したあと、米軍が火山灰で使い物にならなくなった基地を捨てて出て行ったことをよく覚えているからです。基地があっても、その周辺の市民が守ってもらえるわけではないこと。そして、クラーク空軍基地もスービック海軍基地も米軍撤退後は経済特別区となり、地域の経済が上向いたことをよく知っているからです。米軍がいなくなった基地跡に次々出来たホテルやショッピングセンターで、多くの火山噴火被災者が働いています。

 

ピナツボ火山噴火で被災し、元の村から離れて暮らす先住民アエタの少女=撮影・松中みどり

ピナツボ火山噴火で被災し、元の村から離れて暮らす先住民アエタの少女=撮影・松中みどり

 

特に、火山噴火で大きな影響を受けた山岳先住民族アエタの人たちは、沖縄の人々が感じていることを一番よく分かるだろうと思います。先祖代々暮らしてきたピナツボ山の土地を、力とお金のある人たち~米軍とフィリピン政府、大企業に奪われた上、『遅れた』『野蛮な』『自分たちとは違う』存在だという視線をずっと受けてきた人たちだからです。沖縄で、こんなことがあったよと話すと、自分たちはその場にいけないけれどずっと祈っています。応援しますと言ってくれました。

 

神戸の借り上げ復興住宅問題について報じる新聞の展示 2017年1月17日=撮影・松中みどり

神戸の借り上げ復興住宅問題について報じる新聞の展示 2017年1月17日=撮影・松中みどり

 

私も被災者のひとりである阪神淡路大震災の被災地域でも、博治さんたちのことを忘れず、連帯しようと訴える人が少なからずいます。神戸では、もう22年以上の年月が流れてなお、借上げ復興公営住宅から被災者を退去させようと、自治体が被災者を訴えるというとんでもない裁判が進行中です。ここで踏みとどまらなければ、他の被災地に対し、悪しき前例を残すことになると、闘い続ける人がいます。そのことは、私も辺野古の座り来み現場で何度か話をさせてもらいました。そのような経験をしているからこそ、沖縄の人たちに心を寄せ思いを馳せ、現場に駆け付ける人が多いのでしょう。

 

博治さん、地震や津波、火山噴火など自然の大きな力に見舞われたあと、政治的にも翻弄され、取り残された人たちは、互いに手をつなぐことで力を得ています。博治さんたちと連帯し、ともにありたいと願うたくさんの人たちが、国内の、そして世界の被災地にたくさんいることを覚えていてください。体に十分気を付けてお過ごしくださいね。またあの笑顔を見せてもらえる日を心から楽しみにしています。

 

 

アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分では、2017年2月9日に那覇地裁前で取材した内容などを報告します。また、2月10日から11日は、辺野古で取材し、初めて船に乗船して海上抗議の様子を取材することもできましたので、陸上と海上の辺野古の様子を取材した記事を、近日中に掲載します。

 

<有料会員限定部分の小見出し>

 

■想像できないほど寒く、冷たい風が吹いていた「冬」の沖縄

 

■那覇地裁前のサイレントアピール、ドライバーや歩行者が会釈をしたり手を振り返し

 

■沖縄タイムスが2017年2月7日に掲載した社説「辺野古から博治さんへ」

 

■博治さんが帰ってくるまで、みんなが自分の力を精一杯出して、最大限支えようと

 

■分かりやすい「山城博治氏の釈放を求める刑事法研究者の緊急声明」

 

■「山城氏らの行為は、沖縄の森と海、平和を守る憲法上の行為であり、不正ではない」

 

■悪性リンパ腫から復帰したばかりなのに、家族にも会えず、差し入れは1日1回

 

■国連との協議資格を取得しているIMADRなどが報告書「沈黙させられる沖縄の声」を発表

 

■ワシントンポスト紙やアイリッシュタイムスも反対派リーダー長期勾留の記事を掲載

 

 

※辺野古の「海上レポート」は、近日中に掲載します。

 

 

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主催。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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