元宝塚歌劇団雪組トップスターの早霧せいなさんの宝塚退団後初の主演ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』が2018年5月19日、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで開幕しました。冒頭から、笑って、笑って、笑って……。海外の作品を翻訳したミュージカルで、ここまで素直に笑えるミュージカルがあっただろうかと思うほど、面白い作品になっていました。閉幕後のスタンディングオベーションの拍手の速度はすさまじく、「面白かったね」「すごかったね」という声が、帰路についた人たちのあちこちから聞こえてきました。
上演台本・演出・訳詞を担当した板垣恭一さんの台詞は、どれも生き生きしていて、「笑わせどころ」のツボと「間」が、ズバズバと、小気味よく決まります。冒頭から登場する原田優一さんの演技は、固くなっている観客席の頬をゆるめ、それに今井朋彦さんの名演が観客の気持ちを舞台上に引き上げて行きます。
早霧せいなさんと相葉裕樹さんが出会うシーンは、まさに宝塚歌劇。トップ男役と娘役が数秒間見つめ合うだけで生涯をかけた恋に陥るパターンを踏襲できるのは、早霧さんと相葉さんの2人ならでは。カップル成立に時間がかからないので、お芝居がテンポ良く進んで行きます。
早霧さん演じるテス・ハーディングは、キャリアウーマンでセレブという、どちらかというと敵役になりそうな役どころですが、そのテス・ハーディングが、どんどん可愛く見えてくるのは、さすがに宝塚の『星逢一夜』で民衆を弾圧する側の役人を魅力的に演じきった早霧さん。
相葉さんは、パッと見だけでみんなが惚れてしまう役どころを、抜群のビジュアルで見事に表現し、難しいメロディーの歌も、伸びのある美声で確実に表現していました。
バレエダンサーの宮尾俊太郎(Kバレエ カンパニー)さんは、どんな歌を歌うのだろうかとドキドキしながら観ましたが、なんのなんの。激しい踊りを続けながら、少しざらつきのある声で、ロシア語なまりの?日本語の歌を鮮やかに歌っていました。
家政婦役の春風ひとみさんと、テスの元夫の現在の妻を演じた樹里咲穂さんは、コミカルな演技で爆笑を誘いつつ、舞台に深みを持たせていました。
主要キャスト以外の方を含めて、多数の人が登場して歌う「こりゃダメだ」は、2人のラブラブぶりを歌いながら「きっとダメになる」という「やっかみ」のコミカルな内容で、雰囲気は違いますが『エリザベート』の「ミルク」を思わせるような見事なシーンになっていました。
<ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』>
【大阪公演】2018年5月19日(土)~5月27日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【東京公演】2018年6月1日(金)~6月10日(日) TBS赤坂ACT シアター
特設ページ
http://www.umegei.com/womanoftheyear/
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