日本演劇界を代表する劇作家、清水邦夫さんの伝説的戯曲『狂人なおもて往生をとぐ~昔、僕たちは愛した~』が、2025年10月11日(土)から10月18日(土)まで、東京・IMM THEATERで上演されます。主人公「出(いずる)」を演じる木村達成さんのインタビュー後半です。
「下」の無料部分では、「上」の続きとして、「出」と家族の関係についてお話ししてくださった内容など、合同取材の後半の内容を紹介します。有料部分では、木村さんが台本を読まれるときの「黙読と音読」についてのお話とお客さまへのメッセージなど、独自取材後半の内容を紹介します。

(※7月に取材しました。合同取材:後編)
――公式ページで「今回は自分が何度ぶっ壊れるか」とコメントされていましたが、そのような状態は過去にも、ご自身の中でご経験があるのでしょうか?
それはちょっと話せないですね。記事に載せられないです(笑)。でも作品によっては結構、何回も壊れているんですよ。
――「壊れて」しまったときは、どうやって立て直すのでしょうか?
周りから尻叩かれて、背中を押されたりということもありますが、結局は自分次第なところがあります。自分が選んだ道ですが、この俳優という職業は、本当に苦しい職業だなと思います。
――木村さんが演じる「出(いずる)」自身には、自分が周りと異なるという自認があると思いますか?
自認はないんじゃないかとは思います。「僕って、変わってるんですよ」という人は、世間にたくさんいますよね。そうやって自分を客観視して、「自分は変わってるんだろうな」と思える人がいますが、「出」は「自分しか見えていない」人であると考えると、多分まだ「自分にしか向けられなくて、周りには向けられない感情」つまりは「余裕がない」というフォーカスの当て方なのだと思います。「周りを見たときに」という感覚すらないような状態ですから、自認とかそういう範疇にはないと思いますね。
僕もたまにある感覚なのですが、「周りから隔絶されて、ずっと水の中でたゆたっている」みたいな感じです。周りの声もぼやけて聞こえちゃうみたいな。『スリル・ミー』(2023年)という、結構ダークな作品に取り組んでいたとき、だんだんピアノの音も聞こえなくなってくるし、もう自分でどのぐらい声を出しているかすらわからなくなって、舞台中ずっとそんな状態だから、「これはヤバい」って、1回耳鼻科に行って処置してもらったことがあります。処置してもらってから普通に聞こえるようになりましたが、てっきり「作品にやられてるのかな」と思っていたので、原因がメンタル的なものじゃなくて「よかった」と思いました(笑)。今回も、そのときの水の中にいるみたいな感覚に近いのだろうと思うので、これはこれでいい経験でした(笑)。
――「出」は、彼の周囲にいる家族をどうとらえているのでしょう?
僕が読んでいてハッとさせられたのは、「出」に、周りの人間が家族だという認識が、どこまで「ない」のか、または「ある」のかということです。認識のない状態で、ある程度気分がブワーッとなって周りに突っかかっているときは、「また家族ゲームやるのか、ふざけんな! いやいーよ、やってやるよ!」みたいな感じになっているのだと思いますが、ふと父親に話す瞬間は、まるで全てを理解をして、この状況を察しているような台詞もあるので、それをどこまでリンクさせていくのかというのが難しいです。
たぶん今言葉にしてしまうと、それに引っ張られて「そうしなきゃ」という考えになってしまうと思うので、今はまだ言えないですし、お客さまが答え合わせをする瞬間もないので「わかっていたんだろうな」と思う人もいれば、「わかっていないんだろうな」と思う人がいてもいい世界観なのかなとも思います。であれば、どんな見え方をしてもいいということで、ここは決めないままかもしれません。
――最初に、話自体が「面白い」という表現をされていましたが、面白いと思った感覚やポイントを教えてください。
僕はあまり本を読まないので、僕が読めた本は「面白い」んです(笑)。本を読んでいると、何か違うことがしたくなって、絶対途中で止まるんです。でもそういうことが全くなかったから「あ、こんな人演るのか、面白い」って思ったということなんです。何がどう面白いかというのは、今のところ言葉では全然浮かばないんですけど。
――登場人物の本質は、わかりやすくはないとは思いますが、その中の面白さとはどのようなものでしょうか?
ちょっと『アダムス・ファミリー』みたいな感じじゃないですか?(笑)。フリーキー(freaky)な感じで、みんなちょっと変わってるよねって。これも若干「家族ごっこ」ぽいじゃないですか。そこが読みやすかったのかもしれません。あと、登場人物が少ない方が自分的に見やすいのかもしれないです。あまりたくさん登場人物がいると、誰が誰だかわからなくなってしまいますから。そういう意味でも「ホームドラマ」というところがすごく読みやすかったのかもしれません。
作品の世界観は大体60年前ぐらいで、時代的にはわかりづらいですが、家の中で起こっている話と考えると、すごく理解しやすいし「どういう家なのかな?」と考えるだけでも、想像力が掻き立てられるような作品だからこそ、読みやすかったのかもしれないです。
――「出」の家族は、客観的に見てどんな家族だと思いますか?
本当に優しい家族なんだろうと思います。「出」が1人ぼっちにならないように、自分たちも狂ったような仕草をして、それで言ったらだんだんみんな狂ってきちゃうみたいな感覚にも見えるような気がしますし、逆に言えばお父さんが一番狂っていて、他の人の考えの中にはまらない、彼の理想像だったのかもしれないです。でも作中に出てくるようにピンクの照明とか、すごくちょっと雰囲気のある、一見周りから見たら「本当に家族なんですか?」と見えるような部分もある、そんな家族かなと。
友達みたいな家族と言われてもいいし、でも各々に「絆」というようなものがあって、何か「家族」という一本繋がっている世界観なのかなと思います。温かい気持ちになる瞬間もありますし、でもそれが急に凍りつくような瞬間があったりもします。でも「家族」ってそうじゃないですか。笑いもあると思うし、笑ってしまうくらい馬鹿なことを言っている瞬間もありますし。でもどこか馬鹿にしきっていない、尊敬・尊重みたいなものがあるような感覚もあったりと、家族のいろいろな形があると思います。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、木村さんが台本を読まれるときの「黙読と音読」についてのお話とお客さまへのメッセージなど、独自取材後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■僕が思う音読で「相手」のセリフを読むと、ちょっと違っていて「なぜだろう?」と
■黙読だと繋がっても、音読すると繋がらなかったり。「出」と「相手」のセリフも
■音にすると、「たぶん、こういうテンションなんだろうな」と温度感に合わせられる
■「儚い」という表現も、とてもたくさん詰まっている作品。見逃せない一瞬一瞬がある
<『狂人なおもて往生をとぐ~昔、僕達は愛した~』>
【東京公演】2025年10月11日(土)〜10月18日(土) IMM THEATER
公式サイト
https://www.kyoujin2025.com
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