ミュージカル『マチルダ』の東京公演が、東急シアターオーブで3月25日(土)に開幕しました。東京で5月6日(土)まで上演され、その後大阪・梅田芸術劇場メインホールで、5月28日(日)から6月4日(日)まで上演されます。海外クリエイティブスタッフによる厳しいオーディションを経た、日本オリジナルキャストによる日本初演です。
本作は、英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが2010年に製作し、2013年にはブロードウェイへ。英演劇賞ローレンス・オリヴィエ賞において、ミュージカルとしては過去最多の7部門受賞し、米演劇賞トニー賞では5部門を受賞しました。ウエストエンド、ブロードウェイの他、オーストラリア、韓国でも上演され、全世界で1100万人以上を動員し、100以上もの国際的な演劇賞に輝いています。原作は、映画「チャーリーとチョコレート工場」でも有名な英国の国民作家ロアルド・ダール著「マチルダは小さな大天才」。口ずさみたくなる音楽、ポップで印象的な美術、普遍的ながらもするどい脚本、そして彩り豊かなキャラクター達は世界中で熱狂的に愛されています。
アイデアニュースでは、ミス・トランチブルを演じている木村達成さん(大貫勇輔さん、小野田龍之介さんとトリプルキャスト)と、ミスター・ワームウッドを演じている田代万里生さん(トレンディエンジェル 斎藤司さんとダブルキャスト)の対談を、上下に分けてお届けします。「上」では、稽古のこと、お互いの役の印象、この役を演じたいと思った理由などについて伺った内容を紹介します。「下」では、これまでの共演を経てのお互いへの印象、作品の見どころや音楽の魅力などについて伺った内容と、お客さまへのメッセージを紹介します。
(2月中旬にインタビューしました。)
――『マチルダ』対談では、咲妃みゆさんと霧矢大夢さん、小野田龍之介さんと昆夏美さん、に続いてお二方の対談をお願いしました。
田代:ここが一番意外だね。
木村:初めての対談ですよね。
――すごくスピーディな稽古が進んでいて、ざっくり当たったとは伺いました。
田代:ふたりの稽古が一緒になった日が一日しかないんです。だから1、2シーンずつしか見ていないですが、やっぱりトリプルキャストの中では、達成が一番意外なキャストでしたので、逆にすごく嬉しかったです。もちろん大貫くんの身体能力や、龍ちゃんのデビュー20年以上の経験値、キャリアの長い安定感もあります。その中で、達成がふたりと全然違う個性を出してチャレンジしている部分もありますし、今まで培った実力をしっかり出している部分もあるんです。彼は考え方が結構尖っているんですよ。それがトランチブルの孤独とも重なって見えるところもあるし。稽古の時は扮装していませんが、扮装したら本人の気持ちも、周りの見え方も変わりますから、すごく楽しみです。
――木村さんはいかがですか?
木村:まだ万里生さんが歌うところは、見ていないんです。
田代:歌うのは1曲しかないからね。
木村:でもすごくクレイジーな役なんだなということは、万里生さんのお芝居を見たら一発で分かりました。まだ自分の役のクレイジーさや、自分の役の壊れ加減のことしか考えていなかったんですが、このカンパニーには真面目な役なんてひとりもいないと思い知らされました。「もっとやったらなあかんな」と。でも、音に合わせて破るやつ、面白いですね。
田代:ワームウッドって、いいシーンの前後に出てくるんですよ。マチルダがいい曲を歌った直後にそれをぶっ壊しに来たり、トランチブルがリボンをやって沸いた後に、全然違う風を吹かさないといけなくて。だから、舞台に出た瞬間にマックスでないといけない。だんだん上がっていくというのがないんです。最初からマックスに行ってる。もちろんその中での流れはあるんですが、どのシーンも沸点を超えているというようなことを演出家からも言われています。だから疲れるんですよね(笑)。先日、斎藤さんが本当にヘトヘトになっていて、「全部やってくれや」って。
木村:肩と首が疲れそう。
田代:喉もね。
――体に力が入る感じですか?
田代:そうですね。トランチブルみたいに踊ったりするわけじゃないですが、身体表現とか、圧というものを求められるので、エネルギーをすごく必要とする役ではあります。
木村:全部の台詞に濁点が付いていますよね。「ぎゃ~!」とか「わ”~」とか。
田代:近い、近い。
――喉も、いつもとは違うところを使いそうですね。
田代:そうですね。まだ『エリザベート』のフランツのために、(ポジションを)落としていた喉があるので。台詞はまだいいんですが、歌になると結構キーの高い曲が1曲あって。ここから1か月近くかけて戻していかないと、この役はやりきれません。
木村:喉のポジションも全然変わってきますね。
――木村さんも違いますか?
木村:僕は女性の役なので。でも、声色に関してはあまり意識せずにやりたいなとは思います。もちろん自分の中では、もうちょっと喉の上の方のポジションで台詞をしゃべるようにはしていますが、あんまり意識しすぎても変になるのかなと思いながらやっています。まだ扮装してやっていないから、どうにもこうにもですね。一番最後に人物像が分かるというか。もちろん万里生さんの役もそうですが、僕らは肉襦袢着けたり、もっと重い衣装を着ながらやらなきゃいけないなと考えると……。
田代:暑そうだね。汗がやばそう。
木村:自分の思っているところだけでやっていると、まだまだ結局ぶっ壊されると思うから。あんまり固めずに自由にやっていければなと思います。
田代:女性だけど、女性らしいわけではないからね。本当のトランチブルがいたら、むしろ男っぽくしているわけだから。言葉遣いが女性というだけで、女性らしくする必要はないのかな。
木村:途中でミニスカートも履くんですが、「ムダ毛の処理はご本人たちにお任せします」みたいな。でも大丈夫かな……本気で生えてるから。(田代さんに足を見せながら)これのミニスカートよ!?
田代:舞台だったら大丈夫だと思う。
<取材協力>
■木村達成さん、田代万里生さん
ヘアメイク:エムドルフィン
■田代万里生さん
衣装:CRICKET
スタイリスト:坂能 翆(サカノウミドリ)
※アイデアニュース有料会員限定部分には、この役を演じたいと思った理由について伺った内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。29日掲載予定のインタビュー「下」では、これまでの共演を経てのお互いへの印象、作品の見どころや音楽の魅力などについて伺った内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■木村:変な役をやりたい役者魂 田代:自分の外見から想像できないものを届けたい
■木村:万里生さんのミスター・ワームウッド。『ジャック・ザ・リッパー』のモンローを越えると
■田代:ミュージカルで共演したことがある達成と、正直な感想を言い合って作りたい
■木村:温まっていない時は、万里生さんのせい? 田代:いや、トランチブル(笑)
<Daiwa House presents ミュージカル『マチルダ』>
【東京公演】2023年3月25日(土)~5月6日(土) 東急シアターオーブ
【大阪公演】2023年5月28日(日)~6月4日(日) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://matilda2023.jp
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新鮮な組み合わせの対談を楽しく拝読しています。田代さんの木村さんに寄り添った温かいコメントが素敵です。
後半のお話にも期待しています。