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重くなりがちな社会派のテーマを、笑える演出で 「天使は瞳を閉じて」ルポ(下)

筆者: 達花和月 更新日: 2016年10月2日

 

虚構の劇団「天使は瞳を閉じて」公演の様子を紹介する公演レポート、「下」です。作・演出の鴻上尚史さんの作品は、上演する時期や、作品で取り扱う時代の流行りモノを取り入れて客席の笑いを誘ったり、難問だったりデリケートな問題であるが故に、テレビや新聞など大手メディアが取り上げにくい、ともすると世間も目をそらしたがる社会問題をテーマに取り入れて、登場人物たちがその問題に七転八倒しながらも立ち向かう、という設定がしばしばあります。そして、重くなりがちな社会派のテーマを取り扱いつつも、カラッとケラケラ笑いこけられるコミカルな演出と観客を我に返らせる暇も与えないテンポの良い展開で、観客が”沈みきらないよう”導いて、虚構(創作)と現実が入り混じる、作品世界としての「結果」を見せてくれます。

 

「虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』」公演より=写真提供・サードステージ

「虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』」公演より=写真提供・サードステージ

 

 

■すぐに言語化出来なくても、折にふれて記憶の引出しから取り出し考える経験をさせてくれる

 

観劇後に、すぐに言語化出来ないことも多々ありますが、かならず「作品から受け取った何か」を土産に抱えて家路を辿り、折にふれて、しまいこんだ記憶の引出しから「土産」を取り出しては眺め考える。そんな経験をさせてくれる作品が多いように思います。

 

今回の作品の冒頭「放射線管理地区」のシーンでは、今なお、日常を取り戻せない原発周辺の地域を彷彿とさせ、この物語を架空の世界だと笑い飛ばせるだけの余地を奪い、身近な喫緊の問題を思い起こさせます。

 

 

■閉じ込められた人間だけが新たな街と文化を発展させてゆく、アイロニカルな設定

 

物語では、この「放射線管理地区」ごと透明なドームで覆い、周辺環境ごと「石棺化」して放射線の漏洩を防ぐとともに事故の記憶を風化させ、これまでの「環境」を守ろうとするも、その後の地球規模の気象変動が引き起こした原発事故により、更に高濃度の放射線が地球上に蔓延し、地球上の人間はゆっくりと絶滅。封じ込めのために創られた、「透明なドーム」に閉じ込められた人間だけが生き残り、新たな街と文化を発展させていったという設定は、なんともアイロニカルで複雑な思いにとらわれました。

 

<虚構の劇団  第12回公演「天使は瞳を閉じて」> (この公演は終了しています)
【東京公演】2016 年8 月5 日(金)~14 日(日) :座・高円寺1
【愛媛公演】2016年8月20日~21日 あかがねミュージアム あかがね座(多目的ホール)
【関西公演】2016 年8 月26 日(金)~28 日(日) :AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
【東京凱旋公演】 2016 年8 月31 日(水)~9 月4 日(日) :あうるすぽっと
【作・演出】鴻上尚史 【出演】上遠野太洸 鉢嶺杏奈 伊藤公一 佃井皆美 / 小沢道成 杉浦一輝 三上陽永 渡辺芳博 森田ひかり 木村美月 (虚構の劇団)

 

<関連サイト>
虚構の劇団  第12回「天使は瞳を閉じて」
虚構の劇団のページ

 

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<ここからアイデアニュース有料会員限定部分です>一部ネタバレを含みますので、この作品をまだご覧になったことのない方は、ご注意ください。

 

■抜け目の無いデキるビジネスマンの電通太郎(伊藤公一)。背中に羽が生えてくる病にかかり…

 

■仮装や着ぐるみで「無理だろー!」と絶叫しつつ、必ず壁を壊せると信じているアキラ(杉浦一輝)

 

■一番人間臭いサブロウ(三上陽永)は、押し上げられ、虚勢を張り続け、独裁者のような色を増し

 

■可愛いいチハル(木村美月)。川の流れを変える岩のように、彼女の存在が要所で楔のように働く

 

■ほがらかで何でも話せる存在のマスター(渡辺芳博)。クライマックスで明かされる彼の過去は…

 

■元気溌剌で天真爛漫な元天使のテンコ(森田ひかり)。人間が好きな彼女のラスト、泣けました

 

■天使(小沢道成)は、物語の中の人間たちだけではなく、観客にも寄り添ってくれる存在

 

■「見守ってくれている」存在があることのありがたさと、「見つめる」対象を持てる幸せと

 

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<筆者プロフィール>達花和月(たちばな・かずき) 二次元二次創作界の住人から、ひとりの俳優さんとの出会いをきっかけに演劇沼の住人に。ミュージカルからストレートプレイ、狂言ほか、いろんな作品を観劇するうち、不思議なご縁でライターに。熱っぽく自らの仕事を語る舞台関係者の“熱”に、ワクワクドキドキを感じる日々。 ⇒達花和月さんの記事一覧はこちら

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