太鼓芸能集団「鼓童」2016「螺旋」、船橋裕一郎・坂本雅幸インタビュー(上) | アイデアニュース

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太鼓芸能集団「鼓童」2016「螺旋」、船橋裕一郎・坂本雅幸インタビュー(上)

筆者: 桝郷春美 更新日: 2016年12月12日

 

佐渡を拠点に国内外で活躍する太鼓芸能集団「鼓童」の「ワン・アース・ツアー2016 ~螺旋」が全国巡演中です。12月17~18日に大阪公演、続いて12月21~25日に東京公演が開催されます。アイデアニュースではこのほど、鼓童の代表を務める船橋裕一郎さんと、中心的奏者の坂本雅幸さんにお話を伺いました。インタビューの「上」では、坂東玉三郎さん演出の「ワン・アース・ツアー」シリーズとして「伝説」から始まって「神秘」「永遠」「混沌」と続いて今回の「螺旋」に至る作品について語っていただいた部分を中心に掲載します。12月13日に掲載するインタビューの「下」では、船橋さんと坂本さん、それぞれの葛藤や、今後への思いなどについて、じっくり伺った内容を紹介します。インタビュー「下」は、アイデアニュース有料会員(月額300円)限定とさせていただきます。

 

※「鼓童」の過去の公演のうち、「伝説」と「永遠」のDVD2枚をセットで、アイデアニュース有料会員1名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインすると、この記事の末尾にプレゼント応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは、1月4日(水)です。有料会員の方はコメントの投稿もできますので、是非よろしくお願いいたします。(このプレゼント応募は終了しました)

 

 

 

 

1981年にベルリン芸術祭でデビューして以来、49カ国で5800回を越える公演を行うなど国際的に活動し、太鼓の無限の可能性を追求してきた鼓童。12年より4年間、歌舞伎役者の坂東玉三郎氏を芸術監督に迎え、氏の演出する「ワン・アース・ツアー」シリーズでは、従来の和太鼓のイメージにとらわれずに、より芸術性の高い表現を目指して様々なパフォーマンスに果敢に挑戦してきました。5作目となる今回の作品は、これまでに演奏してきた曲の数々をたどりながら現在の鼓童の舞台表現が濃縮された内容で、2016年に創立35周年を迎えた鼓童の集大成であり、新たな始まりとなる作品です。

 

 

 

 

<鼓童ワン・アース・ツアー2016 ~螺旋(日本国内)>
【福岡公演】2016年12月14日(水) 福岡市民会館
【大阪公演】2016年12月17日(土)~12月18日(日) NHK大阪ホール
【東京公演】2016年12月21日(水)~12月25日(日) 文京シビックホール

 

<関連ページ>
「太鼓芸能集団 鼓童」のホームページ
http://www.kodo.or.jp/index_ja.html

 

 

鼓童の船橋裕一郎さん(左)と坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

鼓童の船橋裕一郎さん(左)と坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

 

 

 

■玉三郎さんが演出の「伝説」「神秘」「永遠」「混沌」に続く「螺旋」

 

――「螺旋」は、坂東玉三郎さんが演出の「ワン・アース・ツアー」シリーズとしては5作目になります。今回はどのような作品でしょうか。

 

船橋:鼓童の作品はこれまで、基本的な型に基づいて作られていたのですが、玉三郎さんが来られてからは、まったく違うアプローチの作品ができています。このシリーズは「伝説」から始まって「神秘」「永遠」「混沌」と続き、今回の「螺旋」では過去4作品の過程で生まれた曲や、鼓童が創設当初から演奏してきた曲もあり、これまでの作品で身に付いた音の作り方を織り交ぜて、融合した舞台に仕上がっているのが特徴です。

 

演目の中には、「大太鼓」という伝統的な曲や、「佐渡の國鬼太鼓座(さどのくに・おんでこざ)」という鼓童の前身の時代から演奏されていた曲「モノクローム」(1977年)もあります。それらの曲は自分たちも手法をどんどん変えて演奏してきましたが、ここで改めて、原点に立ち返って楽譜を見直して今のアプローチを試みています。このシリーズを通して新しい表現を追い求めてきた中で、今再び伝統的な作品を取り込み、その上で新しい作品を作る。今回はそうする必然性があったと思います。

 

坂本:前作「混沌」でドラムセットを使った演奏に挑戦したことが、今回の舞台で生きています。今回も西洋楽器を使っていますが、音の広がりとして違和感なく使えています。これまでの作品に比べるとシンプルな内容ですが、奥行きがあって面白い仕上がりになっていると思います。

 

 

■演劇的要素や西洋楽器を取り入れたりするも自然になってきた

 

船橋:これまでの玉三郎さんの作品の作り方は、一つの音から作り出して、そこからどんどん広げていく方法が多かったのですが、今回はあらかじめ候補曲を挙げて、演奏してみて、つながり方を広げていったので、僕らの中では当初やっていた作り方に近いです。ただその中で、演劇的要素や西洋楽器を取り入れたりすることに、自分たちも驚かなくなっているので、そこが自然になっていると思います。今までは、こんなことをやるのかと驚きながら作っていたものが、「はい、わかりました」とすぐさま順応できるようになっています(笑)。和太鼓と西洋の楽器に対する境目も取り払われてきましたね。

 

鼓童の船橋裕一郎さん(右)と坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

鼓童の船橋裕一郎さん(右)と坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

 

 

■「伝説」の時は、「こんなものを観に来たんじゃない!」というお客様も

 

――「ワン・アース・ツアー」の一作目「伝説」(2012年初演)の時は、「『こんなものを観に来たんじゃない!』みたいな感想」がお客様から多くて逆風がすごかったというインタビュー記事を読みましたが、当時の実感としてはいかがでしたか。

 

船橋: 玉三郎さんが芸術監督になられてから、鼓童がそれまでの約25年の間、演奏してきた形とは衣装や演出がガラッと変わり、当初は自分たちもお客さんもびっくりしました。

 

――演奏者としても戸惑いがあったのですか?

 

船橋:それはあったと思います。

 

 

■ハチマキを巻いて大太鼓を叩く伝統的な手法ばかりでいいのかと

 

――ご自身も戸惑う中で、さらにお客様が驚かれるであろう作品に挑む気持ちというのは?

 

坂本:じつは当時、自分たち自身も行き詰まっていたところがありました。ハチマキを巻いて大太鼓を力いっぱい叩くような伝統的な鼓童の手法で演奏していると、お客様は喜んでくださってはいたのですが、心の中では同じことをやっていていいのかという疑問は常にありました。僕たちは、先輩たちが培ってきたものの上に乗っかっているだけで、真似事をしているような印象があったんです。そういう意味では玉三郎さんが入られて新しいことにどんどん挑戦していけたのは、僕たちの時代にできることをやってきたという実感が得られました。変わるのは怖くもありましたが、都度やりきれたから今があると思います。

 

船橋:僕自身は「伝説」の前に「打男 DADAN」の公演があり、そちらの方が緊張しました。当時、お客様も特別な舞台という風に見ていたと思います。しかし、「伝説」から始まった「ワン・アース・ツアー」では自分たちの基本がガラッと変わりました。それでも回を重ねて徐々に自分たちの体に入っていく中で、お客様も僕たち演奏者も時間が経つにつれて新しさを消化しているように見えました。

 

 

■佐渡での演奏を持っていき、持ち帰ってくる中で自然の媒介が生まれる

 

――「自分たちの体に入っていく」という船橋さんの発言から思い出したことがあります。世の中には数多の太鼓を演奏している人たちがいる中で、鼓童の演奏は何が違うのだろうと考えた時に、太鼓の演奏を通して自然とつながっている媒介のように感じられることではないかと。たとえば都会の大ホールで演奏していても、舞台の上から佐渡の風が感じられ、天と地とつながっているような感覚を呼び起こしてくれる。「永遠」(2014年初演)の大阪公演を観て私はそう感じたのですが、体に入っていくとはどういう感覚ですか?

 

船橋:僕たちは舞台の上で太鼓を叩くのがメインなので、お客様と対峙していろんなホールで演奏しています。そうやって稽古や本番の舞台を重ねる日々の中で、初めての試みでも少しずつ慣れていき、回数を重ねていくことで徐々に無の状態で叩けるようになります。でも今、嬉しい言葉をもらいました。自然との媒介について、自分では特に意識しているわけではありませんが、佐渡の土地でみんなで演奏したものを他の土地に持っていき、また持ち帰ってくるという繰り返しをしていく中で、それは自然と生まれていくものなのかなと改めて思いました。

 

 

■大学で考古学を専攻、物事のルーツを探ることは無駄になることはない

 

――船橋さんは大学時代、考古学を専攻されていたとのことですが、考古学と鼓童での活動のつながりはありますか?

 

船橋:ある物事に対して何が元になっているのか、ルーツを探ることが好きなので、無駄になることはないと今は思います。僕は、大学を卒業してから鼓童に入ったので、スタートが遅いというハンデをいかに埋めていくかを考えていました。そういう回り道もあってよかったと今では思えますが、当時は、高卒で早く鼓童に入りたかったという焦りがありました。今でも焦りはありますが、十何年やっても、まだまだ多くの課題がありますし、上手だと思う後輩がたくさんできたりすると、もっと練習しないといけないと思います。

 

鼓童の船橋裕一郎さん=撮影・桝郷春美

鼓童の船橋裕一郎さん=撮影・桝郷春美

 

――鼓童の代表を担う立場になられても焦りはありますか。

 

船橋:年々増えていくんじゃないかと思います。若い演奏者にも言えることですが、今ある悩みが解消しても、また次の悩みや課題がでてくる。先輩方を見ても、きっと今でも悩みながらやっているんだろうなと思います。太鼓はシンプルな楽器だけに奥深いですから。

 

――若くして鼓童に入った人たちの中で、どうやってご自身の立ち位置を見つけていかれたのですか。

 

船橋:ここまで踏み込んで聞かれるインタビューは、他にそうないですね(笑)……。

 

鼓童の船橋裕一郎さん(右)と坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

鼓童の船橋裕一郎さん(右)と坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

 

 

※インタビューの「下」は、12月13日に掲載する予定です。「下」では、船橋さんが焦燥感の中からどう立ち位置を見つけていかれたのかについてのお話や、坂本さんが新人の頃、鼓童のセンターを担うようになった時の葛藤とそれにどう対応したのか、などについてじっくり伺った内容を紹介します。インタビューの「下」は、アイデアニュース有料会員限定で、有料会員の方がログインするとお読みいただける仕組みになっています。

 

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<筆者プロフィール> 桝郷春美(ますごう・はるみ)福井県小浜市出身。人生の大半を米国ですごした曾祖父の日記を読んだことがきっかけでライターを志す。アサヒ・コム編集部のスタッフとして舞台ページを担当後、フリーランスのライターに。雑誌やウェブサイトにインタビュー、ルポなどを執筆。世の中と表現の関わりに関心を寄せる。表現の根っこにあるものを作品を通して見つめ、言葉で伝えていきたい。 ⇒桝郷春美さんの記事一覧はこちら

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