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音楽さむねいる(17)華燭の典と音楽(上) 友人の結婚パーティーでBGMに贈りたい曲

筆者: Koichi Kagawa 更新日: 2017年1月10日
連載:音楽さむねいる(17)

 

『劇付随音楽 夏の夜の夢』より「結婚行進曲」(1843年)

フェリックス・メンデルスゾーン(※1)作曲

 

『ローエングリン』より「婚礼の合唱」(1850年)

リヒャルト・ワーグナー(※2)作曲

 

『抒情小曲集 第8集 作品65』より「トロールハウゲンの婚礼の日」(1896年)

エドヴァルド・グリーグ(※3)作曲

 

音楽さむねいる

音楽さむねいる

 

 

■ 友人の結婚パーティーのために

 

普段より親しく付き合っている友達が入籍した。お二人とも、私とは定期的に食事会等でご一緒しており、とても素敵なご夫婦だと思っていたが、ずっとパートナーとしての関係であったらしい。それが、今回正式にご夫婦になられたわけで、友人としてもとても嬉しく思っている。そこで、お二人から、新年早々に開催する結婚パーティーへのご招待を受けた。同時に、パーティーで流すBGMの選曲も仰せつかってしまった。私が、このような音楽エッセイを書いているのと、音楽家の友人が少なからずいるとのことが理由らしい。

慶事ゆえ大変光栄なことであり、喜んで引き受けてはみたが、いざ構想を練り始めると、大変なプレッシャーを感じ始めている。レセプションとか、新郎新婦入場などの場面で使用する単発の音楽ではなく、式全体を通じて流すBGMを選んでほしいとの依頼である。選曲については私の趣味が色濃く出るのはやむをえないが、お二人の結婚パーティーのコンセプトに合ように、約2時間のパーティーを演出すべく選曲しなければならないのは、まことに責任重大である。ということで、今回は、結婚パーティーのBGMを探すのと同時に、結婚式の音楽について考えてみることにした。

 

 

■ 結婚パーティーの音楽ランキング

 

まず、結婚式の音楽ランキングを紹介しているウィーム(Wiiiiim.jp)で、実際に結婚式で使用されたクラシック音楽を調べてみたところ、上位10位は次のようになっていた(「ジャンル別クラシックの曲」として10位以内に入っており、類稀な美しさを持っているが、クラシックではないため、Liberaの歌う二曲は除外した)。

 

1位(125組が使用):「パッヘルベルのカノン」(ヨハン・パッヘルベル)

2位(54組):「主よ人の望みの喜びを」(ヨハン・セバスチャン・バッハ)

3位(22組):「G線上のアリア」

4位(20組):「結婚行進曲」(フェリックス・メンデルスゾーン)

5位(16組):「愛の喜び」(フリッツ・クライスラー)

6位(14組):「愛の挨拶」(エドワード・エルガー)

7位(9組):「花のワルツ」(ピョートル・チャイコフスキー)

8位(7組):「夜想曲」(フレデリック・ショパン)

9位(5組):「交響曲7番 第1楽章」(ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン)

10位(5組):「水上の音楽」(ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデル)

 

有名で美しい曲が見事に上位を占めているのがわかる。しかし、これは単にBGMとして使われたものも含めたランキングの一部であり、“結婚”を曲名に冠したクラシックの名曲は、4位の「結婚行進曲」、10位からは外れているが、16位に登場する『フィガロの結婚(主に序曲が使用される)』(ヴォルフガング・アマデウス・モオツァルト)と18位の「婚礼の合唱」(リヒャルト・ワーグナー)がランク・インしているに過ぎない。

 

 

■ 新郎新婦入場の音楽

 

こと、新郎新婦にスポット・ライトが当たる入場の音楽としてまず取り上げたいのは、何と言ってもメンデルスゾーンの「結婚行進曲」であろう。新郎新婦入場の場面で、トランペットのファンファーレが高らかに演奏される(流される)曲の出だしは大変有名である。この「結婚行進曲」は、シェィクスピアの『夏の夜の夢』を題材に求め、『劇付随音楽 夏の夜の夢 作品61』の9曲目で演奏されるハ長調の華やかな曲である。

メンデルスゾーンは、1826年、若干17歳時に『夏の夜の夢 序曲』を作曲している。それを聴いて感動したプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の命により、彼が1843年に付随音楽として作曲したのが、「結婚行進曲」を含む12曲からなる『付随音楽 夏の夜の夢 作品61』である。ただ、この有名な曲を、全曲聴く機会はあまりないのではなかろうか。幸いにして、シャルル・デュトワが、かつての手兵モントリオール交響楽団を指揮した卓越した演奏が聴けるのでご紹介しておこう。

 

 

新郎新婦が入場した途端、この曲を途中で終了してしまうのはいささかもったいない気がする。せっかくの機会なので、年末のジルベスタ―・コンサートのように、フィナーレと同時に新郎新婦が着席するような趣向があってもよいのではないか、と思う。その場合、全曲を流す間二人はずっと行進していなくてはならないかも知れない。よほど大きな会場でもない限りそれは難しいので、逆に冒頭のファンファーレの部分で新郎新婦が入場しないとなると、列席者が長い時間待たされることになり、それはそれで新たな趣向が必要になってくるであろう。

もう一曲、これもメンデルスゾーンの「結婚行進曲」と並んで非常に有名な曲に、リヒャルト・ワーグナーのオペラ『ローエングリン』中、「第三幕の序奏」に引き続き連続して演奏される「婚礼の合唱」がある。この曲も、新郎新婦入場のBGMとしてあまりにも有名である。もともとはその題名の通り、主人公である白鳥の騎士と、ブラバント公国の王女エルザの結婚式に歌われる合唱曲であるが、この曲を結婚式の曲として独立して演奏する場合には、合唱は滅多に使用されないし、勇壮な「第三幕の序奏」も先行して演奏されることはない。これも劇的効果を考えるなら残念なことだと言わざるを得ない。しかし、名手アンドリス・ネルソンス指揮のバイロイト祝祭管弦楽団による名演を聴くことができる。

 

 

実は、この物語はいわゆるハッピーエンドでは終わらない。エルザは禁門の掟とされたにもかかわらず騎士の素性を問うてしまい、その結果騎士は去り、エルザは悲嘆にくれたあげくに息絶えるという、悲劇的結末が待っている。よって、この曲を擁する『ローエングリン』は結婚式に相応しくない、と主張する人もいるようだ。しかし、このオペラの内容をそこまで勘案する必要はないであろうし、またそれを知っている人は少数であろう。何よりもエルザと白鳥の騎士が入場し、婚礼を言祝ぐこの華麗な祝典曲は、やはり結婚式の音楽として欠かすことができない古今の名曲なのだ。

 

 

■ “結婚式”をその名に持たない名曲たち

 

“結婚”をタイトルに持つクラシックの曲として私が思いつくのは、浅学ゆえに以上二曲と『フィガロの結婚』くらいのものである。それに対して、結婚式で演奏(使用)したい曲というと、「パッヘルベルのカノン」や、バッハの「主よ人の望みの喜びを」、「G線上のアリア」がウィームのランキングで上位を占めるのは分かる気がする。それらは決して結婚式を彩るために作曲されたものではないが、その旋律の美しさや荘厳な印象から、普段クラシックになじみのないカップルにも重宝されているのは納得できる。このような厳かな曲が奏でられる中で、ケーキカットやキャンドル・サービスを行うというのは、人生最高の式典を盛り立てるための、よく考えられた演出の一つなのである。

変わったところでは、9位にランク・インしたベートーヴェンの『交響曲7番』第1楽章がある。“結婚”とか“愛”とかには無縁だと思われるこの曲が、意外にも結婚式で使用されているのは、やはりそれをテーマ曲にしているドラマ、『のだめカンタービレ』の影響が大きいのであろう。“舞踏の神化”とも称されるイ長調のこの曲は、ベートーヴェンの交響曲の中でも人気が高く、カルロス・クライバー指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の“LP”レコードが発売された時は、私が通っていた田舎の高校でも大きな話題となったのが思い出される。それはともかく、厳かさが欠かせない結婚式であれ、とかく重厚な雰囲気が伴うベートーヴェンの曲を使用するというのは、それはそれで勇気のいることかもしれない。

“愛”をテーマにした曲があまた存在するのと比べると、“結婚”を標題にした曲が意外に少ない感じがしなくもない。しかし、「結婚行進曲」、「フィガロの結婚 序曲」、「婚礼の合唱」の3曲に比べれば、結婚の音楽としてはさほど有名ではないが、自分たち夫婦の結婚記念日を祝う曲や、友人の結婚式のために作曲された素晴らしい作品が幾つかある。ここでは、グリーグの『抒情小曲集 第8集 作品65』より「トロルドハウゲンの婚礼の日」と、フランクの『ヴァイオリン・ソナタ イ長調』第四楽章を取り上げてみたい。いずれも、結婚式を鮮やかに彩る音楽として、私が友達の結婚式に是非とも贈りたい名曲である。

 

 

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、ノルウェーの国民的作曲家グリーグが友人の結婚式のために作曲した「トロルドハウゲンの婚礼の日」についての解説を掲載しています。また、1月11日に掲載する予定の「音楽さむねいる(17)~華燭の典と音楽(下)~」では、ベルギー出身でフランスで活躍した作曲家、フランクが後輩の結婚式のために書き下ろした『ヴァイオリン・ソナタ イ長調』より第四楽章を、紹介します。

 

<有料会員限定部分の小見出し>

 

■ 大作曲家グリーグが妻に捧げた銀婚式の音楽

 

■ 「トロールハウゲンの婚礼の日」の特徴ある様式

 

 

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<筆者プロフィール>Koichi Kagawa/1961年徳島市生まれ。慶應義塾大学法学部、並びに、カリフォルニア大学バークレー校大学院卒業。経営学修士(MBA)。1983年大学卒業と同時にシティバンク東京支店に入行。以後、今日まで複数の欧米金融機関でCOO等要職を歴任。現在、某大手外資系金融機関に勤務。幼少期からクラシックからジャズ、古典芸能、果ては仏教の声明に至るまで、幅広い分野の音楽に親しみ、作曲家とその作品を取り巻く歴史的・文化的背景などを通じ、「五感で感じる音楽」をモットーに音楽を多方面から考え続けている。 ⇒Koichi Kagawaさんの記事一覧はこちら

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