舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』が、東京・TBS赤坂ACTシアターでロングラン上演中です。本作は、英国演劇界の最高名誉ローレンス・オリヴィエ賞、米国演劇界最高名誉トニー賞を含む60以上の演劇賞を世界中で獲得し、演劇作品として常識を覆す記録的な成功を収めています。これまでに、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、メルボルン、ハンブルク、トロントで開幕しており、東京公演はアジアとしては初、世界では7番目の上演となります。
世界で数々の賞を冠したこの舞台を、東京では厳しいオーディションを勝ち抜いた日本オリジナルキャストで上演しています。アイデアニュースでは、ハーマイオニー・グレンジャーを演じる、早霧せいなさんにインタビューしました(中別府 葵さんとダブルキャスト)。「上」では、オーディションのこと、『ハリー・ポッター』という作品のイメージが変わったこと、演じる中で感じるこの作品の魅力などについて伺った内容を紹介します。「下」では、ハーマイオニー・グレンジャーという役への向き合い方、ロングラン公演に臨むにあたっての気持ち、芝居を深めていきたいという想い、この作品の魅力などについて伺った内容を紹介します。
――オーディションを受けられたとのことですが、この作品のどこに興味をもたれたのでしょうか?
私はそんなにアグレッシブなタイプじゃないので、オーディションのように心が震えそうになるものは苦手なんです。できることなら避けて生きていきたいと思っていたところ、マネージャーさんから「舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』のオーディションを受けてみたらどうでしょうか」と聞いて、詳しくはなくても知っている作品名なので、面白そうだなという感じでした。
――「受けてみようかな」という気持ちになったのですね。
他の舞台の稽古や本番など別作品に参加しながらのオーディションでしたが、映画を矢継ぎ早に観るなどして準備しました。『ハリー・ポッター』については初心者で、オーディションでは、知らない登場人物、名前、土地名、魔法の名前が飛び交っていて、「どういう意味でこの台詞を、誰に言っているのか、男なのか女なのか」もわからない状況でした。
もちろん真剣に臨みましたが、こんなにも世界的に愛されていて、ファンも多い作品ですから、私よりも情熱をもって、この役をやりたいという思いでたくさんの方々が受けているでしょうし、私には無理だろうと、あまり期待せずに受けましたが、その分、やり切った感はすごくありました。
オーディションでは、目の前にいらした海外の演出家の方やクリエイティブチームが、面白いところは笑ってくださったりと反応があって。2、3回やらせてもらったのですが、1回やったのを見て「ここはこうして」とちゃんと演出をつけてくださって、一方的にやるというよりも、少しディスカッションがあるオーディションでした。もっと殺伐としたものをイメージしていたのですが、とてもやりやすい空気感でありがたかったです。
――『ハリー・ポッター』という作品に対する印象は変わりましたか?
皆さんに怒られそうですが、まったく知らなかった時は、子どもだましのお話だと思っていたんです。でもむしろ、大人になればなるほどその味わいを感じられる作品なんじゃないかと、印象が変わりました。もっと深くて、奥行きのある、愛の話なんだ、愛は不滅というか、不朽というか、そういうものをテーマにしているんだと。単純に魔法ができたという話ではないからこそ、こんなにも長く、世界中にファンが多いんだなと感じました。
――私も『ハリー・ポッター』は、テレビで放送すると観るぐらいでしたが、舞台が本当に面白くて、作品のファンではなくても楽しめる作品だと思いました。
十分楽しめますよね。原作からの流れを受け継いで、結構な情報量が舞台版になっているので、原作を知らないお客さまはついてこれるのかなと、プレビューの初日まで、そこだけが少し不安でした。話も結構なスピード感で進んでいくので、みなさん、おいていかれないかなと思いましたが、最後まですごく集中して観てくださって。反応が返ってくるのを感じたので、やはりお客さまはすごいなと。
『ハリー・ポッター』のコアなファンではない方たちもちゃんとついてこれるように作られていて、改めてこの戯曲を書かれた方はすごいなと思いました。クレジットは、ジャック・ソーンさんになっていますが、原作のJ.K.ローリングさんも共作で書いていらっしゃいますから。
<取材協力>
・ヘアメイク=飯嶋恵太(mod’shair)
・スタイリスト=田中雅美
※アイデアニュース有料会員限定部分には、演じる中で感じるこの作品の魅力などについて伺った内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。9日掲載予定のインタビュー「下」では、ハーマイオニー・グレンジャーという役への向き合い方、ロングラン公演に臨むにあたっての気持ち、芝居を深めていきたいという想い、この作品の魅力について伺った内容などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■本人が自分の事を語るというよりも、周りがその人を表現していく描き方が魅力
■「こういう役だ」と押し付けられていない。役者が想像力を膨らませられる戯曲
■余白があるからこそ、「早霧せいな」がハーマイオニー・グレンジャーを通して自ずと出てくる
■役になろうとするからこそ、良いところも悪いところも、はみ出たところが個性に
<舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』>
【東京・2023年5月31日までの公演チケット発売中】TBS赤坂ACTシアター
※2023年6~9月の公演チケットは、2023年2月12日AM10:00から先行発売、2023年2月25日AM10:00から一般発売
公式サイト
https://www.harrypotter-stage.jp
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※早霧せいなさんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは2023年1月8日(日)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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ハリポタ舞台、繰り返し観劇させてきただいています。舞台観劇の趣味はなかったのですが、ハリポタで完全に舞台の魅力に取り憑かれました!
他所で公開されているインタビュー記事では読めなかったお話が多く、読み応えがありました!早霧さんのハリポタ舞台に対する考えを知ることができてとても興味深い内容でした。