ミュージカル『サムシング・ロッテン!』が、2025年12月19日(金)から2026年1月2日(金)まで東京国際フォーラム ホールCで、1月8日(木)から12日(月・祝)までオリックス劇場(大阪)で上演されます。2018年の日本初演から7年の時を経ての再演で、出演は中川晃教さん、瀬奈じゅんさんら初演からのキャストに、加藤和樹さん、大東立樹さん(CLASS SEVEN)、石川禅さん、矢吹奈子さんらが新たに加わります。演出は福田雄一さんです。
<公式HPより>
タイトルの“Something Rotten!“=サムシング・ロッテン!とは直訳すると「何かが、腐っている!」という意味。これはハムレットの一節”something is rotten in the state of Denmark.”を思わせるタイトルですが、本ミュージカルはこのように複数の戯曲、ミュージカル作品へのオマージュが随所に登場するコメディミュージカルです。
1990年代にケイリーとウェインのカークパトリック兄弟のアイデアから始まり、2015年にブロードウェイにてオープンしました。当初はシアトルにて五番街劇場で試験興行する予定でしたが、内容が評価され、すぐにブロードウェイでの上演が決まり、現在は全米をツアー中です。『コーラスライン』、『アニー』、『レ・ミゼラブル』などの人気ミュージカル作品や、シェイクスピア作品を彷彿とさせるシーンの数々が、舞台·ミュージカルファンの心をくすぐるとして話題になり、2015年のトニー賞では9部門10ノミネート、うち1部門を受賞しました。
アイデアニュースでは、シェイクスピア役を演じる加藤和樹さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けてお届けします。「上」「下」それぞれの無料部分では出演にあたっての思い、コメディ作品についてのお話、加藤さんご自身にとって「俳優・加藤和樹」はどのような役者であるかというお話など合同取材の内容を、有料部分では『フランケンシュタイン』、『マタ・ハリ』へのご出演を振り返る、アイデアニュース独自取材の内容を紹介します。「上」の無料部分では合同取材の前半を、有料部分では、アイデアニュース独自取材の前半の内容を紹介します。「下」の無料部分では、合同取材の後半の内容を、有料部分では、アイデアニュース独自取材の後半の内容を紹介します。

(合同取材:前半)
ーー福田さんの作品に出演したいと、思っていらっしゃったそうですね。
福田さんが演出されたミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』が大好きで、劇場で観て腹を抱えて笑っていました。福田さんの映像作品もそうですが、独特な笑いというか、それが結構ツボだったんですよね。WOWOWさんの『グリーン&ブラックス』という番組で初めてご一緒させていただいて、いつかちゃんと、舞台の上でも福田さんの作品に出てみたいという思いがあったので、今回は本当に光栄ですし、夢が叶った形ですね。
ーー『サムシング・ロッテン!』は、ご覧になったことはありますか?
もちろん知ってはいましたが、実際に劇場で観たことはなく、今回映像で拝見させていただきました。家で一人で映像を見ながら笑っている自分が、ちょっと気持ち悪いなと思うくらい(笑)、本当にテンポが良くて、間の使い方も秀逸だと思うんです。お客さまの笑いのポイントを押さえていますし、お話としても面白いですし、タップナンバーも多く、ミュージカル作品として見せるところがしっかりと作られている印象です。
お客さまと一緒に楽しめる、本当にハッピーミュージカルだなと感じました。僕は、結構暗い作品に関わりがちなので、自分がこのハッピーミュージカルの中に入るというのは……(笑)。「新しい自分に出会えるかもしれない」と期待しています。
ーー普段の加藤さんは、インタビューの中でもとても明るく楽しい方だと感じていますが、確かに、これまでに出演されている作品を思い起こすと、コメディのイメージはあまりないですね。加藤さんご自身は、コメディはお好きですか?
大好きです。でも、自分がコメディ作品に出るイメージは、あまり湧かないです。もちろん面白いことも大好きですが、お芝居として見せるとなると、役でどのように提示するかという難しさがありますよね。福田さんの作品は自由度が高い印象ですが、ある程度制限された中、純粋なお話の流れの中で笑いを取るというのは非常に難易度が高いのではと思います。
今回僕が演じるシェイクスピアは、クセが強く面白い部分がたくさんありますが、初演の西川(貴教)さんだったからこそ出せる面白さが絶対にあったと思います。「シェイクスピアとしての面白さ」と「加藤和樹がシェイクスピアと融合することで生まれる面白さ」を、どのように開拓していくか。そこもひとつ、チャレンジになりそうです。
ーーコメディを演じる面白さは、どのあたりに感じられますか?
やはり、笑ってもらえたときの快感には、普通のお芝居では得られないものがありますよね。それはもしかすると、芸人さんが「人に笑ってほしい」という気持ちと同じなのかもしれません。でも、お芝居で笑わせるというのは、笑わせに行ったらダメなんですよね。そこがすごく難しいと思う点です。もちろんアドリブの面白さもありますが、それは力技だと思いますし。作品の中でいかにお客さんの心をほぐせるかというところは、楽しさというよりも、難しさの方が多いように思います。
ーーコメディの名手である福田さんが、加藤さんをシェイクスピア役にと思われたということは、加藤さんの中のコメディ要素を、すでに福田さんが見つけていらっしゃるのかもしれませんね。
そうだと嬉しいですし、僕をどう調理してくださるかなという期待もあります。
ーー今まで拝見したことがないような、加藤さんの新境地に出会える可能性が高いでしょうか。
その可能性を高めたいですね。「リクエストにいかに応えられるか、いかに新たな自分を発見できるか」というところにかかっていると思います。
ーー観客としてコメディ作品をご覧になるのと、出演するという前提で観られるのとでは、ご自身の中で感覚は違いますか?
大きく違うのは、お客さんとしてコメディ作品を観るときは、純粋に楽しめます。一方で、実際に自分が出演すると決まってから観ると、もちろん、「ここに入れたら楽しいだろうな」とか、「こういうことにもチャレンジできるな」という期待の方が大きいですが、「自分がこれをやるのか」と、ちょっとマイナスなところから入る部分はありますね。視点は変わるなと思います。
ーー現時点で、作品に向けて準備されていることはありますか?
もちろん、ある程度は持っていきますけど、どちらかというと、僕は事前に準備をするというよりは、稽古場でガッツリ作っていくタイプなんです。やはりシェイクスピアについては、前回の西川さんのイメージがとても強いので、自分だからできるシェイクスピアの魅力、面白さ、かっこよさ、ダサさみたいなものを、全部ひとまとめにして表現することができたらいいなと思っています。
ーー今回、中川さんと再びの共演ですね。このコメディの世界の中でご一緒するにあたって、いかがですか? また、共演について、中川さんと何かお話しされたことはありますか?
「楽しみだね」というお話ぐらいで、詳しい話はこれからです。ただ僕としては、心強い反面ちょっと怖さもあるなと。というのも、アッキーさん(中川さん)って、面白いことが好きなんですよ。きっと、みなさんもご存知だと思いますが。だから急に突拍子もないことを振ってきたりもするので、そこがちょっとドキドキというか。やはりアッキーさんのすごいところは、笑いに対してもすごく真面目なところなんです。「真っ直ぐだからこそ面白いという面白さがある」と僕は思っていて。
映像で『サムシング・ロッテン!』を見た時も、アッキーさんの、何の疑いもなく突き進んでいく姿が面白いと思ったんです。福田さんはそこに着目して演出をつけていらっしゃるのではと思いますが、僕が舞台の上で、それを受けたときにどんな感情になるのか、果たして笑わずにいられるのかとか……。僕は結構ゲラなので(笑)。そこがちょっと心配ではありますね。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、『フランケンシュタイン』、『マタ・ハリ』へのご出演を振り返るアイデアニュース独自取材前半の内容と写真を掲載しています。11日掲載予定のインタビュー「下」では、加藤さんご自身にとって「俳優・加藤和樹」はどのような役者であるかというお話など合同取材後半の内容とアイデアニュース独自取材の後半の内容などインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■アッキーさんに引っ張られて「呼応するように、響けるように」となった『フランケンシュタイン』
■余分なものをそぎ落とした『フランケンシュタイン』と『マタ・ハリ』。地に足のついたテクニックで
■無理して演じていない。アッキーさんと小林亮太くんの芝居によって、自分がどうなるかを楽しんだ
■アッキーさんと亮太くんのビクター。互いの年齢感や芝居によって、自ずと役の作り方が変わる
<ミュージカル『サムシング・ロッテン!』>
【東京公演】2025年12月19日(金)〜2026年1月2日(金) 東京国際フォーラム ホールC
【大阪公演】2026年1月8日(木)~1月12日(月・祝) オリックス劇場
公式サイト
https://www.s-rotten2526.jp
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岩村さんのインタビューは、加藤和樹さんを見守り続けてきた人しか聞けない質問をしてくださるので毎回とても楽しみにしています!
役作りの話は普通の仕事をしている人間からすると未知の世界なので大変興味深いです。