熊本や大分など九州各地で大きな地震が起きています。この状況の中、全国で唯一稼働している九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)は、2016年4月16日19時現在、運転を続けています。「敷地内で観測された揺れが原子炉を緊急停止する設定値を下回っているため」とされていますが、多くの方々が、川内原発の運転継続に不安を抱いています。
川内原発で大事故が起きた場合、チェルノブイリの汚染地図と比較するとどうなるのか、同じ縮尺の地図で比較してみました。濃い紫色の部分が、ソ連政府が住民全員を移住させる決定をした15キュリー以上の汚染地域です。チェルノブイリの状況は「Cesium Contamination(チェルノブイリ事故によるセシウム汚染 今中哲二)」から引用させていただきました。⇒詳しくは、ここをクリック。
原発で大事故が起きた場合、放射性物質は風に乗って運ばれ、雨が降るなどして地表に放射性物質が降ってきた場所が集中的に被害を受けます。チェルノブイリから遠く離れたベラルーシが集中的な被害を受けたのは、このためです。
チェルノブイリと全く同じ状況になった場合、九州だけでなく、四国や中国、関西や中部、そして韓国なども大きな影響を受ける可能性があります。
筆者は朝日新聞社在職中、石川県での志賀原発2号機をめぐる取材をしたことをきっかけに、「原発大事故 起きたらどうする」という連載を執筆し、1996年3月19日から3月27日にかけて5回にわたって朝日新聞大阪本社版の夕刊に掲載されました。取材を進めるなかで、風向きが大きく影響することや、雨ガッパやマスクが重要になること、ヨウ素剤で薬局で購入しようとしてみたものの「取り寄せ」を断られたこと、などをレポートしました。「避難する時は、風と直角に原発から遠ざかる方向に避難する」ということに、なるほどと思った記憶があります。
ここでは原発事故の際に重要になる「風」の情報を知るために気象台を訪ねた時のことを報告します。
1996年3月当時、全国の気象観測システム「アメダス」のうち、風向きを測定できるのは840カ所でした。風の動きについては、かなりの予想が可能だと気象台の担当者は話していました。しかし、全国の気象台のうち空気中の放射線の観測ができるのは、当時は13カ所。大阪の管区気象台の放射能測定装置では、空気中の微粒子を集めるに約5時間かかり、ガンマ線分析に約2時間、ベータ線分析に約20時間かかるということでした。
秒速4メートルで風が吹くとすると、単純計算で時速約14キロ。「見えない雲」は7時間ほどで約100キロ先まで達します。私が取材をした1996年当時はインターネットで情報を得るということは困難でしたが、今は、風の情報もリアルタイムに得ることができます。日本気象協会「tenki.jp」のアメダス実況(風向・風速)は、こちらのページですので、紹介します。
<アメダス実況(風向・風速)>
鹿児島はこちら⇒http://www.tenki.jp/amedas/9/46/wind.html。
熊本はこちら⇒http://www.tenki.jp/amedas/9/46/wind.html
大地震が続々と発生している状況で、川内原発をなぜ停止しないのか、私には理解できませんが、万が一のことが起きた場合の参考にしていただければ幸いです。
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