大阪での「戦争法案」反対デモ、2つにハシゴで参加してきました | アイデアニュース

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大阪での「戦争法案」反対デモ、2つにハシゴで参加してきました

筆者: 松中みどり 更新日: 2015年7月20日

2015年7月19日(日)、SEALDs KANSAI(自由と民主主義のための関西学生緊急行動)とSADL(民主主義と生活を守る有志)が共催した「戦争法案」に反対する関西デモ(16:30~)と、女子が中心になって企画されたデモ「愛と平和の女子パレ」(18:00~)に参加しました。

台風が過ぎて夏の日差しが戻ってきた19日の大阪、夕方のうつぼ公園には本当にたくさんの人が集まってきました。筆者は、デモのいち参加者として、見えてくるもの、聞こえてくるものを記事にしたいと思い、あえてあちこち動き回らずに、何千人という参加者と一緒にずっと御堂筋を歩きました。

「SADL×SEALDs KANSAI『戦争法案』に反対する関西デモ」集合場所にて=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「SADL×SEALDs KANSAI『戦争法案』に反対する関西デモ」集合場所にて=2015年7月19日、撮影・橋本正人

デモ出発の前には、SEALDSの学生さんや、SADLの若い担当者が、なんとかみんなを整列させようと苦労していました。「SEALDS KANSAIはこちら側へ、SADLはこっちに来てくださ~い」と最初の指示が出ると、「ひとりで来てどっちにも属してない人は、どうしたらいいの」という声が続出。それでもそこは大人、なんとなく列を作り始めました。

「若い人、出来るだけ前に行ってください」と、声がかかると、筆者の周りにいた人たちは微笑みながら顔を見合わせました。そして、「そうでない人は、ここらへんから4名1列で並んでください」と言われて、あちこちから笑い声があがりました。

「SADL×SEALDs KANSAI『戦争法案』に反対する関西デモ」集合場所にて=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「SADL×SEALDs KANSAI『戦争法案』に反対する関西デモ」集合場所にて=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「あ、なんて言ったらいいのか・・・失礼しました。アダルトの人はこちらかへ・・・」 またひとしきり笑い声。知らない人同士打ち解けて、「若い人」が一生懸命仕切ってくれているのを温かく見守る雰囲気になりました。筆者の近くでプラカードを持って誘導をしてくれていたのは、SEALDSのメンバーで東京からやってきた学生さんふたりでした。関西の大人たちが口々に「いつも頑張ってるね~大変やろ」とねぎらうと、「いやあ、でも今やめるわけにはいきませんから。支持率落ちてきてるし、最後まで見届けます。大学3年なんで、最後の遊べる夏休みなのに・・・」「寝る時間を削って遊びます!」「大人の人たち、元気で体力あるんで負けられません」とあくまで爽やかに元気なふたりでした。

集まってきたのは、まさに老若男女、お母さんの胸に抱かれている赤ちゃんから、ベビーカーの子ども、「若い人」より少し年上から、人生の大先輩まで。持っているお茶や飴を分け合ったり、少し話をしたりしながら、太陽がジリジリと照り付けるのに耐えて待ちました。そしてようやく、デモ隊が靭公園を出発。筆者は列の後半の方にいたので、この待ち時間が一番暑くてしんどかったです。

「SADL×SEALDs KANSAI『戦争法案』に反対する関西デモ」集合場所にて=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「SADL×SEALDs KANSAI『戦争法案』に反対する関西デモ」集合場所にて=2015年7月19日、撮影・橋本正人

歩き始めると、沿道の人たちの反応が、前に参加したデモと明らかに違いました。まずは、この大人数に目を見張り、参加者の多種多様なことに驚き、ノリのよいDJ風のシュプレヒコールに思わず耳を傾ける。3連休の中日に大阪の街で買い物やお茶や散策を楽しんでいる人たちが、それに負けないくらい楽しそうに元気に歩くデモ隊を見送っている。そんな印象でした。

道行く人に持っているプラカードを振って挨拶すると、会釈する人が多かったです。目を合わせてくれる人も、今まで以上におられました。筆者はビラやパンフレットを配っていないので分かりませんが、受け取ってくれる人も多かったのではないかと思います。

参加者には若いお母さんも多くて、小学生くらいの子どもが「あれはなんて書いてあるの?」と英語で書かれたプラカードの意味をきくと「お母さんは子どもを戦争にぜったい行かせへんって書いてあるんよ」と答える。沖縄のデモにも出て、こちらでも歩いておられる年配の方もいる。車いすの人も、怪我をして包帯を巻いている人も、息子さんが時々様子を見にきては「あかんかったら無理せんと休めよ」と声をかけているお父さんも歩いていました。素敵なことだと思います。このSADL × SEALDs KANSAIのデモの呼びかけにはこうありました。 『本当にこの法案を止めるためには、より多くの人が声を上げ、その声を可視化させる必要があります。また、その反対の声が世代を超えて大きくなることによって、より大きな政治的圧力となります。スタイルや価値観の違いはありながらも、今、この差し迫った状況の中では、世代を超えてまとまることが必要です』 本当にその通りのデモが実現していた。そのことを嬉しく報告いたします。

「SADL×SEALDs KANSAI『戦争法案』に反対する関西デモ」より=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「SADL×SEALDs KANSAI『戦争法案』に反対する関西デモ」より=2015年7月19日、撮影・橋本正人

本町の駅で筆者はデモ隊を離れ、地下鉄で次のデモに参加するために移動しました。駅入り口で振り返ると、本当に長い人々の列。次から次へと工夫を凝らしたプラカードを持った人が歩いていて、圧倒されました。「戦争反対!」と書いた手作りのうちわを振って挨拶すると、たくさんの参加者が手を振って見送ってくれました。

地下鉄で西長堀駅まで移動。18:00からの「愛と平和の女子パレ」に参加しました。こちらはそのタイトル通り、女子が中心になって企画されたデモで、「戦争赤ん!」と思う女子は赤を身につけて集まって!サポーター赤男も歓迎とのこと。駅を降りたところから、赤い服や、赤いプラカードを持った人が目に入りました。集会のはしごはしたことがありますが、デモのはしごは初体験。でも、朝から地元の戦争反対集会に出て、SADL × SEALDs KANSAIのデモに出てからこちらに来たと話す女性がいて、その元気さに勇気づけられました。

「戦争反対! 愛と平和の女子パレ」集合場所にて=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「戦争反対! 愛と平和の女子パレ」集合場所にて=2015年7月19日、撮影・橋本正人

こちらは声をそろえてのシュプレヒコールが大阪弁(大阪アクセント)で、柔らかく脱力系。さっきまでの若いばねが弾むような力があふれたデモとはまた別の、しなやかでそれでいてタフな雰囲気です。マイクで「勝手に憲法変えるって?」 「集団的自衛権使うって?」「武力でテロを防ぐって?」などとコールすると、全員で「それほんまに言うてんの!?」と返すスタイル。文字にすると分からない微妙なイントネーションがディープな大阪の感じ。大阪出身のDJ、KENTY-GROSS(ケンティーグロス)のノリで、と指示がありましたが、ごめんなさい、筆者はよく分からなくて、ひたすら自分のおばあちゃんが使っていた言い方で声をあげました。

「戦争反対! 愛と平和の女子パレ」より=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「戦争反対! 愛と平和の女子パレ」より=2015年7月19日、撮影・橋本正人

主催者や、スタッフはいろいろ忙しいのでバナーを持つ人手が足りず、筆者はバナーを持つ数名のひとりとなり、一番前を歩くことになりました。SADL × SEALDs KANSAIのデモでは、大勢の人の中にいたので暑くてたまりませんでしたが、今回は先頭の特権、風を受けて気持ち良く歩きました。ただし、先頭の定めとして警察官からの指示を一番受ける位置で、「もっと早く歩いて下さい」「指示に従って下さい」「まっすぐ歩きなさい」と何度も注意されました。

「戦争反対! 愛と平和の女子パレ」に参加した筆者=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「戦争反対! 愛と平和の女子パレ」に参加した筆者=2015年7月19日、撮影・橋本正人

しかし、そこは老練な関西のおばさんですから、「車椅子の人もいるから、そんなに早く行けません」とか、「サンバが鳴ってるから、ちょっとサンバ風に歩いているんです」とか、ケンカにならないような言い方でいなして、自分たちの歩きたいように歩いたのです。参加人数こそSADL × SEALDs KANSAI のデモに及びませんが、負けないくらい目立つデモだったと思います。御堂筋では、赤い服や赤いプラカード、大きなハートマークを持った女たちを、道行く人が注目していました。「一緒に歩きませんか~?」という呼びかけにも、好意的な笑みがかえってきて、本当に若い高校生くらいの男子2名が列の中に入ってきてくれた時には、大盛り上がりでした。

筆者が持った先頭のバナーには漢字(簡体字)とハングル文字と英文字で「反戦」と書かれていたので、大阪を歩いていた韓国からの旅行者の人たちから、「いいね」と親指を立てるサムズアップのサインをもらい、笑顔を向けてもらいました。ビラを配っている女性は、SEALDSのメンバーと言ってもおかしくない若い人で、道行く人も彼女からなら受け取りやすかったようです。たくさんの人が目を通してくれていたのが見えました。

「戦争反対! 愛と平和の女子パレ」より=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「戦争反対! 愛と平和の女子パレ」より=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「やっぱり若いひとは、若い子から声をかける方がとっつきやすいんかなあ」「そらそうやろ」という声が後ろから聞こえてきて、そうやなあ、一般化したらいけないけど、若い女性が明るい声をかけて手渡してくれるものは、筆者も受け取ってしまうなあと思ったのでした。とはいえ、本当は年齢や性別ではなく、楽しそうな明るい雰囲気が必要なのだと思います。重要なこと、深刻な問題、正義がこちら側にあると信じるときこそ、そうではないでしょうか。その点、この「愛と平和の女子パレ」は熱くて楽しくて、デモのはしごをして参加出来て良かったです。

少し予定時間より遅れて最終地点に到着、余力のある人は「リレートークへどうぞ」とスタッフが声をかけておられましたが、筆者もずっと撮影をしていた橋本もヘロヘロに疲れていたので、そちらは失礼しました。企画された方にこの場を借りてお礼を申し上げます。体は疲れましたが、心は軽く晴れやかに、「まだまだやれることがある」と思えた半日になりました。

「戦争反対! 愛と平和の女子パレ」終了。まだ明るい夜空には月が=2015年7月19日、撮影・橋本正人

「戦争反対! 愛と平和の女子パレ」終了。まだ明るい夜空には月が=2015年7月19日、撮影・橋本正人

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<筆者プロフィール>松中みどり(まつなか・みどり) フィリピン支援ボランティア/英語講師/ライター 初めて行った外国がフィリピンで、以来かの国の人々の明るさ温かさに魅せられ、様々なNGOや支援活動に関わる。1994年からは山岳先住民アエタの教育支援主宰。コミュニケーションツールとしての英語を各地で教えている。動物好きの自称「ケモノバカ」。飼い猫は黒猫で親バカ度も加速中。 ⇒松中みどりさんの記事一覧はこちら

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